ワグナーさんちのお風呂 1 | 徒然とわ日記

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日々の暮らしの中、心に留まった事を綴ります(^-^)
雑記帳みたいなものです。
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元・貴族の坊々のワグナーさんは、現在は一家の主でハンターである。
彼が、婚約者である虎姫のために自ら建てた「メルヘンきのこハウス」。
今日はここの姫専用の風呂にまつわるお話をしよう。

「ガロン、手伝ってくれ。風呂のタイルが3箇所剥がれてきたようだ。」
ワグナーは、ガロンの部屋の扉を蹴り開けた。
セッチャクロアリの体液と瑠璃色のタイルを抱えて、両手が塞がっているのだろう。
「おめぇなーーー、イキナリ開けるんじゃねーよ。俺がう○こでもしてたらどうすんだよ!」
床にゴロ寝していたガロン、面倒くさそうに視線を寄越す。
「そういうものをその辺でするのはお前だけだ!皆、トイレでちゃんとしている。
本当に…まったく行儀の悪い野生児め!」
ガロンに軽く蹴りを入れ、ワグナーは上階へ上がって行った。
「いってぇな、ハンターの蹴りはそこらの一般人とは違うんだぜ?」
ブツブツ言いつつ、よっこらしょと立ち上がる。
「昔はよく泣くメソメソ虫だったくせによ。
ってーか、足で扉開けたり人を蹴ったり、お前も充分行儀悪いじゃねーかよ。」

屋上に作られた、ビー玉の散りばめられた豪華な露天風呂。
昼間は日の光を、夜は月の光を反射して、空間が七色に輝く。
壁面部分は季節折々の花をつける樹木を植え込み、雷光虫を放し飼いにしてあり、新月の夜でも明るく入浴できる。
ワグナーは、排水溝近くのタイルを補修し始めた。うっかりすると、階下の居間に水漏れの恐れもあるのだ。
「ガロン、そこのノヴァクリスタル取ってくれ。」
「おう、これか。」
手を伸ばすワグナーに手渡してやろうと、ガロンが一歩踏み出す。

つるん♪
ずるっ♪
ドデーーン♪
つるりーーーーーん♪
シューーーーーーーーーー♪
「あぎゃー?!」

何事かと振り返るワグナーの顔面に、巨体が体当たりして来た!
「止めてくれぇぇ!」
がっしゃーーーん!
「ピギャ!」
大騒音の果てに、何かがつぶれたような声がした……。



「で?言いたいことはそれだけかしら?!」
腕組みした女性が2人。
テーブルにはこれから食事であろうか、美味しそうな料理の数々。
床には大男がちんまりと正座し、ソファには顔面血まみれの男が伸びている。
そして辺りは水浸し。
もちろん、女性2人も水浸し。

「ギャァァァーーーーー!!!」
数分後、この世のものとは思えぬ叫びが響き渡り。
辺りから野生動物の気配が消えたという…。



「そうだ、渓流に行こう!」
顔と同じくらいの大きなタンコブを頭にくっつけた大男が声を上げる。
「あそこに、タマミツネって言う泡々のモンスターが出るらしい。そいつを取っ捕まえて、身体洗って、渓流の水で水浴びしようぜ♪」
ワグナーは両鼻にテッシュを詰めて、虎姫の膝枕で休んでいた。
「渓流か…。ロイヤルハニーに、ユクモの木や堅木が採れるな……。」
銀髪の家主は、ゆっくりと上体を起こす。
「うん、姫のデザートに使ってみたいな、ロイヤルハニー。」
妹・とわも身を乗り出して来る。
「どうせ今は私たちしか居ないのだし、遊びに行きましょうよ!
渓流なら、ユクモの村も近いでしょ。水浴びだけでなく、温泉にも浸かれるわ。」


かくして、家の風呂をぶっ壊したゴリ一行は、渓流を目指してプチ旅行に出るのであった。


つづく
とわ著