「違う!違うわっ!」
倒したラージャンの逞しく引き締まったヒップを撫でながら、とわは首を振った。
「これじゃないわ…これも魅力的だけど!これは伝説のお尻じゃ無いわ!」
遡ること1週間ほど前。
とある街のギルドにて。
ウルクススの資料を見ていたとわは、挿絵の尻尾の違和感に首を捻った。
「ねえ、ウルクススの尻尾って、こんなに丸っこく無いわよね、ガロン?」
「あぁ?…ああ、そうだな。もっと平べったいよな。」
ガロンは、手元のメモ用紙に、せんべいのような尻尾を描く。
「ええー…さすがにもう少し丸みあるわよ。」
「そうだっけか?」
わいわい討論していると、ラギがやって来る。
「確かめに行って来たらどうだ?」
彼はピラッと、「雪のちウルクスス」の受注書をテーブルに乗せた。
「…爺や~!ウルクススの尻尾を見に行って来るわ!」
とわは、雑貨屋でボウガンの弾の注文をしているジョウジに声をかけ、既に支度済みのガロン、ラギと共に、集会所を飛び出して行った。
「おじょ…!」
彼がはっと振り向いた時には既に、出発を告げるベルが鳴ったところであった。
「…やれやれ…。」
結局、ウルクススの尻尾はチョビッとしたものであった。
だが、それ以来、とわは取り憑かれたようにモンスターの尻を追い回すようになった…。
さらに、ヒップにも色々タイプのあるのを知ったお嬢。
「わたくしは究極のお尻が触りたいの!」
食事中に突然立ち上がり、彼女は宣言した。
爺やとワグナーは思い切りスープを噴き出し、虎姫はフォークに刺さったウインナーを思わず落っことす。
ガロンのみが平然として。
「聞いたことあるぜ、把凛っていう女ハンターが、とびっきりのいーいケツしてるんだとよ。
助平な男どもが言うんだ、間違いねぇだろう。」
「把凛さん…。」
とわの目がキラリと輝いた。
翌日から、ドンドルマの街に、あるお嬢様ハンターの噂が流れ始めた。
モンスターハンターを目指していたその娘は、何かとても可哀想な事情によって精神を病み、
とうとう尻ハンターになってしまった、と。
「くっちゃーーい!多分、把凛さんのお尻はこんなものじゃなーーーい!!むきーーー!!」
夕暮れの遺跡平原で、討伐したババコンガのお尻を撫で回し、絶叫する娘が1人。
「…お嬢様……。」
「お嬢……。」
「とわ…。」
チカン注意と書かれたその看板のすぐ横で、男が3人、そっとハンカチで目頭を抑える。
年輩の男が、ため息をつく。
「ちょっと会わない間に何があったんだ…。」
ユクモ装備の男が呟く。
「オレの尻ならいつでも触らせてやるのに…。」
仮面が、心なしか哀しげだ。
カアーーーー。バカァーーーーーーー。
カラスが1羽、夕焼けを背景に飛んで行った……。
伝説の…fin.
とわ著