放射線レベルの現状について考えてみる。
データとしてはリアルタイム情報のあるわたしの古巣の
高エネルギー加速器研究機構(KEK)の
つくばにおける線量率の時間変化 (1時間平均値)
を用いる。
つくば(KEK)の放射線線量
測定場所:つくば市大穂1ー1
測定器:ガイガーミュラー計数管式放射線モニター(写真)
写真をみるとトレーラーハウスのなか、地面から1mくらいの高さにあるとみえる。
測定の担当をされているIさんのお話では、この測定は地面への堆積の効果をみているのではないか
というお話であったが、
この写真では地面の上に建物があるので、子供たちがあそぶ野外の条件とはことなるように思える。
下のほうに3月16日から4月17日までの測定器の出力がプロットされている。
(本当はもっとまえに3月11日からのデータがあるのよいのだが、残念だ)
図で3月23日の縦軸のあたいに着目して欲しい。
約 0.3 micro Sv.
そして約8日後の3月31日の値はというと
約 0.16 icro Sv.
放射性ヨウ素131の半減期は8.1 日だ。
したがって、このグラフは放射性ヨウ素131からの放射線(ガンマ線)
の減衰を表している事になる。
3月23日まえの3月16日にもっとおおきなピークがあるが
これはこのときに原子炉からある規模の放出があったのをつくばで観測したことを
表している。つまり、このモニターはフォールアウトの累積だけでなく
パルス的な放射線の増加をみるだけの時間応答があることを示している。
ここで以前から何度もこのブログで疑問をだしてきた問題がある。
各国のシミュレーションが福島を中心として毎日、大気中のフォールアウトの
予測情報をだしている。
それは福島を中心として、渦巻き状になっていて、時折関東以南まで襲ってくる。
あるときにはしっぽがきれてチエルノビルの分布(これは累積なのだろうか?)
のように、南百キロも離れたところにも、濃い放射能を降り注ぐ。
が、このKEKのモニターでは、放射性ヨウ素の減衰がほとんど主成分で
渦巻きのしっぽの様子がみられない。
全国の野菜類の放射能のデータベースを精力的に
整理しているMIT/産総研河尻耕太郎さんとこの点についてメールにて議論をしたのだが、
シミュレーションの精度というものはまだまだないらしい。
とすると、シミュレーションで、何百キロか先の濃い色をしているしっぽの
放射能の絶対値の大きさは
たとえば、200キロ弱のKEKでは
測定のカーブにのっかっている、ノイズのようなギザギザの振幅程度が
シミュレーションのしっぽの濃い色に相当するのだと
考える事ができる。
したがって、
ドイツ、ノルウエー、イギリス、オーストラリア、台湾などが
おこなって注意を呼びかけている
シミュレーションの離れたところでの放射線レベルは気にするほどの
強さではないと結論づけられる。
いまの漏れのおおきさでは
連休などで風がふいても
福島県近傍以外は放射線の被曝の影響は少ないと考えられる。
以上はデータにもとづいたわたしの
理屈であり、各自自分で判断をしていただきたい。