批判ばかりではあれなので、私たちの、日本の環境でできることを考えていきます。
ただ、やっぱり臨界期は、英語を教わりだした瞬間です。ですので、その前にできること、それから英語を教わりだしてしまったあとにできることの2つを考えなければなりません。

ここで考えるのは「音」のことだけです。前にも書いたように日本の英語のテストで満点を取るのはとても簡単なことです。もちろんそれに関しては実利的に中学生や高校生には教えますが、ここでは、99%の日本人には不可能な英語の音が分かる、という画期的で楽しいことについて考えてみたいと思います。

英語の音が自然に身に着くのは、臨界期前だけです。これは英語の音、これは日本語の音、という区別が頭の中にありませんから、例えば英語の歌を聞かせたら、そのままアメリカ人と同じ音で3歳の子は歌えます。その歌の情景がアニメやジェスチャーや写真がでてきたら、気持ちをこめて歌うことができます。もし、それを毎日続けてあげれば、どうなるかは想像ができると思います。大事なことは2つ。

3歳のこどもは自分でその状況を作りだすことができません。テレビの番組が始まる時間に毎日テレビの前に座わせて見せる。タブレットの動画サイトから毎日決まった時間に英語の番組や歌を見せる。絵本を見せながらCDを聞かせる。日本語の説明や挨拶や解説のない英語番組ならなんでも、メディアも家にあるものなら何でもかまいません。大事なこと1つ目は、ただただ親が継続して努力することです。大事なのは、スクールや塾にお金を払っておまかせすることではなく、親自身が面倒でも、忙しくても、疲れていても、継続する努力をすることです。お金は一銭もいりません。
福西英語教室でも、私が子供に聞かせたい音源を作って、「毎日かならず1回はお子さんに聞かせてください」と言って親にCDを渡していました。例えば、1から10までをアメリカ人が吹き込んだ音源です。そんな単純なものです。1から10まで完璧にまねできれば、それだけでもう英語の音のほとんどは習得できます。それが1週間毎日CDを聞かせるだけでいいのですから、こんなに楽で先の人生に渡ってラッキーなことはありません。ところが、次の週にこどもたちに尋ねました。「毎日聞いたかな?」みんな首をふります。「じゃあ、3回聞いた人?」みんな首を振ります。「2回聞いた人?」同じです。「じゃあ、1回も聞いていない人?」みんなうなずきます。1日1回、2,3分の音源を聞かせる行為ができない人たちに、この先何ができるというのでしょう。

くり返しますが、必要なことは、音だけです。英語の音はそんなにたくさんありません。1から10(one to ten)を再現するだけで、網羅しているほどです。単語の意味を覚えたり、文法を覚えたり、文字を覚えたり、、何もしなくてよいのです。英語の音を自然に身につけるのは簡単なことです。簡単ですが、1日で忘れます。毎日毎日、同じことを繰り返すことができるのは、親の努力があるときのみです。

大事なこと2つ目は、決してネイティブの音源以外に触れさせてはいけないということです。お分かりと思いますが、英会話スクールや塾や学校などは最悪な環境です。先生がネイティブです!というスクールでもその先生がカタコトの日本語で説明していたり、日本人が横についてずっと日本語で話かけていたり(小学校の先生....)だいいち周り中が日本人のこどもです。

そして、これは言うのがとても申し訳ないことですが、まず親は決してこどもに教えたり、英語で話しかけたりしないでください。同じ音源を聞いても、こどもの耳と親(私たち)の耳ではまったく違うものが聞えています。子どもがまねしているものを聞くと、「あんた違うやろ」と言いたくなります。Tの音は大人にはタ行にしか聞こえませんが、子供にはラ行だったり、ナ行だったり、ダ行だったり、カ行だったり、ア行だったり、、そのときどきで正確に聞き分けることができています。そもそもTという文字を知らないので何の先入観念もありません。そう「違うのは私たちの方なのです。決して、決して、親や大人や先生が子どものじゃまをしないことです。