中学の化学で習うボルタ電池という現象が面白いかも。

みなさんなにか見逃しているかもしれない。

なにしろ化学だから

暗記の知識の範囲内で理屈を考えいろいろな実験をするのにとどまっているような気がする。

このサイトをみるとそれがよくわかる

 

電位差を求めるには電極に使用する元素の「イオン化傾向」(溶液中における元素のイオンへのなりやすさ、表1参照)から「電位E°」を使い式⑤の様に計算します。

 

○ 電位差の計算例

 正極にCu(E°=0.34V)、負極にZn(E°=-0.76V)の場合の電位差 

電位差(V) = (0.34V) - ( -0.76V) = 1.1V・・・式⑤

 

 ボルタ電池は1つのセルで起電力1.1V得られますが、欲しい電圧がそれより高い場合は式⑥の様に目的の電圧になるまで電池のセルを増やしそれを直列に接続します。

※電池が供給できる電流を超える負荷を接続した場合は電圧が降下します。

 

○セル数と電圧 

欲しい電圧(V) = 1.1(V/セル) × X(セル)・・・式⑥

 

   表1:イオン化傾向

元素 電位E°
Li (リチウム ) -3.05 V
Cs (セシウム) -2.92 V
Rb (ルビジウム) -2.92 V
K (カリウム) -2.93 V
Ba (バリウム) -2.92 V
Sr (ストロンチウム) -2.89 V
Ca (カルシウム) -2.84 V
Na (ナトリウム) -2.71 V
Mg (マグネシウム) -2.36 V
Th (トリウム) -1.90 V
Be (ベリリウム) -1.85 V
Al (アルミニウム) -1.68 V
Ti (チタン) -1.63 V
Zr (ジルコニウム) -1.53 V
Mn (マンガン) -1.18 V
Ta (タンタル) -0.81 V
Zn (亜鉛) -0.76 V
Cr (クロム) -0.74 V
Fe (鉄) -0.44 V
Cd (カドミウム) -0.40 V
Co (コバルト) -0.28 V
Ni (ニッケル) -0.26 V
Sn (錫) -0.14 V
Pb (鉛) -0.13 V
H2 (水素) 0.00 V
Sb (アンチモン) 0.15 V
Bi (ビスマス) 0.32 V
Cu (銅) 0.34 V
Hg (水銀) 0.80 V
Ag (銀) 0.80 V
Pd (パラジウム) 0.92 V
Ir (イリジウム) 1.16 V
Pt (白金) 1.19 V
Au (金) 1.52 V

※表1:H2より上側が酸に溶けてH+(水素)を発生するので負極材料として使われます。下側が酸に溶けない金属で正極材料として使われます。

 

イオン化傾向の覚え方

 イオン化傾向の並びだけでも覚えていると電池を作ったときにどちらが正極で負極になるか分かるので便利です。

 表1を覚えるのは大変なのでそんな時は語呂合わせで覚えます。

 イオン化傾向を覚える為に良く使われる語呂合わせが表2の「貸そうかな、まぁあてにするなひどすぎる借金」です。

 

表2:イオン化傾向の覚え方 

貸そう(K)か(Ca)な(Na)、ま(Mg)ぁ(Al)あ(Zn)て(Fe)に(Ni)するな(Sn)ひ(H)ど(Cu)す(Hg)ぎ(Ag)る借(Pt)金(Au

 

○実際に使われている電池

 国際規格「IEC 60086-1」 と 国内規格「JIS C 8500」で、電池の形状・寸法・電池系などが定められており、基本となる電池系は表3の通りです。

 

表3:電池の種類一覧(電池系)

記号             名称 電圧(V)
なし マンガン乾電池(二酸化マンガン→塩化亜鉛水溶液→亜鉛) 1.5
A 空気電池(酸素→塩化アンモニウム・塩化亜鉛水溶液→亜鉛) 1.4
B フッ化黒鉛リチウム電池(フッ化黒鉛→非水系有機電解液→リチウム) 3.0
C 二酸化マンガンリチウム電池(二酸化マンガン→非水系有機電解液→リチウム) 3.0
E 塩化チオニルリチウム電池(塩化チオニル→非水系有機電解液→リチウム) 3.6
F 硫化鉄リチウム電池(硫化鉄→非水系有機電解液→リチウム) 1.5
G 酸化銅リチウム電池(酸化銅(II)→非水系有機電解液→リチウム) 1.5
L アルカリ乾電池(二酸化マンガン→アルカリ水溶液→亜鉛) 1.5
P 空気亜鉛電池(酸素→アルカリ水溶液→亜鉛) 1.4
S 酸化銀電池(酸化銀→アルカリ水溶液→亜鉛) 1.55
Z ニッケル系一次電池(オキシ水酸化ニッケル→アルカリ水溶液→亜鉛) 1.5
H ニッケル水素電池(ニッケル酸化物→アルカリ水溶液→水素吸蔵合金) 1.2
K ニッケルカドミウム電池(ニッケル酸化物→アルカリ水溶液→カドミウム) 1.2
IC リチウムイオン電池(リチウム複合酸化物→非水系有機電解液→炭素) 3.7
PB 鉛蓄電池(二酸化鉛→希硫酸→鉛) 2.0

※なし~Zは一次電池(使い捨て)、H~PBは二次電池(充電可)

※名称の()内は、(正極素材→電解質→負極素材)の順に記載しました。

 

因みに

○「CR2032」の「C」は、表3電池系より「二酸化マンガンリチウム電池」の事

○「CR2032」の「R」は、円形(Round)の事

○「CR2032」の「20」は、外形(φ20mm)の事

○「CR2032」の「32」は、高さ(3.2mm)の事