最近読んだ漫画その2は
前から気になってたけどなかなか踏み切れなかったこちらです。
チ。ー地球の運動についてー
別に全然求められていないとは思うのですが
感想書いておいていいでしょうか。すみませんね。
ざっくりとしたあらすじとしては
15世紀のヨーロッパ某国を舞台に
地動説に魅入られた12歳の主人公が
宗教的弾圧に挫けず宇宙の真理を追究することからストーリーは始まり、
偶然と必然から、その意思が後世の人たちに受け継がれていく…みたいな物語です。
2022年には手塚治虫文化賞のマンガ大賞(年間ベスト)も受賞、
その他いろいろな賞をとってる人気漫画。
実は昨年、福岡のマンガの読めるビジホに泊まったとき
1巻の途中まで読みかけたんですけど
「いやいや、しんどいよ、ムリ〜!」って諦めちゃったんです
多分、チ。に興味を示した方なら知ってるだろうから書くけど
しょっぱな異端者を拷問するシーンから始まるんですよ。
「ひえ~、そんなハラハラする話、読みたくない…!」ってなっちゃって。
(個人的に主人公が逃亡者、みたいな話がすごく苦手)
でも、NHKでアニメ化されたら評判がすごくよく
友人も面白いよ、と勧めるので、
じゃあ読んでみるか…と漫画全巻購入しました。
結果、
めちゃくちゃ面白かった…!!
グサグサ刺さりました。8巻完結とは思えない濃さのドラマ。
知りたい!という気持ちに突き動かされること
得た知を伝え、感動を受け継ぎ、時を超えてつながっていくこと
自由を求め、信念を貫くこと
人間の本質はなんて尊いんだ…!!
と大感動
からの、
知性がときに暴力に転ずることもまた本質…!と気づかされる。
意外な形で物語の最後が結ばれたとき、残るのは最高の読後感。
拷問におびえる漫画だと思ってたのが全然違う心境ににたどり着いて、
この漫画、ストーリーが上手すぎる…すごい!ってなった。
こんな人だったら特に好きだと思います↓
- 哲学とか結構好きな人
- 本を読むのが好き(だった)人
- 進撃の巨人が好きな人
多分射手座の人はかなり共感できるんじゃないかと思いますよ。突然の星占い。
アニメが観られる人だったら、
4月にNHKで再放送予定あるので、そこで追いかけてもいいと思います。
そう、後からアニメも観たんですよ、セリフも展開もほぼ漫画の通りでした。
いや、でもしんどいわ…と言う方、
拷問とかに関しては、それなりに手心がありますよ、とだけそっとお知らせしたい。
私は「あ、これなら、うん、まだ、ね」ってなったので。
で、こんな調子で絶賛の感想を書いておこうとしたら
友達から「この漫画にまつわる論争もあるよね」と聞かされまして。
う、なんかうかつに書けないな、とネットでそのあたりチェックしてから…
とか思ったらめちゃ時間かかった
ここから先はネタバレありなので、ご興味ある方は
作品を読んだりアニメで観たりした後でご覧ください。
あ、ついでに言っておくと
次に気になってる漫画は『メダリスト』です。
3巻無料で読んで面白かったけど、スポーツものなあ…としぶってたら
夫に「その前にうちにあるスラムダンクを読め、スポーツマンガを語るのはそれからだ」と言われましてね。
おとなしくスラムダンク行こうと思います。
OK?
まずですね、後でくどくどいろいろ書きますけど
ちょっと面倒なので、先に私の率直な思いを書きますね、
もう、2章のオクジーくんとバデーニさんの二人が尊すぎて

その輝きに触れられただけで、もうこの作品を読んだ甲斐があったってもんですよ。
あと、ヨレンタさんがオクジーくんに「文字は、まるで奇蹟ですよ」というシーン。
ここを読むと私、涙が出てきちゃうんですよね、共感しすぎて。
2章最高
あとオクジーくんのつらい拷問シーンも
口が裂けたあとも話ができてて
金カムのヴァシリより予後がいいじゃん、優しい、って思った。
3章以降の展開で、地動説の継承というより
人間の知性と信念と暴力の話になっていきます。
何が正義かは、時代や立場や状況でいくらでもひっくり返る。
進撃の巨人で、途中から敵は巨人じゃなく人間だった、テーマは戦争だ…ってなるのに似てません?
