とてとてとて…。
小さな、おぼつかない足音が近づいてくる。
「じょーじ、おてがみらよ!」
小さな手に大きな封筒を握りしめ、おチビが懸命に駆けてくる。
――俺宛て…?
はて、この屋敷に勤めることになったのを知らせた人間はいただろうか?
セシオスのおチビは、俺の足に体当たりするように抱きついてきた。
こうも懐かれるのは、まあ、可愛い。
抱き上げてやると、おチビは、端の方をくしゃくしゃに握りつぶした封筒を差し出してきた。
……おいおい……。
苦笑しながら宛名を見ると、確かに俺宛てだ。
ただし、住所は書かれていない。
行商人にでも託し、巡り巡ってようやく俺のもとに着いたってところか。
差出人を見ると、シオン、とあった。
―――シオン!
急いで封を開けてみる。
中には、女性と2人で描かれた肖像画と、結婚した旨の手紙が入っていた。
俺の苦い記憶が蘇る。
俺の無謀な狩りの為に、犠牲にしてしまったようなものだ。
奴から俺が奪ってしまったものは、とてつもなく大きかった。
しかしそれを一言も責めるわけではなく、奴らしい丁寧な字で、俺への気遣いが記されていた。
「じょーじ、おかおこわいよ。」
おチビが、俺の眉間を指で伸ばす。
眉間にしわでも寄せていたか、俺は。
肖像画のシオンは、眼帯をつけ、女性を後ろから抱きしめ微笑んでいる。
描かれてはいないが、片足もやられているはずだ。
俺はしばらく、よくできた肖像画から目を離せなかった。
よく見ると手紙はもう一枚あり、火山の近くの村で、雑貨屋を営んでいると書かれてあった。
怪我がつきもののハンター達の助けになれればと、回復薬の研究に勤しんでいるようだ。
おチビが、頬をぺたっとつけてくる。
…眠くなってきたか…?
安心して俺を頼り切るこのおチビ。
頭を肩に乗せてくる。
「じょーじ…ねむねむ……らよ…。」
「君は今、どうしているだろうか?
気が向いたら、訪ねてきてくれ。
――幸せでいてくれることを、切に願う。
シオン」
シオン……。
俺は今、この腕の中の重みこそが幸せなんだと実感しているよ。
しかし。
俺は呟いた。
「すまない…まだ会いに行く事はできない。
いつか自分の中で決着をつけたら必ず会いに行く…友よ、お前に貰ったこの命尽きるまで狩人を続けよう。
それが償いだから…」
fin
とわ&GG共著