「無理はしたくない。」
そう言ったワグナーは、爺やの言葉を思い出していた…。
「良いですか、若。
リーダーは常に状況を把握して、あらゆる事態に臨機応変に対応する事が大事ですぞ。
そして…。
仲間が大きな怪我をしない様に、くれぐれも気をつけて下され…。」
過去の過ちを思い出したのだろう。
そう言ったジョウジの顔には、僅かに陰りがあった。
雷牙は、真剣なワグナーに、真面目に返事をする。
「わかったよ、アニキがそう言うなら俺も無茶はしないから。」
「頼んだぞ。さあ、そろそろ行くか。」
ワグナーの言葉に、虎姫。
「そうね。」
風駕。
「わかりました。」
雷牙は元気に笑う。
「よっしゃ!行こうぜアニキ!」
「制限時間は30分だ、30分すぎたら一度陸にあがること。いいね?」
ワグナーを先頭に海に飛び込み、海底遺跡を目指す。
出遭えるだろうか、深淵の主に。
ただひたすら、海中を進む。
遺跡が静かに姿を現し始めた。
ワグナーは泳ぎながら、思いを馳せる。
いったい、誰が、いつ、こんなものを築いたのだろう…。
悠久の時をその肌で感じ、軽く目眩すら覚えた。
一行は、海底遺跡にたどり着き、息をのんだ。
光差す、遺跡の中心。
厳かなオブジェのように、白く輝く巨大な生き物が、そこにいる。
ワグナーは目を見開いた。
――あれは…!
ナバルデウス…!
本当に遭えるとは!
ここに、身体を休めに来たのだろうか。
深海の主は、丸くなって眠っている。
傍らの虎姫を見やると、彼女の表情が物語っていた。綺麗だわ…と。
風駕と雷牙も、圧倒されたように動きを止めた。
――なんて大きい…。
そして、なんて神々しいのだろう!
人が手を出してはいけないような、そんな佇まいに圧倒される。
一行はしばし、武者震いしながら、その幸運を噛み締めた。
ワグナー達侵入者に気づいたのだろう。
目を覚ましたナバルデウスは、悠然とこちらに近づいてくる。
――いけない!
ワグナーは慌てて散開の合図を出す。
それぞれが散らばった間をナバルデウスの巨体が通過していく。
何とか全員無事にかわせたものの、通過した際の水流で、すっかり体勢を崩してしまった。
つづく
とわ&GG共著