私たちの身体は食べたもので出来ている

とは実はあたりまえだが、あたりまえでないのはその食べ物が体のこう生物の一部になる
速度だ。

3日後にネズミは殺され解剖されました。

もちろん、糞尿もすべて回収されました。

全ての重窒素が糞尿中に排出されると予想されていたのですが、

結果は予想とはかけ離れていました。

尿および糞中に排泄されたのは投与量の29.6%だけで、

重窒素の半分以上の56.5%が身体を構成するタンパク質の中に取り込まれていました。

特に取り込み率が高いのは腸壁、腎臓、脾臓、肝臓などの臓器、血清でした。

このことは、重窒素アミノ酸を含んだ餌は、

ネズミの消化管でアミノ酸に分解、吸収され、

それらのアミノ酸が新たなタンパク質に組み上げられ、

各臓器、組織に取り込まれていることを示しています。

実験前後でネズミの体重に変化はありませんでしたから、

盛んに合成されたタンパク質と

同量のタンパク質が分解され、体外に捨て去られているということになります。

外から来た重窒素アミノ酸は消化吸収されて後、

瞬く間に身体の構成成分となっていたのです。

そして、時間が過ぎると

身体の構成成分であった重窒素のアミノ酸も分解され、

体外に排出されるのです。

ここにあるのは、流れそのものです。

ネズミの場合、たった3日で体の成分がいれかわっていたことになる。

 

全体の半分の成分が入れ替わる時間を半減期と言いますが、

肝臓では2週間、

赤血球は120日、

筋肉は180日といわれます。

となると、今の私と1年後の私では

その構成成分は全て入れ替わっている。

 

自分という存在は1年間でいれかわっている。

だから

私とはなんなのだ?

 

これを最初に発見したのは

ルドルフ・シェーンハイマー(1898-1941)。