今の時代にものすごく実感するテーマじゃないですか。
ダメ押しで4章に青年ラファウくん登場。
1章に登場した、地動説を純粋に追い求めた孤高にして崇高な彼のような人でも、
もし後の時代に生まれそのまま成長していたら、知の追求のために殺人を犯してたかもしれない。
知を身につけても、それをどう扱うかは倫理が試される。
(ということかな、と私は理解)
結局、
“歴史上に名前のない人たち”が何人も、命をかけて願いを継承したけど
残ったのは「地球の運動について」という言葉のみ。
でもそれがふと実在の科学者アルベルトの耳に入り、しぶとく残って、
結果的にその弟子コペルニクスの「天球の回転について」という名の著書に
ほんのりつながっていったかも、だったらいいな、と締める…
やばい、話の展開が上手すぎる…!
しびれます。
(マンガにコペルニクスの著者名は出てこないけど、検索して題名の類似に気づいて「おお…!!」となった)
で、論争というか、批判の件です。
興味のある方は検索してみてほしいのですが
私が目にした範囲でざっくりまとめると、
以下の3点において、誤解を招きかねない表現をとっている、ということかと。
※ほんとはもっとあるかもしれないです。
①史実ではキリスト教は地動説を迫害してない
地動説の提唱者コペルニクスもその後進も、全く迫害されてない。
17世紀にガリレオが異端裁判で有罪になったのは有名だが、
地動説だけが原因でなく別の部分が大きい。
そもそもラファウやバデーニの時代でも、天文学の地位は低くなく
むしろキリスト教サイドからも重宝されていた。
②バデーニが地動説を完成させるのは時代的に不可能
当時の科学発展レベル(万有引力の概念がなかったり)や
観測技術のレベル(金属製の観測機も望遠鏡もない)、
古代ギリシャの文献の保存・普及具合からして、
歴史を100~200年先取りして地動説確信に至るのは不可能。
フィクションなのはわかるが、科学と知を題材にする漫画でそれでいいのか?
③宗教が科学を迫害したという誤解を強める創作、それを当事者ではないアジア人がしている
C教とぼかしてはいるがキリスト教をモデルにしたのは明らか。
これについて、思ったこととしては
①はまあ、
第三章のノヴァクとアントニ司教が話すのシーンで
「地動説迫害はここエリアだけの異例」と明かされてますし
(バデーニさんが左遷される前の教会でも相当異端扱いされてたけどさ)
確かに印象は大きく操作されたけど、問題になるほどではないのかな、と。
あと②については、これは漫画ですのでね
それを言っちゃあ杉元の不死身具合も尾形の長距離射撃もありえないのは同じ。
ピャスト伯の超人的視力による観測データと、
稀代の天才バデーニさんのひらめき、その奇蹟の組み合わせってことで
わくわくさせてもらうのはアリかと思う。
そもそもこちらの作者さん、すごく史実を勉強して書いてそうだけど
金カムみたいに巻末に参考文献ないんだなあ、と気づいたときに、
「あ、これは知識っぽいことも含め完全創作ですってスタンスなのね」って思ったんですよね。
そういうものとして、読者が
「こんなふうに地動説って発見されたんだな」みたく誤解しなければいいわけで。
まあでも、そのあたりは、願わくばあとがきとかに
実際は地動説はこういうステップで確立されました、みたく書いてくれてたらより親切だったかも。
甘えすぎ?
③については、迫害は①のとおりエクスキューズがあるけど
C教の扱いは確かにちょっと不安かも。
最近アサシンクリード?とかいうフランスかどこかのゲームで
日本人のキャラが歴史上の実在人物扱いされてて
日本人が「歴史改変だ!」と怒ってる、みたいな話あるけど
それと同じように
欧米のキリスト教徒の方が、アジア人による漫画で
こういう描かれ方するのを面白くないと感じることはあるでしょうね。
まあでもどうなんでしょう、炎上してるほどでもなさそう…?
少なくとも作者さんや制作サイドはあまり気にしてなさそうです。
とにかく
この漫画で得られる感動以外のもの、
科学的知見や中世ヨーロッパの歴史と宗教に関する情報とかは、受け取った読者がしっかり吟味してね、と
ここでも知の使い方を試されている…のかもしれない。
長くなってすみません、感想でした。
