南極で最古の首長竜、化石発見
先ごろ発表された研究によると、これまで南極で見つかっている中では最古の“海の怪物”の化石が発見されたという。
発見されたのは8500万年前のプレシオサウルス(首長竜)。これにより、南極大陸に海生爬虫類が生息していたとされる時代が1500万年遡った。
研究チームを率いたリオデジャネイロ連邦大学ブラジル国立博物館のアレクサンダー・ケルナー(Alexander Kellner)氏は、「われわれが発見した化石断片は、従来この大陸にいたとされてきたどのグループにも属さない。南極には、これまで推定されてきた以上に多様なプレシオサウルス類が生息していたと考えられる」と話す。
発見された脊椎と頭部とヒレの断片から、このプレシオサウルスの体長は6~7メートルだったと推定される。しかしこれらの骨片だけでは種を特定するには至らなかった。
プレシオサウルス類は、2億500万~6500万年前に世界中の海を泳ぎ回っていた。南半球に広がり始めたのは、遅くともジュラ紀の中頃(1億7000万年前頃)だ。プレシオサウルス類に属する種は大きさも特徴もさまざまだが、頭が小さく、首が長く、体が大きい点は大半の種に共通する。
「もしネス湖の怪獣がいたとしたら、これが一番似た形だろう」とケラー氏は言う。
今回の標本は、2006~07年に南極のロス島で探検調査が行われた際に集められた2.5トン以上の化石と岩のサンプルの中から見つかった。
ブラジル国立博物館に保管されている調査サンプルの大半は無脊椎動物や植物のものだが、その中に今回のプレシオサウルスと同じ時代の樹木の断片が含まれている。
「この樹木は、当時の南極に森林が存在していたことを示している。これらの動物は、現在とはまったく違う温暖な気候の中で暮らしていたと考えられる」とケラー氏は話している。
海の怪物の発見については、6月7日付の「Polar Research」誌に発表された。
<ナショナルジオグラフィック記事より>
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