番外編・夏のお約束 18 | 徒然とわ日記

徒然とわ日記

日々の暮らしの中、心に留まった事を綴ります(^-^)
雑記帳みたいなものです。
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お次は、そのジョウジとコゲ爺の番。
人生経験豊富なこの2人、ちょっとやそっとでは驚かない。
数々のドッキリを笑い飛ばし、木の実をとろうと裏林へ。

ーーあった。あれだな。
ジョウジがよっと木に登り、木の実に手を伸ばす。
3個採取して、下で待つコゲ爺に投げた。

「!!」
ふと気配を感じ、ジョウジとコゲ爺が見上げると、より高い所から仮面の男が見下ろしていた。
ラギ……じゃない!気配が違う。もっと冷たい気配。
「何者じゃ!」
コゲ爺が木の実を投げた!
瞬時に男はナイフで木の実を斬り捨てる。
そして枝から皆の方へ飛び降りて行った。

「…皆の所へ戻ろう!」
2人は、投げた数の実を補充し、塀の中を疾走する。
ここからでは、先ほどの男がどこに行ったか確認できない。若たちが心配だ。


とわのすぐ側に何者かが着地し、驚く彼女をあたまの天辺から爪先までさっと見回す。
「そなたがバリエンフェルドの次女、とわか。」
とわが叫ぼうとすると、仮面の男は彼女の口を瞬時に塞ぎ、返事は、と促す。
身の危険を感じ、大人しく頷くと、男はとわを解放した。
「また会うこともあるやもしれぬ。」
言って、男は消えた。
……この間、僅か数秒。


「さすがだね、爺や。コゲ爺。」
ワグナーからクリアご褒美のラムネを受け取りながら、全員の無事を目で確認し、彼らはナイトと共にいるラギに歩み寄った。

「面を着けた者に会った。お前には、兄弟がいるのか?」
ジョウジが単刀直入に問う。
ラギは少々考える様子を見せたが。
「いえ、兄弟はいません。……もし、同じような面を着けた者を見たならば、それはラギ族の者でしょう。」
言いながら、ラギはとわの無事を確認した。


さて、最後はナイトとラギのペア。
ラギはスタート地点で待機するナイトに近づき、ジョウジ達が遭遇した仮面男の話をし、速攻でクリアして皆の元へ戻ろうと話した。

「…さっき何者かの気配がしたのは、そいつだったのか。危ない奴なのか?」
「いや、わからん。 面を見ないとオレも誰だか判断がつかない。」
ナイトとラギの密かな会話。

「お前、まさか里の者から追われている…のか?」
「……とわに素顔を晒し、未だ殺害も結婚もしていないからな…。もしかすると、早くどちらかにしろという警告なのかも知れん。」
その言葉に、ナイトの瞳に殺気が宿る。
辺りの気温さえ下げるほどの殺気。
「……お嬢を手にかけるつもりなら、この俺がお前を始末する。」

対し、ラギは静かに首を振った。
「いや、それは無い。オレは彼女が気に入っている。
目下、口説き落とせぬかと努力しているところだ。」
何も隠さぬラギに、ナイトは毒気を抜かれた。
「力尽くでモノにはしないんだな。」
「オレは、女を物のように扱う輩は大嫌いだ。それに、力尽くで妻にしても、互いに幸せにはなれないだろう?」
ふぅん。ナイトはラギの仮面を眺めた。
ラギ族。蛮族だと聞いたが、こんな奴もいるんだな。

「よし、さっさと終わらせるぞ。」
「おう!」
合図とともに、2人はダッシュした。
互いが視界に入る距離で併走し、あっという間に木の実の場所へ。
ラギが身軽に枝を伝い、ナイトに木の実を放る。
3個持ち帰れば良いのだが、食糧にもなるため、ラギは両手で掴めるだけ収穫する。
ナイトも編み笠に回収し、2人が数分でゴールを潜った時には、木の実の山が走ってきた様だった。


「お帰りなさいませ、ナイト様、ラギさん…。」
出迎えるとわ。
ご褒美のラムネを一気に飲み干しながら、ナイトとラギは、お嬢の浮かない表情に気がついていた。2人は顔を見合わせ、とわを水汲みに誘う。

「爺や殿、俺たちは、花火用の消化水を汲んできますよ!」
ナイトが声をあげ、ジョウジが手を挙げて応える。

3人でバケツを提げ、波打ち際を歩く。
とわは、先ほどの仮面男が、自分をバリエンフェルドの次女だと知っていた旨を話す。
「わたくし自身忘れてたほどの捨てた名なのに、なぜ見ず知らずの人が知っているのかしら?」
気味悪いわ、とわが呟く。
「その男はおそらくラギ族の者だよ。オレが惚れた女って情報が流れ、お前のことを調べているに違いない。……すまない、怖い思いをさせて…。」
「お嬢は色んなのに目をつけられるな…。」
ナイトも小さくため息をつく。

本人は知らないが、まだまだとわと狙う者は少なくない。
奴らに聞いてみたい。帰る家も身分も失った彼女に、どうしてそんなに執着するのか?
もっとも、他家に嫁いで姓の変わった姉、表向きは死んだことになっている兄は除くとすると、家督を継ぐ権利のあるのが、このとわなのだ。
それほどの影響力を持つのだろうか、バリエンフェルドの家名と言うのは。
かつての栄光の呪いを受けたとわの難儀な運命。
男たちは心の中で、元・お嬢様に同情した。

「でも、わたくしに接触してきた理由がわかって、ちょっと安心致しました。」
バケツに水を汲み、とわが微笑む。
その妙に大人びた表情に、ラギが呟いた。
「オレは、出来得る限りお前の不安を取り除いてやりたいと思っている。
…オレの前では、肩の力を抜くといい…。」
「俺も、可能な限り力を貸しますよ。」
「……ありがとうございます、ナイト様、ラギさん。」
花がほころぶように、とわが笑った。

砂浜の向こうから、虎姉様が呼んでいる。
「花火始めるよ~~!」

とわは、助けてくれる人がいる自分の環境に感謝して、手を振り返した。
「はぁーい!」


つづく
とわ&GG共著