カーボン、とくにナノカーボンには数々の利用法があげられている。

たとえば

カーボンナノチューブアクチュエータ

アクチュエータとは、信号を送る事により、伸縮や屈曲などの運動を行う装置の事です。
アクチュエータは家電製品や航空機によく利用されています。例えば、クリスマスの電飾、車のウインカーなど、電気を通すと銅電極の熱膨張によりスイッチが自動でオンオフします。似たような動きを、信号により発生させる装置といえば判りやすいでしょう。
この電極にカーボンナノチューブを使い超小型アクチュエータの研究が進められており ロボットの関節の動きや人工筋肉の研究が進められています。
先日、独立行政法人 産業技術総合研究所 健康工学研究部門 人工細胞研究グループと、アルプス技研 仙台開発センターの共同開発により、産業技術総合研究所のナノチューブ応用研究センターらが開発した、スーパーグロ-スカーボンナノチューブ(SG-CNT)を用いて、10万回駆動しても変位量が10%しか減らない、耐久性が高くて、3時間にわたって変位状態をほぼ一定に保てる変位保持性などを持つ、高性能ナノカーボン高分子アクチュエーターを開発されました。この研究の成果により、実用化に向けた開発が更に進むことになりそうです。

携帯機器向け燃料電池

カーボンナノホーンを電極に採用した、携帯機器向けの小型燃料電池が、日本電気㈱、科学技術振興事業団、(財)産業創造研究所から発表されております。 燃料電池は、水素などの燃料と酸素を反応させて電気を発生させます。
開発された燃料電池は電気出力が従来より約2割向上することが確認されております。更に、発生するエネルギーがリチウム電池の10倍程で、高効率な次世代エネルギーとして注目されています。将来的には、ノートパソコンの数日間の連続使用などが可能になるといわれており、さらに研究が進められております。

自動車用燃料電池

自動車用の水素燃料電池の開発で特に問題になっているのは、いかに安全、軽量、小型の水素燃料タンクを作れるかということです。
まだ研究段階ですが、燃料タンクを金属チタンでコーティングし、タンク内をカーボン・ナノチューブで満たし、ナノチューブに水素を吸着させて燃料として蓄える研究が進められております。

カーボンナノチューブとグラフェンの複合構造体

富士通研究所は、カーボンナノチューブ生成用の基盤に対して垂直な方向に沿って作られた多層のカーボンナノチューブ上に、数層から数十層のグラフェンの複合構造体を自己組織的に作ることに成功されました。
このカーボンナノチューブとグラフェンの複合構造体の詳細な特性や、形成構造の解析し新しい分野で活かす研究が行われています。

CFRP製人工関節・義肢

人工関節や義肢にCFRPを用いる研究がされております。 従来の人工関節の構造部には主に金属が使用されております。金属は関節が繰り返し動かされる際に発生する磨耗粉や骨溶解や、骨の萎縮、疲労折損、金属アレルギーに対しての反応など問題点が存在しています。
一方、CFRPは金属材料に比べて軽量で強度が高く、疲労強度も優れている事から代替材料になるのではないかと注目されています。
CFRPと金属製の関節と比較すると、CFRPは放射線を透過するため、CTやMRIの使用が可能となります。また、金属ではない為、空港などでの金属探知機を用いた、セキュリティチェックに不必要に反応しません。更に、金属アレルギーの問題も有りません。
まだまだ、CFRPを採用する為には課題も多く残されておりますが、将来的にはCFRP製の人工関節や義肢が主流になるかもしれません。

カーボンナノゲージ

名古屋大学、伊丹健一郎教授達の研究グループが120個の炭素原子と、78個の水素原子からなる、カゴ状の炭素ナノ化合物「カーボンナノゲージ」の合成に世界で初めて成功されております。 カーボンナノゲージの特徴としては、
ⅰ.白色固体で、ほとんどの有機溶媒によく溶ける
ⅱ.300度以上でも分解しない
ⅲ.光を効果的に吸収する
ⅳ.強い青色蛍光をもつ
という特性を持っております。