木星で新たに2つの衛星を発見



木星に新たに2つの衛星が見つかり、これで木星を周回する確認済みの天然衛星は合計66個となった。


音史のブログ-木星_衛星
木星を周回するガリレオ衛星の1つ、イオ。ボイジャー1号が1979年に撮影。

Image courtesy NASA



 2つの衛星は現在、S/2011 J1とS/2011 J2という名前で呼ばれており、2011年9月27日にチリのラスカンパナス天文台にある巨大マゼラン望遠鏡によって撮影された画像で、その存在が初めて確認された。

 2つの天体は太陽系でこれまで発見された衛星の中で最も小さな部類に入り、どちらもその直径はわずか1キロほどだ。

 木星の衛星の中で群を抜いて大きく、小さなアマチュア向け天体望遠鏡でも地上から観察可能な4つのガリレオ衛星と違い、新たに見つかった2つの衛星は木星からかなり離れたところを周回しており、その公転周期はそれぞれおよそ580日と726日だ。

 木星ではこれ以前にも2010年に複数の衛星が発見されているが、さらに多くの、それもかなりの数の衛星が存在すると考えられている。

「今回見つかった2つの衛星は、木星からかなり離れたところにある逆行衛星群の一部だ」と、この衛星の発見を報告したスコット・シェパード氏は解説する。シェパード氏は、ワシントンD.C. にあるカーネギー研究所の地磁気研究部に所属している。

 逆行衛星とは、母星となる惑星の自転の向きと反対方向の公転軌道を持つ「逆回り」の衛星のことだ。新たに見つかった2つの衛星を含め、木星には52個の逆行衛星がこれまで見つかっており、そのどれもが比較的小さい。

 この衛星群の中には、「同じような大きさの衛星は、全部で100個ほど存在すると思われる」とシェパード氏は述べている。

◆新衛星は捕捉された天体か

 また、木星の他の逆行衛星の大半と同様、S/2011 J1とJ2は不規則衛星に分類される。これは、これらの衛星が木星からかなり離れているうえ、公転軌道が傾斜し、極端な楕円を描いているためだ。

 この通常とは異なる軌道から、これらの衛星は木星そのものと同時に形成されたものではなく、はるか以前に木星の重力に捉えられた小惑星か彗星である可能性が高い。「これらの不規則衛星は、太陽系が生まれて間もない時期に捕捉されたため、木星の形成や進化の過程を教えてくれる手がかりになるかもしれない」とシェパード氏は付け加えた。

 名前については、今回の衛星が今のような記号ではなく、よりロマンのある呼び名を得るためにはさらなる観測時間とデータが必要だ。木星の衛星には慣例により、古代ローマの主神ジュピター、あるいはギリシャ神話でそれに相当する神ゼウスの愛人か子孫の名前がつけられている。

 しかしシェパード氏によると、「衛星にローマあるいはギリシャ神話由来の名前がつけられるまでには、一般的には少なくとも1年間の観測が必要になる」とのことだ。

 今回新たに発見された木星の衛星は、1月29日付で国際天文学連合(IAU)の天文電報中央局(CBAT)により発表された。





<ナショナルジオグラフィック 記事より>