ワグナーさんちのお風呂 3 | 徒然とわ日記

徒然とわ日記

日々の暮らしの中、心に留まった事を綴ります(^-^)
雑記帳みたいなものです。
見てくださったら嬉しいです(^_^)/

さて。プチ旅行に出たワグナーたち。
壊した風呂をなおすための素材と、ボディーソープにするためタマミツネの泡を求めて、渓流へ。
飛行船で現地まで優雅に……のはずだったのだが。


「本船は間も無く岩山に激突する!皆、とにかく脱出しろ!」
アナウンスの最後は聞き取れないくらいで、声の主も逃げ出したのが良くわかった。

「オイオイオイィィ!」
ガロンとナイトは、ジェット君と一部の食材を担いで、デッキに駆け上がる。
毛布で一緒にぐるぐる巻きにされたワグナーと虎姫が、ラギの小脇に抱えられていた。
ラギは辺りを見回し叫ぶ。
「とわ!どこだ!」
船室から、とわが転がり出て来た。こちらに向かって駆けて来る。
ラギは彼女を抱え上げ、躊躇もなく飛行船から飛び降りた!
「いーーやぁーーーーーーーー」
女の声がみるみる遠く、小さくなっていく。

ドゴォォォッ。
コントロールを失った船体は大きく傾き、山肌に激突した。
巻き起こった土煙の中、人影2つと小さな影が飛んでくる。

「はぁっ!」
受け身をとって白銀の鎧の男と、ほぼ裸体の男が着地した。
その背中を、ぽーーんと鞠のようにバウンドしつつ、耳をぺたりと伏せたアイルーが跳ねる。
ナイトは彼をキャッチしてやった。
やれやれとガロンが立ち上がる。埃を払いつつ周りを見渡す。
とわの尻の下敷きになったラギ、毛布が絡まって身動きとれぬバカップル、それぞれなんとか無事なようだ。

「はぁ~~。ようやく地に足がついた…。しかしナイト…これで俺は3度目だぞ。人生で3回も飛行船で墜落するなんて、そんなヤツあるかなぁ。」
一同の視線がガロンに集まる。
「……2度とテメーとはいっしょに乗らねえ。」
ナイトが無表情で呟いた。



さて。飛行船の弁償資金を稼ぐためにも、皆で稼がねばならない。
幸いにも彼らが降り立ったのは、目的地・ユクモ村のそう遠からぬ場所であった。

「ユクモの温泉は現在改装中で、足湯のみ営業しているそうです。」
この地に縁のあるナイトが、早速、村長と話をして来た。
「ええ~~っ。」
虎姫ととわは、揃ってがっかりしたように声を上げる。
「がははは、こりゃあ、渓流で水浴びするしかねぇな。」

一行は、ユクモの門をくぐる。
温泉街ならではの独特の香り、屋台の美味しそうな匂い。
紅葉がハラハラと舞い、街の人々の衣装も目新しい。


「お嬢、姫、足湯には遠くからの旅人も浸かりに来ます。人脈を広げるにも、各地の話を聞くのにも、便利ですよ。」
ナイトはいつの間にかユクモ装備に着替え、太腿まで袴をたくし上げた。
細かな傷だらけの、鍛え抜かれた筋肉質な脚。
とわと虎姫は、思わずじっと見入った。
その脚が静かに湯に浸かる。
「お2人も浸かってみては?」
ナイトの声にはっとして、とわと虎姫はちゃぷん、と脚を浸す。
じんわりと脚の先から温まってきた。
「オヌシらもハンターなのかの?」
ふと見ると、パイプを燻らせた小さい竜人のおじいさんが浸かっていた。
「ワシの兄もハンターでの。ワシは商人の道を選んだが、ハンターとは縁が深くてのう。」

ガロンとワグナー、ラギが買い物を終えて足湯の側を通ると、とわ達を中心に、足湯の輪ができていた。楽しそうに談笑する面々。
ラギ達3人は通りを挟んだ向こう側のユクモ屋台で、肉盛りマグマ丼をかきこみながらそれを眺めていた。
「ワシはもうしばらくここに滞在するから、いつでも話しに来ておくれ。」
とわは、仲良くなったミナガルデのご隠居から、お土産だとモンスターの体液をもらった。


「そういや、そこでハンターに聞いたんだが、龍歴士装備ってのが熱い所や寒いところをほっつき歩くのに便利らしいぜ。」
ガロンが温泉タマゴを頬張りながら話し出す。
「聞いたことないわ。」
虎姫が頬杖をつく。
「なんでも、北風の狩人ってのと、南風の狩人ってのがついていて、クーラーやホットが必要な場所でもへっちゃらなんだとよ。」
ガロンの答えに、ナイトが補足する。
「北風の狩人ってのは、寒さ無効。寒いエリアで攻撃力が15、防御力が20上昇。クーラードリンクを飲むとどのエリアでも攻撃力が+5上昇。
南風の狩人ってのは、暑さ無効。暑いエリアで攻撃力が15、防御力が20上昇。ホットドリンクを飲むとどのエリアでも攻撃力が+5上昇するんだ。
普通どっちかなんだが、龍歴士装備一式時は両方が発動する。さらに、そこに剛刃研磨もつくんだ。そうだな、テオ!熱い所でテオと戦う時なんか良いんじゃないか?」
「何着もお洋服作るなら、便利だし、欲しいわーー。」
「ワグナー、おめぇ、良くドリンク忘れるんだから、作っとけ!」
「失敬な!この間はたまたま3回連続で忘れただけだ!」

心地よいざわめきの中、いつの間にか、初日の夕陽は山陰に。
今宵のお風呂は一体どうなるやら。


つづく
とわ著