明日の夕暮れ(小説)
痛みとは何だろうか。心の痛み、体の痛み。いろいろあるよね。俺の場合心の痛みが80%をしめている。これはある程度健康だからだろう。持病もちではあるが、特に普通の生活に不自由なく暮らしている。近所のスーパーにも、コンビニにも、都会の大きな本屋にも行ける。なにも不満はない。しかし、心はいつも満たされず、傷つき今となっては半分以上失ってしまっているのではないだろうか。コンビニに行くと、店員の目が気になり、この社会不適合者がと言われているような気がしてしまう。病気だろう。なにもかも自分には不釣り合いで、むなしく、いたたまれなくなっている。明日会う友達もいない。ないないずくしである。「ミキヤ」声をかけられる。昔の同級生。目も合わさず無視する。それが一番の身を守る方法だった。「ミキヤってば」しつこいな。歩行速度を速める。しかし手をつかまれる。「なんで無視するの」もう逃げられない。「なんだよ」「最近どうしてるの?」女に最近のことを聞かれる。一番プライドが傷つけられることだ。「なにもしてないよ」「無職?」「ああ」「なんで働かないの?」人の心はゆがんでいる。人は人を傷つけることをいとわない。それは俺自身もそうだ。「お前、バカだろ」「は?」「じゃ」捨てぜりふを吐いて逃げる。そいつは俺にそんなことを言われると思わなかったらしく一瞬呆然としたが、すぐに怒りをあらわにし叫んだ。「この社会のクズ!」「お前もな」最後に小声でつぶやき終わりにする。そうこれでいい。俺はもう誰ともかかわりたくはなかった。家に帰ると雑然とした部屋が俺をお出迎えする。SEXがしたい。俺は童貞だから妄想が膨らむばかりだ。ネットでAV女優を調べる。大手配信サイトに先月有料登録したためオカズさがしは苦労しなかった。いつもそうだ。朝起きてネット、昼寝してネット。それの繰り返し。なにもない。希望もない。そろそろ働かなければと思うほど苦しくなり、働いていた頃の記憶が蘇る。「死ね!」会社ではひどい時、そんな言葉が飛び交っていた。パワハラ、セクハラ、モラハラのオンパレード。しかし、それはたいして珍しいわけでもないことを俺は知っていた。でもそんなのは関係ない。気に入らないとこにはいたくない。死んだほうがマシだ。俺は一年でその会社をやめた。悔いはない。なにかをやめたことで悔いたことは一回もない。しかし何かをして悔やんだことはたくさんある。なにかをしようと思うからだダメなのだ。時折本屋に行く。そこでは綺麗な店員がたくさんいて、本よりそっちに目がいく。俺はどうあがいても男だということ自覚してしまう。「いつもありがとうございます。」笑顔で対応してくれる店員さん。可愛い。付き合いたい。なんて。誰にも関わりあいたくないのに女はほしい。ダメかな?ダメだよな。「俺と付き合ってくれませんか。」「あの、、、ごめんなさい。今はお仕事中ですのでそういったことは受け入れられません」反射的に告白していた。俺はサイコパスか。満足して家に帰る。どうしようもないクズ。笑えるな。今日はどうしようか。どうしようもない。音楽を聴こう。エリッククラプトンだ。レイラー朝起きる。おなかが減っていると死にたくなる。