古代の大型ペンギンの姿が明らかに



2500万年前にニュージーランドに生息し、その後絶滅した2種のペンギンの姿がついに明らかになった。大型で細身だったという。


音史のブログ-大型ペンギン

浜に打ち上げられたイルカの横を歩く2匹の「カイルク」ペンギン(想像図)。

Illustration courtesy Chris Gaskin and University of Otago



研究論文の共著者で、ニュージーランドのオタゴ大学の古生物学者、イーワン・フォーダイス(Ewan Fordyce)氏は、数十年前から、クジラやイルカの化石を探す中でときおりこれらの種のペンギンの骨を見つけることがあった。

 だがようやく最近になり、研究チームはペンギンの完全な骨格を復元した。現代のキングペンギンをモデルに再構成された骨格は、2種のペンギンを表しており、この2種は非常によく似ていた。

 復元された姿は「非常にすらりとしていて、現生のどのペンギンとも似ていなかっただろう」と、研究を率いたノースカロライナ州立大学の鳥類古生物学者、ダン・ケプカ(Dan Ksepka)氏は話す。

 新たに学名を付けられた2種の古代ペンギンの姿は、丸々と太った現代のペンギンとは異なり、胸幅は狭く、翼は長く先細で、くちばしは細い。魚の捕食に特に適した体型だ。両種とも体高は約1.3メートルで、現生種で最大のコウテイペンギン(最大で1.2メートル)よりも大きかったと考えられる。

◆先史時代のニュージーランド

 この2種のペンギンが生きていた時代のニュージーランドはほとんど海中に沈んでいて、わずかな小島がまばらに海面に顔を出しているにすぎなかった。波は低く餌に富み、捕食動物から守られたこの環境は、ペンギンにとって理想的な生息地だったはずだ。

 ケプカ氏は2500万年前の様子について、岩がちの孤島に多種多様なペンギンが集まっていたところは現在のニュージーランドのペンギン生息地と似ているが、当時の活発な火山活動により、空は灰で曇っていただろうと想像する。

 研究チームは大昔の故郷に敬意を表し、ニュージーランドの先住民マオリの言葉を使って、両種の学名をカイルク・ワイタキ(Kairuku waitaki)とカイルク・グレブネフィ(Kairuku grebneffi)と名付けた。カイルクとは「食べ物を取って戻ってくるダイバー」というような意味だ。

◆他の種のペンギンも

 テキサス大学の脊椎動物古生物学者ジュリア・クラーク氏は、「世界の他の地域の巨大ペンギンについては、これまで新しい知見を得てきた」と話す。クラーク氏は今回の研究に関係していない。

「しかし、大型ペンギンの種類が特に多様な地域を含むニュージーランドでは網羅的な記述が行われておらず、その意味で今回の復元は大きな前進だ」とクラーク氏は指摘した。クラーク氏の研究は、ナショナル ジオグラフィック探査協議会の助成を受けている。

 ケプカ氏によると、2種の新種ペンギンは、他の3種のペンギンとともに暮らしていて、種ごとに食べる魚が異なっていたようだ。同じ地域内でこれほどの多様性が存在することは、今日ではあまり例がないとケプカ氏は指摘する。

「実際、5つの種がみな同じ海岸に暮らしていた。途方もないことだ」。

 古代の大型ペンギンについての論文は、「Journal of Vertebrate Paleontology」誌の3月号に掲載される。





<ナショナルジオグラフィック 記事より>