その日の夜、祝賀の晩餐が催された。
虎姫の両親と一緒に食事をする事になったワグナー。
昔、屋敷で着ていたドレスシャツに袖を通す。
サイズが少し合わなくなっていたが、間に合わせで補正する。
「おかしくないかな?」
虎姫も、ワグナーに合わせ、イブニングドレスに身を包んでいた。
「大丈夫、素敵よ。」
二人、お互いの装いをチェックする。
「あたしの惚れた男よ、もっと自信もって!
…さ、行きましょう。」
虎姫をエスコートするように、ダイニングまでの道を歩く。
「しかし驚いたな…。」
虎姫の父は、全員が着席すると、おもむろにに口を開いた。
「お前がハンターになると言い出した時も驚いたものだが…。」
口元に蓄えた髭を左手で撫でながら、父親は笑う。
「よもや結婚の報告を聞くことになろうとはな…。」
向かいに座った二人を見る。真っ赤になる二人。
虎姫の父は目を閉じた。
「実はな、ワグナー君…。」
ワグナーは姿勢を正す。
「何でしょうか?」
「娘は今でこそハンターをしておるが…。
こう見えて料理の腕前はなかなかの物でな。」
テーブルにならぶ、豪華な料理の何品かは虎姫が作ったという。
ワグナーは、目を見張った。
工芸細工のような、美しく芸術的な料理の数々。
「本当なの虎姫?」
頬を染めて頷く虎姫。
父親は、若い二人に見守るような眼差しを送る。
「わしはな…正直、諦めておったのだよ。
ハンターは危険な職業だからな…。もう二度と、この子に会うことはあるまいと……。」
虎姫もワグナーも食事の手を止める。
「……………」
父親は、感無量と言ったように声を詰まらせた。
「それがだ。何と、立派な婚約者を連れて来たではないか。
…親にとっての一番の幸せが何だかわかるかい?ワグナー君。
娘の幸せそうな姿を見ることなのだよ。それが晴れ姿ならなおさらだ。」
母親も目頭をそっとハンカチで押さえる。
父親は、立ち上がってワグナーの手をとった。
「ありがとう、ワグナー君…。わしらの願いを叶えてくれての…。」
ワグナーは泣きそうになるのをぐっとこらえた。
虎姫は、ぽろぽろと温かい涙を流す。
「父様…」
「虎姫…ワグナー君と幸せになるんだぞ。」
つづく
とわ&GG共著