マリス博士の奇想天外な生活・第10章ネイチャー編集者の実力とは

ネイチャーの論文を選ぶ人たち(編集者、審査員)の実力はどんなものだろうかという私の

疑問だ。マリス博士は1968年に専門以外の考察で”時間逆転の宇宙論駅意味”という直感的な仮説を題材にした論文をネイチャーに寄稿して掲載された。バークレーの大学院二年生の時だった。まだ博士号を撮る前の話だがこの大学院生の論文に世界中から反響があった。これは宇宙論で全く専門外だがアイデアと論理と口のうまさで本当にすごい論文だったらしい。

ところが本職でノーベル賞をとったPCR論文は却下された。サイエンスにも却下された。

PCR論文こそ世界を変えるもっとすごい論文だ。仮説ではなく、実証に基づいていてひの打ち所もない。ネイチャーの審査員はこの論文の価値がわからなかった。

私はこのエピソードこそ重要なポイントの一つであると思う。

私の博士論文の審査の時も審査員の教授が全員、理解できない数学的解明があった。

多項式の分数を二つのモードに分離した部分分数に分解することで解析解を求めるところだ。

幸い、近くに一人だけ理解のできる同僚の研究者がいてピンチを脱することができた。

新しい知見の発見というものはそれが新しければ新しいほど今まで見過ごされてきただけに理解されいくいはずだ。

 

マリス博士はPCRだけでなく他の問題でも類まれな独創的な思考法をとる。

”11章の科学を語る人々”でそのことが実感される。

地球温暖化問題でマリス博士は独自の見解を披露しているがそれこそ彼の科学者としての賜物を存分に披露している。

地球温暖化問題では私は賛成論と反対論の両者があることを知っているというだけだが、

天才科学者のマリス博士は

きっぱりと温暖化説を納得できる論理で切り捨てている。

まあ、それはわたしだけががアホなのではなく他の幾多の

科学者も同様なので恥じることもないだろう。と考えるのがアホなのかもしれない。

 

ただし大天才マリス博士が毒蜘蛛に刺されてその治療法を主治医と議論した結果、

主治医ヘンドラー医師の治療法が正しいことが

証明されたのでマリス博士も間違うことがあるのはご愛嬌だ。