
今さらながら、川上未映子の「乳と卵」を読みました。
最初の方は掴めなくて、なかなか入り込めなくて、多少の読みづらさを感じた。登場人物が関西弁で話すから、しかもかなり訛りがきつい関西弁で。それが読みづらかった理由のひとつかもしれない。でも慣れてきたらさらりと読めて、気がついたら読み終わっていた。登場人物は主人公とその姉である巻子、そして姉の娘である緑子という、たった三人しか出てこない。登場人物についてあまり詳しいことは語られていなくて、というより全てにおいてあまり詳しいことが語られていない、シンプル。でもなぜか生々しい。それは読む人の興味を引くと思う。表現が独特で、おまけに句読点が少ない不思議な文章だった。頭の中にあることをひとつひとつ捕まえて文字にした、そんな風だった。だから文章には浮遊感があって、その浮遊感が女三人の微妙な関係の不安定さを上手く表現していた。これはまさに、女性が書いた物語だなぁってものすごく思った。女性の中にあるあきらめとか気だるさとか絶望が直接的じゃなくて間接的に書かれていて、それが痛かった。緑子の思春期特有の、もやもやと生きている姿は、少し前の自分に重なって、これまた痛い。「わたしのこと生まなければ良かったのに」て思うこともある、でもどんなに大変でも、生きていかなければならない。生かしていかなければならない。ドラマチックな展開や結末があるわけではない。味気なくて、「ふうん、で?」みたいな気持ちにならなくはない。けれど普通の家族の普通の日常のヒトコマなんてそんなものだと。そうやって毎日が続いていくものだと思う。
