僕たちは付き合いだしてからずっと一緒にいた。


嫁とは別の高校に通っていて、とにかく連絡を取り合った。授業中も、休み時間も、放課後もずっと。


嫁の家まで自転車で40分以上かかる。僕の高校からだと1時間以上かかってしまうのだが、そんなことは気にしない。高校生の有り余った体力を舐めないでほしい。


色んなことを話した。僕たちは好みが一致することは少なかったが、嫌いなものが一緒なことは多かった。


音楽の好みは似通っていたので助かった。僕は小さい頃から音楽が好きで、J-POPでもロックバンドでもボーカロイドでもアイドルソングでもアニソンでもなんでも聞く。良い音楽はジャンルを問わない。


嫁は僕の好きな音楽を本気で聞いてくれるし、僕も嫁から勧められたら迷わず聞く。そして、気がつくと2人とも同じような音楽を聴いていることが多くなった。



付き合っていくうちに、嫁の家庭環境が複雑なことがわかった。


嫁には兄と姉がいるが、父親が違うこと。嫁が5歳ぐらいで両親が離婚していること。今は母、姉、甥っ子の4人で暮らしていること。昔、オカマのおじさん(赤の他人)と一緒に生活していたことは衝撃的に面白かった。


嫁はそんなことをさらっと話す。特に気にも留めずに。自分は母親が亡くなっただけで、不幸な人生を送っていると勘違いしていた。なんなら、今まで何不自由なく幸せな家庭で育ったんだなとも思わされた。


こんなことを言うと、嫁が不幸な人生だったのかと思われるがそんなことはない。実の父親のことは相当嫌っていたが、母親や姉とは仲良しでそれなりに楽しくやっている。先入観だけで物事を捉えるのはやめなくてはならない。とも思った。



僕たちは片親同士で、分かり合える唯一の存在だった。唯一と言えちゃうところは、高校生という狭い世界しか経験していない子供だったということだ。



僕たちは順調だった。高校2年生になり部活もサボりがちで嫁に会いに行っていたぐらいだ。おかげで、試合には全く出れなかった。



高校2年生の11月だったかな。僕は自分勝手な人間だった。そう思った。







上矢印写真は僕と娘の生まれたての写真。似すぎていて恐ろしい。