夜寝る前、愛しい虎姫に、お話を一話、話してあげるのだ。
ある夜、月が煌々と輝き、あまりに綺麗だったので、ワグナーは月の写真集を持ってきた。

【出典】発行元 株式会社パイ インターナショナル「夜空と月の物語」
彼は虎姫の背後から腕を回して本をめくり、一緒に眺めながら、語り始めた。
~~~~~~~~~~~「太陽と月が昼も夜も一緒に輝く時代の話。
月は、地上で暮らす人間達に不満がありました。
「神様から知恵を与えられていながら、なんで悪さばかりするんだろう。」
それを聞いた太陽は、月をなだめながら言いました。
「悪いところだけ見てはいけないよ。」
でも月は、何を言っても納得しません。
「いっそのこと、人間達を滅ぼしてしまおうか。」
そんなことを言い始めた月に、太陽は諦めて言いました。
「そんなに彼らが嫌いなら、夜の世界に行きなさい。暗くて人間達も見えないだろうから、腹が立つこともないだろう。
悪人ばかりじゃないと思った時だけ、明るく彼らを照らせばいいさ。」
~~~~~~~~~~~「この、月夜の森中の湖の写真、きれいだろう?」

ワグナーと虎姫は、飽きることなくページをめくる。
「月の綺麗な所に旅行に行きたいわ。」
ワグナーの胸に寄りかかりながら、虎姫は自分の知っている、月にまつわる話を教えてあげる。
月明かりだけがベッドルームを照らす。
ワグナーと虎姫は、月を見ながら永遠と語り合う。
若い2人の行く先を、清い光が照らしてくれますように…。