『女の子ばかりのすごいハンターチームがあるらしいぜ!』
ワグナーがバルバレで買い物をしている時、耳にした噂。
噂の主はハンターになりたての、やんちゃ盛りが5、6人。
『それもすごい美人揃いらしいぜ!』
まったくこいつらは…
ワグナーは小さく笑うと、店主から袋を受け取り、ギルドストアを後にしようとした。
『中でも、とわちゃん、シーナちゃんはファンクラブができてるらしいぜ~』
…なんだと!?
ワグナーはいつの間にかその輪に入っていた。
「その話、もっと聞かせてくれ!」
―まさか、妹のとわじゃないだろうな…?
運が良ければ集会所で会える、そう教えられて、ワグナーは一日中入り浸った。
しかし、現れるのは、むさい野郎ハンターばかりで、女性ハンターが居ても、チームではない。
「まあ、そう思うように事は運ばないよな…」
次の日も、また次の日も、ワグナーは集会所へ足を運んだ。
ある日、彼は、クマ頭の女性ハンターと知り合った。
ぼーっと掲示板を眺めている彼の隣に立ったのがその女性だった。
「あなた、毎日ここに来ているわよね。」
ワグナーはぎょっとして隣を見、思わず何歩か後ずさる。
とにかく姉妹以外の女性には免疫がなく、これには爺やもほとほと困っていた。
「じ…じい……」
ワグナーはなおも後ずさりしながら、爺やを目で探す。
「え?何?」
クマ頭の女性は、ワグナーの言葉を聞き取ろうと、さらに近寄る。
「うわあっ」
ワグナーは逃げ場を失い、クエスト紹介カウンターを飛び越えた。
今度は受付嬢達の悲鳴があがり、集会所は大騒ぎになる。
ジョウジは、初心者ワグナーのために、使い勝手の良さそうな防具と、回復薬を調達していた。
「騒ぎだ騒ぎだ!」
集会所から、男が叫びながら走り出てくる。
一抹の不安を胸に、ジョウジは集会所へ急いだ。
光景を目の当たりにして、ジョウジは思わず額に手をあて、深いため息をついた。
あろうことか、ワグナーが涙目で大きな銅鑼のてっぺん近くによじ登り、その下でクマ頭の娘が腕組みをして仁王立ちしている。
「話かけただけなのに、なんで逃げるのよー」
居合わせた人によると、ワグナーが散々逃げ回り、クマ娘が追いかけた挙げ句、今の状況に辿り着いた、と。
「お嬢さん」
ジョウジは、クマ娘の肩に優しく羽織りをかけ、今にも滑り落ちそうな情けない若様に、助け舟を出すことにした。
つづく
とわ著