9月16日はFFCの誕生日です。
いまから6年前の2007年9月16日(日)、青山中学校で第一歩となる初練習を行いました。セミが鳴くとても暑い日でした。当時は5人程、マット設営もなれず1時間くらいかかり、清掃したらヘトヘトだったと覚えています。また、人数が少なく、子供と大人の練習スペースの区切りがなく、広々としていました。いまでは沢山の皆さまに参加頂いておりますが、FFCは本当にゼロから築き上げてきたクラブです。
当初は六本木の中学校で活動する話で進んでいましたが、子供を通わせる環境を配慮いただき(他にも理由はありますが)、青山一丁目になりました。マットを搬入したときは鳥肌がたつほど嬉しかったです。クラブについて故 谷村理事長とは色々話しました。理想と現実が異なり、運営方針で対立することもたくさんありました。今は静養中の村本コーチが私の心情を代弁いただき、潤滑油になっていただいていたこともありましたし、逆もありました。今となっては本当に尊い経験です。
実はFFC監督の話をいただいていたとき、新規立ち上げを含む3つのクラブから話をいただいていました。時間をいただき、非常に悩みました。悩みに悩み、FFCを選ばせていただきました。
いざ監督という立場でクラブに携わってみると、いわゆる「練習指導」だけを担っていれば良いのではないことに気づかされました。クラブの統率だけではなく、他クラブとの連携、連盟や協会との連携、試合や合宿の申込、大会主催ならびに協力、会員募集、そして練習場所の確保など様々な役割があります。開設当初は日曜練習の週1回でしたが、試合で勝ちたい、もっと練習したい、日曜は参加できないけどFFCに参加したいと嬉しいニーズを沢山寄せられました。港区民にとどまらず、一都三県さまざまな地域から通ってくださるようになりました。これまで、東京農業大学、青山学院大学、アカデミアアーザ水道橋、日暮里など、様々な場所で活動をしてまいりましたが6年が経ち、青山を拠点として、駒込と池尻駒場の3か所にて落ち着くことができました。
私は小学生から大学まで、一通りレスリングを続け、色々なことを学びました。指導者になるにあたり、どんなことを選手に提供したいのか、すべきなのか、求めているのか、色々考え、1つの結論が出ました。「誠心誠意、商業概念を一切捨てて、愛をもって指導する」でした。目先だけの成果や偽善な愛は不要、レスリングのもつ厳しさ、辛さ、それらに逃げずに堂々と立ち向かえる選手を育てたい。もし子供が高校生や大学生になってレスリングや他競技に取り組んだ時、どこでも恥ずかしくない接遇や挨拶、礼儀、目配り気配り心配りをもち、模範となるべくスポーツマンを育てたい。目先の優劣にとらわれず、自分の芯をもち目標に向かって取り組むメンタリティや、理不尽や不公平や不平等にも立ち向かえる人間性を培ってもらいたい。そんな思いを実現しようと強く抱き、それは今でも変わりません。
6年たっても、私の変わらぬ習慣があります。どんなに時代が変わろうと、まずは先代が築き上げてきたレスリングをしっかり正確に理解すべきだということです。色々な情報を調べると同時に、特に還暦を迎えた世代に直接話を伺える機会を自分でつくろうと努めました。その一つに大学OB会があります。大学の発展に少しでも寄与するよう努めると同時に、沢山の先輩方の意思をしっかり聞きたいと思いました。
一般的なメディアから伝わる情報は、例えばオリンピックメダリストの話だったりと結果を残した方々の視点から綴られる自伝が多いですが、チャンピオンになれるのはほんの一握り、指導者がそればかりが価値観では絶対にいけいと思っていました。だからこそ、沢山の方々に話を聞き、今日のレスリングの築き上げてきた経緯を理解してきました。
クラブをはじめて良かったなと思う大きな理由の1つとして、様々な出逢いがあることです。集まる方々は、レスリングで強くなろう、素晴らしい決意です。大人からレスリングを挑戦する方は本当に尊敬します。小さい子どもも懸命に練習についていこうとする姿勢、小学低学年の練習中に親に褒められたい不安と期待の表情、成長期の中学生の辛くイキイキとした姿、運営にご理解ご協力いただき暖かく応援くださる保護者の皆様、私はクラブにかかわるすべての仲間と同じ時間や同じ経験を通して一緒に成長することができ、本当に嬉しく感謝しています。
レスリングは非常に奥深い競技です。人とのつながり、ルールに秘められた人間社会の本質など、追求していけば更に深いです。クラブの指導者として、更にレスリングのもつ顕在する価値観だけではなく、まだまだ潜在する魅力や価値観をしっかり伝えていきたいと思っています。同時に、選手達の顕在する部分だけを見るのではなく、潜在している部分にもしっかり目を向け、正面から向き合いたいと思います。
ご存知の通り、レスリングはオリンピックから一度は除外競技として候補に挙げられました。これは私達にとって本当に考えさせられるニュースでした。同時に、「普及」「発展」「育成」「チャンピオン」という聞こえの良いキーワードを、私達は安易に利用していたのではないかと考えなおしました。レスリングは存続が決定しましたが、2024年以降はまた除外される候補になります。古代五輪から続く最古の競技という謳い文句のレスリングに比べて歴史の浅い競技が中核競技としてオリンピックに存在感を残している現実を今一度考え直さなければならないと思います。そのためには、レスリングの魅力を正確に世に広めることが私に出来る第一歩でもあると認識しています。
私はレスリングが大好きです。フィギュアフォークラブも、クラブに集う会員も保護者も大好きです。共に励む他クラブの指導者や選手や保護者も本当に尊敬しています。ただ、レスリングが全てではなく、私には本業とする仕事(教員)があります。子どもも2人おり、家族もいます。仕事とレスリングと家族のバランスが三位一体となって、自分をコントロール出来ております。色んなクラブがあり、色んなクラブの良さがありますが、FFCの会員もまた、FFCの良さをご指摘いただき集っていただいております。本当にうれしく感謝しています。まだまだ歴史は浅いクラブですが、これからもクラブは益々発展できるよう努めていきたいと考えています。これからもご迷惑おかけすることもございますが、何卒宜しくお願いいたします。
フィギュアフォークラブ
本多尚基