怒り狂う金火竜。
辺りは、彼女の吐いた炎により、たちまち火の海になった。
クーラードリンクを飲んでいても、息苦しいほどの熱気。
女王の怒りの矛先は、視線の先にいたジョウジに向いた。
彼に向かい、突進する金火竜。
ジョウジが回転して回避すると、すぐさま噛みつきが!
緊急回避で地に伏したジョウジ。
その彼をサマーソルトが襲う!
すんでの所で転がって回避したが、またもや突進が来る。
「爺やぁっ!」
とわの叫びが木霊する。
どうしよう!どうしたら⁈とわの頭はフル回転する。
しかし、まだ経験も浅く、ましてや金火竜との戦闘経験の無い彼女の頭は、残念ながら何も思いつかなかった。
金火竜は他の3人には目もくれず、執拗にジョウジを襲い続ける。
その激しい攻撃を辛うじて避けながら、ジョウジは反撃の機会を窺っていた。
ーー愛するものを奪われた、お前の怒りと悲しみ……。拙者には痛いほどわかる。
怒りのサマーソルトが繰り返される。
金火竜の雄叫びが、どことなく哀しい。
――だがな…お前達を狩らねば、シオンが、村の住人が危険に晒されるのだ!
「爺や!」
「オッサン!」
「爺や殿!」
何とかしてジョウジから金火竜を引き離そうと攻撃を加える3人。
しかし硬い殻に阻まれ、思ったように効果がみられない。
「くそっ!動きが速くて、狙ったところに当たらねぇ!」
ガロンが呻く。
とわが投げた閃光玉も、タイミングがずれたのか、まるで効いていない。
太刀も、入ったり弾かれたりで、埒があかない。
「どこ?どこが柔らかいのっ?」
ジョウジは相変わらず追われて回避を繰り返している。
右腕を、掠られた。
反撃のチャンスはなかなか、見出せない。
「まずいな…いかに爺や殿でも、このままではスタミナがもたないぞ。」
ナイトがつぶやく。
近くでいきなり火柱が噴出し、彼は飛び退いた。
「ああ…どうしましょう、ナイト様!」
「俺たちはどうすればいい!編み笠!」
とわとガロンがナイトに詰め寄る。
「…誰か罠を持っているか?」
ナイトは地形を確認しながら、鋭く問う。
とにかくダメージを稼がねば。
「わたくし、落とし穴が残っています!」
とわがポーチを探りながら応えた。
「よしっ、お嬢はエリアの真ん中、あの段差の手前に落とし穴を仕掛けてくれ。」
「わかりましたわ!」
ナイトが指差した先を確認し、とわはエリアの真ん中に向かって走り出す。
イーオスたちがギャアギャア騒ぎ立て、彼女を追い始めた。
「ガロン!罠にかかったら、一撃頼むぜ!俺は遊撃に回ろう!」
「任せろ!奴の頭に一発ぶちかましてやるぜ!!」
ガロンがとわの後を追って駆け出した。
途中、何匹かのイーオスをぶった斬りながら。
ナイトは、僅かだが体力の減った仲間のために生命の粉塵を一気に飲み込み、ジョウジの近くに走り出した。
「爺や殿!中央に罠を仕掛けます!」
ジョウジは頷いて、体勢を立て直した。
「承知!」
とわが必死で走る。
イーオスに飛びかかられ転んでも直ぐに立ち上がり、中央を目指す。
走りながら、ポーチの中の落とし穴キットをぎゅっと握って確認する。
ーーーこれ1つしか無いわ、失敗はできない!
仕掛ける手順を無意識のうちに思い描きながら、エリア真ん中にたどり着く。
不気味に跳躍しながら迫り来るイーオスたち。
「邪魔しないで!」
最後の閃光弾を投げる。
眩い光の中、彼女は落とし穴を予定の場所にセットした。
ピコーンピコーン。ガッシャン。ボシュン。ザザッ。
ガロンが側に立つ。
大剣を背から抜いて、金火竜に向かって剣先を向ける。
「来いやぁぁ!」
ジョウジとナイトが、金火竜を誘導すべく、こちらへ向かって走って来る。
とわは、太刀に砥石をかけながら、祈った。
ーーーお願い、かかって!
つづく
とわ&GG共著