小児脳腫瘍・咳搾取の粒子線治療の解説。
一部転載:
脳外科医 澤村豊のホームページ
- 脳ではなくて頭蓋骨にできる腫瘍です
- 年間100万人に一人くらいの発生率でとても珍しい腫瘍です
- なんといってもやっかいな悪性腫瘍です
- 病理組織は良性とされますが,良性などと言える腫瘍ではありません
- 成人にも子供にもできます
- 30代から60代に多いのですが,10代の女の子の斜台脊索腫も治療したことがあります
- 頭蓋底骨(斜台)あるいは脊椎骨(仙尾椎)にできます
- 中でも斜台という頭の中心の骨から出ることが多いです
- 年単位でゆっくり大きくなるのですが、早いものでは2−3ヶ月で増大します
- 頭蓋底手術というのが治療法ですが、その手術の侵襲と危険性はとても高いです
- また全部取り切れることはまれですし、残せば再発してしまいます
手術で取り残す場合があるので
粒子線治療が推奨される:」
粒子線治療は7割程度の患者さんに有効
- 手術で残った腫瘍には陽子線 proton あるいは重粒子線治療 carbon ion が有効です
- 粒子線治療においても術後の残存腫瘍が大きいと効果は期待できません
- 2020年イタリアからの報告では、5年局所制御割合は、陽子線で84%、炭素線で71%でした(この報告で注意しなければならないことは経過観察期間があまり長くないことです)
- 2020年時点では、手術で可能な限り摘出して、残った腫瘍には陽子線治療を加えるというのが良いのかもしれません
- 粒子線治療の有効性は、腫瘍の体積が小さい、視神経や脳幹部に腫瘍が接していないということで左右されます
- ですから、これらの重要な神経組織に脊索腫が接しないように、手術摘出の努力がされるべきです
- 一方で、粒子線治療の副作用を軽く見ることはできません
- 炭素線照射が内頸動脈を含めば内頸動脈の壁はボロボロになりますし閉塞することも多いです、側頭葉が被曝すると重い認知記憶の障害が出ることがあります、もちろん上記の線量が視神経に入れば失明します、海綿静脈洞に入れば顔面疼痛や眼球運動障害が生じます