GONSUKE
なるべく自分の懐からお金を出さずに生きていくのがモットーの狐のゴンスケ。
飯をおごってもらう、タバコは基本他人から貰うがモットー。
ゴンスケのレベルになると赤の他人、その日初めてあった人からタバコをもらうことが出来る。
すごい時は飯も酒もおごってもらったついでに家に帰るまでのタクシー代も貰ってしまう。
褒めたくはないが凄い才能の持ち主だ。
ただただ、飯をおごってもらったりタバコをもらったりしているわけではない。
そのためのヨイショ、つまり相手を上機嫌にさせることは忘れない。
人懐っこく、それでいて相手を上機嫌にさせる…愛されないはずがない。
相手もおごってもらう目当てだなとわかっているものの、その気持ちの良いヨイショについつい財布の紐が緩んでしまう。
ただ、彼の過去もそんな簡単なものではない。
ある街の由緒正しき神社の宮司の息子である。
家族構成は厳しい父に優しい母親。そして3兄弟。
長男はゴンスケ。頭が良い次男と末っ子。
小学校までは同じような成績だったが、中学に入ってから弟たちはぐんぐん成績を伸ばしていった。その点、ゴンスケは成績は下がる一方だった。
成績表を見せるたびに厳格な父に説教される。最終的には全く見向きもされなかった。
話をするのが大好きなゴンスケは、いつも母親と喋っていた。母親もゴンスケと話すのが好きだった。
だが、母親も父に「あいつとは喋るな」と言われたのか、全くゴンスケに喋りかけなくなった。
家の中で独りぼっちになったゴンスケ。その時間は長く続いた。
誰かと喋りたかったが、相手がいない。小さいときに買ってもらったボロボロの人形が彼の話し相手になった。
誰とも話さなくなったゴンスケは学校にさえ行かなくなった。
「バカはこの家にはいらない。」
久しぶりに話しかけてくれた思ったら、そんな言葉だった。
家を継ぐにも頭が良くてはならない。だったら弟に家を継がせる。
そして、お前は家の何も役に立たない。だったら出ていけ。
この一言ですべてを悟ったゴンスケは家を飛び出したのだ。無言で。
行く当ても無いまま、電車を乗り継ぎ全く知らない街へとたどり着いた。
街灯しか喋りかけれそうな相手がいない。そんな深夜の闇に包まれた街。遠くから、スーツを着たウサギが歩いてきた。
「見ねえ顔だな。」
話しかけられたのが嬉しくてたまらなく、そいつにゴンスケは今までのことを話そうとした。
そしたらウサギが「まぁ、飯でも食いながら話そうや。」
その夜、ゴンスケは初めてこの街で奢ってもらったのだった。
彼の人懐っこさは誰にも相手にされなかった、そんな過去があるからだろう。
誰からにでも相手にされたい。そんな気持ちが彼を動かすのだろう。
・好きなもの…餃子、テレビゲーム、目を見て話してくれる人
・嫌いなもの…占い、パワースポット、話聞いてるフリして聞いてないやつ