「じゃ、夜までは自由時間ね!わたくしはホテルのスパめぐりしてきますわ。」
とわの姿が消えた方を見やり、
「…女の…事情?」
首を傾げながら、ジョウジは扉を開けた。
センスの良い、絨毯。
かつてお屋敷に敷いてあったような。
玄関部分でスリッパに履き替え、なおも奥へ伸びる通路をゆく。
だいぶランクの高い部屋なのだろう、調度品も質の良いものが備えてある。
「夜まで、何をしようか…。」
――風呂にでも行ってみるか…。
廊下を進んだ突き当たりの部屋には、美しい女の肖像画が飾ってある。
ちらっと見、ジョウジは整えられた巨大なベッドに倒れ込んだ。
自分ひとりになると、手持ち無沙汰なものだ。
すっかり世話係が身に染み着いているってことか。
天井をじっと眺めていると、目の端で婦人画が動いた。
「!」
ジョウジは飛び起きる。
飛び起きて。
――時が止まった。
「…ジョウジ……」
息がとまる。
変わらぬ美しさ。
優美な微笑み。
華奢な…その体。
「――カレン…!!」
駆け寄るカレンを、ジョウジは力いっぱい抱き締めた。
懐かしい柔らかな香水。
柔らかな、その体。
温かな涙が、抱き合った2人を濡らす。
もう会えないと思っていた――。
その頃とわは、風呂の中で膝を抱え、シャワーに当たっていた。
「…これで、いいのよ…」
異国の夕陽は鮮やかで、街中に、エキゾチックな光陰を落とす。
ガロンと肩を組みながら飲食街を闊歩するワグナー、そっとホテルを振り返る。
これからまた、花々の薫る、異国の夜がやってくる。
つづく
とわ&GG共著