<福島第1原発>プール冷却遅れ爆発 「ヘリで氷投下」断念


昨年3月の東京電力福島第1原発事故で、東電が比較的早い13日朝の段階で使用済み燃料プールの温度上昇を懸念していながら有効な手を打てず、その2日後に4号機のプールの水素爆発を招いていたことが、東電が報道関係者限定で公開しているテレビ会議の映像から判明した。ヘリコプターからプールへ大量の氷を落として冷却する作戦も検討したが、周辺の放射線量が上昇し、パイロットの手配がつかずに断念。後手に回ったプール対策が事故を拡大させたことが裏付けられた


「氷とかドライアイスとかなんでもぶち込む」(本店幹部)。テレビ会議によると、氷による冷却案は、1号機のプールから湯気が出ていることが報告された13日午前8時ごろから検討された。3号機周辺で線量が上がっていたため、ヘリから落下させる案が有力になった。

 「墓石サイズで、今100トン手配できました」。同正午ごろには本店がテレビ会議で報告し、同夕には経済産業省原子力安全・保安院が手配した自衛隊ヘリコプターが用意された。氷は目標物に落下命中させやすいうえ、溶けるまで時間を稼げるメリットがある。

 しかし、ヘリが1回に運べる氷の量は最大4トン弱。吉田昌郎所長ら第1原発の現場からは「まさに焼け石に水だ」と、効果に疑問の声が出た。また、3号機周辺も線量が上がったことから「ヘリコプターに乗る側の方が、今日は(飛行に)ふさわしくないと言っている」と本店が報告。夜間になり再度検討することにしたが、翌14日午前に3号機が水素爆発を起こした。

 その後同午前4時ごろ、4号機プールの水温が84度に達していることが判明。対策が打てないまま、15日早朝に水素爆発を起こした。4号機プールには1500本を超える核燃料があり、収束作業のハードルとなっている。




<毎日新聞 記事より>