小さな淑女(レディ) 5 | 徒然とわ日記

徒然とわ日記

日々の暮らしの中、心に留まった事を綴ります(^-^)
雑記帳みたいなものです。
見てくださったら嬉しいです(^_^)/

さて、こちらはとわとラギ。
とりやすい安全な場所は一般人に譲り、ハンターである自分たちは、ジャギィの巣の近くのハチミツをとりに来ていた。

「あら、本当に巣の近くなのね…。」
ギャァッ!
1匹のジャギィが2人に気づき、警戒の声をあげた。

「どうする、とわ?」
背中の太刀に手をかけながらラギが問う。
「できれば無駄な殺生はしたくないんですけど…。」
歩みを止め、前方を見つめるとわ。
ジャギィ達の出方を観察する。

ギャァッ! ギャァーッ!
1匹目の声に反応し、ジャギィ、ジャギィノス達も威嚇の鳴き声をあげ始めた。
とわは身振りで、そこのハチミツをとらせてと訴えてみる。

先頭のジャギィがこちらに向かって来た!

「…残念だが、あいつらはオレ達を敵、または食料と見ているようだな。」
「ヒトと体の作りも違うし、通じないのは当たり前ですわね…。仕方ありません。」
とわも太刀に手をかけた。
気が進まない。
彼らにとったら、自分たちが侵入者なのだ。

ジャギィとジャギィノスの群れは跳ねながら距離を詰め、とわとラギに襲いかかってきた。

「フッ!」
ラギが太刀を振り下ろす。
ギャァゥーッ!
グギャーッ!

とわはハッと気がついた。
ーーーそうよ、ハチミツとるだけだもの!
何かを求め、ごそごそとアイテムポーチを探る。

次の瞬間、辺りは閃光に包まれた。

グルグルと目を回すジャギィたち。
とわはその隙にハチミツにダッシュした。
ラギが辺りの警戒にあたる。

ハチミツを7個ほど掻き集めた時、別のジャギィが巣から現れた。
「とわ、また出た!」
ラギの声に、とわは再びポーチを探る。

べちょ。
「きゃっ…。」
ネバ〜っと、手にネンチャク草がついた。
ーーーしまった、さっき摘んだ薬草に紛れていたんだわ!

ポーチの中は、ビンに詰めたハチミツ以外、ベタベタまみれになっていた。
もちろん、お目当ての閃光弾も。

「ラギさん、大ピンチ!逃げますわよ!」
こんな手じゃ太刀も握れない。いや、握れることは握れる。柄がヌルベトになって気持ち悪いだけなのだが。

とわが慌ててその辺の草にベタベタを擦り付けて苦戦しているうちに、目を回していた先行ジャギィたちも合流し、ジャギィ群が迫って来る。
「ちょっと待って待って!お手々綺麗になるまで待ってーー!」
もちろん、そんなのジャギィたちには通じない。
「防具で拭け!」
「なんですと?!これは昨日虎姉様が縫ってくれた、おニューの…!」
「いいから拭け!」

ーーー!

フキフキ。
とわはとっさに、ラギの背中から出ていたインナーの一部で手を拭いた。
「おいっ……。」
「さあ、行きますわよ!」
太刀を手にし、とわの眼光が鋭くなる。武器を手にすると、高揚感が襲って来る。

「……オレのインナーもおろしたて……。」
がっくり項垂れるラギの横を、とわが駆け抜ける。
「はぁぁぁぁ!!」

2人が太刀を振るう度にジャギィとジャギィノスは吹き飛ばされていった。
とわとラギは、巣から離れるように戦う。

しかし…。
「もう!いい加減に諦めてくれないかしら。」
それでも執拗に襲ってくるジャギィの群れ。

「……どうやら奴等の親分が現れたようだな。」
ジャギィの群れの動きの変化に気づいたラギがとわに教えた。
「え?」
ラギの視線を追う、とわ。

見上げると、一段高い崖の上に群れのボスであるドスジャギィが現れた。

アオゥーーーーッオゥオゥオゥッ!
立派なエリマキを広げ、威嚇の声をあげる。

軽快に岩場を蹴り、とわに迫るドスジャギィ。

グゥアゥゥッ!
「きゃっ!」
ぎりぎりで噛みつきを避けたとわ。
しかし、続いて横殴りに飛んできたドスジャギィの尻尾が横腹に命中して地面に転がる。

「とわ!」
立ちはだかるラギ。
「わたくしなら大丈夫!」
どうやら思っていた程のダメージはなさそうだ。

「……よくも…我が妻を…許さん!!」
ラギの身体から怒りの闘気が立ち上る。

ーーーいや、まだ奥さんじゃないわ…よ?ってか彼氏でもないわよ?
心の中でとわは突っ込んだ。

ギャオゥゥゥーーーッ!
ドスジャギィもエリマキを広げて威嚇の叫びをあげる。

タッ!
ラギは一瞬でドスジャギィの懐に入り込むと、その場で太刀を振り回した。
「は、速い…太刀筋が全く見えないわ。」
ラギは速攻を得意とする剣士。同じ太刀を握っても、とわのそれとは、速度は全然異なる。

グゥギャァーーッ!
ドスジャギィの周りを血煙りが包む。

タッ!
ラギがとわの隣に戻るのと同時にドスジャギィが倒れ込んだ。
「ラギさん…。」
「安心しろ、手加減はしてある。」
「よかった。」
ラギの言葉通り、瀕死のドスジャギィはなんとか立ち上がると、2人から逃げるように歩きだした。

「奴を殺したら、お前が悲しむからな。」
ドスジャギィを見ながらラギがつぶやく。
「ラギさん…。」
「!…伏せろ、とわ!」
突然ラギがとわを押し倒し、身体の上に覆い被さった。

ブワァァァァーーーーーッ!
一陣の風と共に頭上を何が通り過ぎていき…。

ギャァァァァァーーッ!
クゥァァァァァーーーォッ!

ドスジャギィの悲鳴と何者かの雄叫びが聞こえてきた。

「あれは…」
「ライゼクス!とわ、直ぐにここから離れるぞ!」
「でも!」
「奴がドスジャギィを喰らっている間に逃げるんだ!」
「なんてこと…!」
ラギに抱えられ、隣のエリアに向かうとわ。
その視線は、ライゼクスに喰われるドスジャギィから離れなかった。



──無事にキャンプに戻った2人。

「…ラギさん。」
「とわ、お前の言いたい事は判る。だかな…2人だけで狩れる程ライゼクスは甘くないぞ。
それは、お前も理解しているだろう?」
「……………。」
「強い者が弱い者を喰らう、それが世界の理(ことわり)だ。」
「ええ…。」

ーーーでも、わたくしたちがあそこに行かなければ、あの子たちは…。
ポーチのハチミツ瓶が、冷たく、重く感じられた。

「帰るぞ、とわ。兄者達が屋敷で待っている。」


つづく
とわ&GG共著