愛された証 | 徒然とわ日記

徒然とわ日記

日々の暮らしの中、心に留まった事を綴ります(^-^)
雑記帳みたいなものです。
見てくださったら嬉しいです(^_^)/

「じゃあ、今日からここがあなたのお家ですニャ。」
管理人さんが、こじんまりした家に案内してくれた。
「一通り必要なものは揃ってると思いますニャ。足りないものはご自分で調達してくださいニャ。」

あたしは家の中を見回した。
整えられた家具。布団もある。
あたしの荷物は、この小さな包みひとつだ。
旦那さんが別れ際あたしに持たせてくれた、大切な大切な風呂敷包み。

部屋の中央に、ふかふかのラグが敷いてある。
あたしはそこに転がって、包みを開けてみた。
「旦那さん…。」



いっぱいいっぱい、狩りに行った。
採取も、魚釣りも、運搬も。
旦那さんと、その仲間さんと、そのオトモたちと、数え切れないほどのクエストに行った。
ーーーねえ旦那さん、初めて釣った黄金魚大きさを競ったの、覚えてますニャ?

うにゃあ…。
じっと座っていられなくて、外に出てみる。

青い青い空にはお日さまが輝いていて、真っ白な砂浜に、たくさんのアイルーが遊んでいる。
みんな楽しげに笑っている。
ここはチコ村の外れ、ぽかぽか島。


あたしは今日、オトモを引退した。
旦那さんが、ここならお前を預けられると、抱いて連れて来てくれた。
あたしの左脚は、 もう動かない。
もう…狩りには行けない。
お役に、立てない…。

旦那さんはそれでも一緒に暮らそうと言ってくれた。
狩りに行けなくても、お前が側に寝転んでくれるだけで俺は癒されるんだ、と。

あたしがいないと、ホットドリンクとクーラードリンクをよく間違えるうっかりな旦那さん。
地図を見ながら道に迷う、天性の方向音痴さん。
大好きな大好きな…とっても大好きな旦那さん。
だからこそ、あたしは…。


人影が近付いてくる。
見上げると、銀の髪の優しげなハンターさんが、あたしを見て腰を下ろした。
大きな手が、そっとあたしの頭を撫でる。
「泣いているのかい…?」
初めて気づいた。
あたしの足元の白い砂浜に、ポツリポツリと点ができていた。

「キミが、新しく来たコだね?…キミの旦那さんから、くれぐれも宜しく頼むと言われたよ。」
わたしはワグナー、この近所に住んでいて、キミたちの友達になりたい男だ。
そう言って、彼は笑った。
「彼が会いに来れるよう、あらかじめ、この島への海図を送っておいた。
きっとすぐ会いに来てくれるよ、キミをそんなに愛する彼だから。」

あたしの手には、旦那さんからの小包。
汚い字で、暖かくして寝るんだよとか、ちゃんとご飯食べるんだよとか書かれたメモ書き。
そしてあたし用の腹巻に、手袋に、これは…レッグウォーマー?ここ常夏なのに、相変わらずうっかりさん…。
高級ネコ缶に、あたしの好きな木の実。
旦那さんの匂いのついた…靴下…。
一番大きな紙には、今までありがとう。これからはゆっくり休んでくれ。俺も定期的に会いに行く、って書いてある。

方向音痴なのに…。
ゆらり。
視界がまたぼやける。
あたしの頭を撫で続けるその手が旦那さんにとっても似ていて…。



うニャぁぁぁぁ〜〜ん!!

優しいハンターの腕を借り、新米住人が鳴く。
アイルーたちが次々と寄って来て、ギュッと彼女を抱く。背中をさする。


ここはぽかぽか島。
アイルーたちの楽園…。



fin.
とわ著