最初に蟹ってこんなにおいしいのかと感動したのは、大学時代でした。大学院の2年のとき講座にいた4年生の人の故郷が島根県の境港の漁業組合長の息子さんで、家から松葉ガニが段ボール箱に入って送られてきました。聞けば初セリで浜ゆでしたものをすぐに送ってきたそうです。
もちろん酒盛りです。酒は当時の学生は2級種が当たり前のころ、特級酒を2本差入れしたのを覚えています。そこで息子さんから蟹の食べ方、しかも豪快な食べ方を教わりました。
今では蟹は地元から離れていても、刺身や焼きガニなど鮮度を要求される食べ方がポピュラーですが、当時はやはり湯がいたものをそのままたべるのが、一番おいしい食べ方でした。食べ方ですが、蟹の甲羅を手ではがして、グロテスクな鰓を手でつまんで外し、甲羅についている蟹みそをすする。そして、蟹を半分に割り、足を外して、蟹バサミ、当時はニッパのような工具で足を割ってすすっていました。足が方づくと胴体の部分の白くてかたい部分を手ではがして、胴体に食らいつくといった食べ方です。松葉ガニもおおきなものですから1つでおなかが十分になりますが、一人ノルマ2杯半ですので、そのうち身は良いので蟹味噌と交換してくれ。という輩もいました。
其の後、もう一度、今度は松葉ガニの最盛期に同じく段ボールに入った蟹が送られておきて今度は講座全員で食べました。全員ですので一人あたり一杯ですが、何せ、漁業組合長が選んで送ってくれた蟹なので、オスの大きなもののみです。十分なボリュームで、酒のさかな件、ご飯の代わりと言ってもいい状態です。社会にでてから、松葉ガニは冬の温泉料理として何度も食べていますが、この経験は今後もないと思います。
もっとも、よく行く兵庫県にある城崎温泉で食べる松葉蟹(ずわい)は先ほど述べました、焼きガニが一番好きです。その次に刺身、酢の物、鍋と続きますが、蒸し蟹は美味しいと思うことはありません。理由はよくわかりませんが、たぶん学生時代のひもじいともいえる食環境で食べた松葉ガニがあまりにも強烈で忘れられないからかもしれません。
この蟹ですが、大きな松葉ガニも乱獲でだんだん小ぶりになってきております。小ぶりになってきても値段は上がる一方ですので、毎年行く城崎温泉の料金も毎年少しずつ上がっています。大体の感覚ですが、城崎温泉での料理の価格は蟹一杯が1万円と言ったところだと思えます。よって2杯食べるコースでは宿泊費1万円に+蟹2杯で3万円と言った感じです。
今では夫婦2で3杯、すなわち一人1杯半が我々の予算となっております。
これから寒くなると温泉で“蟹で一杯”はたまりません。冬は凍結するので車では行かずに、播但線を雪見をしながらの旅行も良いものです。