とわが足を踏み入れると、ホテルの入り口で、ワグナーとガロンが座っていた。
「よっ。朝帰りか。」
ガロンの軽口に、ブナハブラの足を突っ込んで、とわは晴れ晴れと笑う。
「ええ、ナイト様と。」
「ああ知っている。彼のオトモ…ジェット君と言ったか、あの子が知らせてくれたよ。
爺やには、わたし達の旅館に泊まってると言ってある。安心していいよ。」
兄達の気遣いに、とわは素直に頭が下がった。
「ありがとう…。」
「あと着替え。」
ワグナーの差し出した袋に、浴衣の替えが入っていた。
素敵な柄。
プレゼントだと兄様が笑う。
とわは嬉しく、その場でぱぱっと着替えた。
「…お前も、綺麗になったよな。
いつまでも小さいと思っていると、いつの間にか置いて行かれるな。」
ワグナーがしみじみと言う。
「兄様のえっち…。」
途端に顔を赤くし、見ていないと否定する兄。
とわは、心の中で謝る。
―ごめんね兄様、今のはわざとよ。
意地悪だったわね。
向こうから、爺やと連れ立ったカレン姉様が来る。姉様の出発の見送りだ。
大人で優美な姉様への、精一杯の抵抗。
子どもじみてるわよね、わたくし。
姉様とお別れのハグをしながら、わたくしは思った。
爺やにも、幸せな時間、提供できたかしら……。 それとも、かえって苦しい時間になってしまったかしら……。
でも、爺やにも、幸せになって欲しい。
往年の恋人達の背中を見送りながら、とわはブナハブラの羽を触る。
…わたくしには、こういうドレス、着る日は来るのかしらね…。
番外編・異国の夜
fin
とわ&GG共著