ナフサ筆頭に現在様々な石油製品がひっ迫していますが、どうやら事は日本だけに限らないようです。
https://thecradle.co/articles/iea-chief-warns-global-oil-reserves-have-weeks-of-supply-left
ここ数カ月で石油の輸入が事実上ストップしていますが、もうじき日本のみならず世界全体で残りが尽きてしまうようです。普段生活してる我々は未だに実感のないことですが、今後にどう影響していくのでしょうか?
JPモルガンの記事によると石油というのは「仮に使い切らなくても、備蓄などの観点から全て放出されることはない」とのこと。つまり。仮に今備蓄分がどの程度分かってるとしても。その前に国から支給されなくなる可能性があります。
確かに「完全に石油輸入が止まっている」わけではありません。
ただし、中東情勢の悪化とホルムズ海峡問題の影響で、日本向け原油輸入は大幅に減少し、政府は国家備蓄を放出しています。経産省も代替調達と備蓄活用を継続中です。
日本は依然として大量の備蓄を持っていますが、「以前と同じように無制限に使える状態」ではなくなっています。
そのうえで、今後の影響は「突然の崩壊」というより、段階的な圧迫として現れる可能性が高いです。

まず起きやすいこと
1. 物価上昇の長期化
石油はガソリンだけではありません。
- トラック輸送
- 船舶物流
- 農業機械
- 化学肥料
- プラスチック
- 発電
- 建設資材
ほぼ全産業に入っています。
そのため、
- 食品
- 日用品
- 電気代
- 配送料
- 建材
- 医療用品
などがじわじわ高くなります。
特に日本は「輸送コスト依存」が非常に強い社会なので、地方ほど影響が大きくなりやすいです。
次に起きやすいこと
2. “見えない不足”
本当に危険なのは「ガソリンがゼロになる」より、
必要な時に必要な物が届かない
状態です。
例えば:
- 部品不足
- 配送遅延
- 工場停止
- コンビニの棚の偏り
- 一部商品の販売制限
これは既に一部産業で始まっています。石油化学系では稼働率低下も報じられています。
現代社会は「在庫を極限まで減らす」ことで成り立っているため、物流コスト上昇だけでも脆いです。
更には、ある程度貯蓄が枯渇するラインに到達すると、石油などは放出自体もストップします。例えば石油のパイプラインは製造し続けること自体が製造所を動かすのに必要だとされています。精油の機械は常時稼働するのが前提とされており、石油が枯渇し原料がなくなると機械自体をストップさせなければならないのです。そして、一度止めたら再稼働までにかなりの時間を要します。このことについては以下の記事でも取り上げられています
以下が冒頭の翻訳:
「中東のホルムズ海峡の閉鎖が続いているため、世界の石油産業は大きな打撃を受けている。世界の 1日あたりの石油需要の約 20%が供給されていないからだ。世界が機能し続けるために必要な石油 10バレルのうち、2バレルが不足している状況なのだ。
世界各国は、継続的な需要に対応するため備蓄を取り崩してきたが、その備蓄はいつまでも続くわけではない。JPモルガンの分析によると、米国は 9月に「操業限界」に達すると予測されている。
「操業限界」とは、貯蔵タンク内の原油量が不足し、底部の原油を重くしてポンプに送り込み、精製することができない状態を指す(原油が濃くて重すぎるため、ポンプが原油を吸い上げることができなくなる)。
重りが足りないと、粘度の高い原油をポンプで汲み上げることができず、製油所は操業停止を余儀なくされる。」
さらに深刻になると
3. 電力制限・節電圧力
日本の発電は天然ガス・石油火力への依存も大きいため、燃料不足が進むと:
- 夏冬の節電要請
- 一部企業への電力制限
- 深夜料金の高騰
- 計画停電リスク
などが現実味を帯びます。
特に猛暑と重なると、電力需給はかなり厳しくなります。現在イランと同じようにアメリカの圧力によって経済危機を迎えているキューバでは資源不足から石油不足が深刻化しており、街の電灯から車の燃料、インターネットなどの利用が大きく制限されていると報じられています。インターネットの利用時間の制限なども今後夏に向けて行われるかもしれません。
金融面でも影響
4. 「不景気なのに物価が高い」
これは1970年代のオイルショックでも起きた現象です。
- 景気悪化
- 実質賃金低下
- 物価高
- 金利不安
- 株価不安定化
が同時進行します。
いわゆる「スタグフレーション」に近い環境です。長期化した場合、通貨そのものにも影響を及ぼすでしょう。今後どの通貨を持っておくべきなのかを考える必要がありそうです。
既に色々と株価に大きな打撃が入っている企業は更なる追い打ちになる可能性もあります。NVIDIAの新しいRTX Sparkは、従来のGPUメーカーから「AI PC向けSoCメーカー」へ進出する動きとして市場に受け止められています。発表直後にはIntel株が約4%下落し、AMDやQualcommも売られました。
現在のホルムズ海峡危機では、世界の石油供給の約20%LNG供給の大部分半導体製造に必要な各種原材料物流が影響を受けています。Intelは世界最大級の製造企業なので、工場電力コスト上昇物流費上昇設備投資コスト増加消費者のPC需要減退という四重苦を受けやすい企業です。
Intelにとって最大の脅威はRTX Sparkそのものよりも、「エネルギー価格高騰による世界景気減速」の方だというのが市場参加者の一般的な見方に近いでしょうか。
重要なのはここ
多くの人がイメージするような、
- 明日突然社会崩壊
- 数週間で文明停止
- 全ての店が空
のような事態になる可能性は、現時点ではまだ低いです。
日本政府も:
- 国家備蓄放出
- 代替輸入
- LNG調達
- 需要抑制
- 補助金
- IEA協調行動
を進めています。
むしろ現実的なのは、
「生活水準が静かに下がる」
方向です。
一般家庭として現実的にできる対策
エネルギー依存を少し下げる
車移動を減らしたり、電気効率の良い家電、冷暖房効率改善、非常用電源の確保などはやっておきたい対策でしょう。そもそも災害時に必要なことでもあります。地震や台風の多い国では欠かせないものです。
因みに、今年も猛暑が来るのがほぼほほぼ確定しているので、中東情勢がひっ迫した場合、エアコンが使えなくなるということも考えられるでしょう。核戦争の危機にも備えるという事も検討するならば、地下室の増設工事を進める人も出て来そうです
“在庫ゼロ生活”をやめる
数週間分でよいので:
- 水
- 米
- 常温食品
- 日用品
- 常備薬
を持つ。
「パニック備蓄」ではなく、
物流遅延への耐性づくりです。
支出構造を軽くする
今後は「固定費が重い人」ほど苦しくなりやすいです。
- ローン
- 車維持費
- 電力消費
- サブスク
を見直すと、長期戦に耐えやすくなります。
最後に
今の状況は、「まだ日常が保たれている」ので実感しにくいですが、実際には国家レベルでかなり強い危機対応が始まっています。
ただ、人間社会は意外と“急停止”より“徐々に劣化”の形で変化します。
重要なのは、極端に悲観しないしかし平時前提でも動かない
この中間を取ることです。


















