盗まれたノートパソコンには、数万人の命を救うガンの治療法が!

皆さんはパソコンデータのバックアップを、小まめに取っているだろうか? 大切なデータを失ってからでは、取り返しのつかない事態になりかねない。

最近アメリカで、ある女性が車上荒らしに遭い、パソコンごと大切なデータを失うという事件が発生した。彼女は前立腺がんの権威で、奪われたノートパソコンには、長年の研究データが入っていたという。前立腺がんは欧米人に発生率が高く、全米で毎年3万人が死亡する病気である。盗難により、治療法につながるとても貴重なデータの全てが失われてしまったかも知れないのだ。


1月9日の昼のこと。オクラホマ大学研究所の主任研究員ソク・シンさんは、同じく研究員である旦那さんと一緒にレストランで軽く食事をとってから研究室に戻る予定だった。ところが食事を終えて車に戻ると、窓ガラスが割られており、ノートパソコンがなくなっていたのだ。パソコンの中には、前立腺がんの治療について長年蓄積してきたデータが入っていた。さらに悪いことに、データのバックアップはとっていなかったという。

シンさんは、「もう本当にガッカリです。あれ以来、食事も喉を通らないし、夜も眠れません」と、ショックを受けている様子。がん研究は2人の人生そのものであり、治療法を突き止めるために時間を費やしてきた。そのデータのなかには、二度と復元できないものもあり、再生するのに2年近くかけなくてはならないものもあるという。毎年、世界で数万人がこの病気で死んでいるのを考えると、この事件は、その2年間で救えたはずの何万もの命が失われる可能性を意味するのだ。

現在、シンさんたちは街の至るところに貼り紙をし、1000ドル(約8万2000円)の懸賞金をかけてパソコンを捜索中だ。貼り紙には、「No questions asked(詳細は一切問わずに支払います)」と書いてある。つまり犯人がノートパソコンを持参しても、その額が保証されることを意味している。とにかく、犯人が盗んだパソコンのデータを消してしまうという悲惨な結果を、一番恐れているのだ。

シンさんは、「データを消さずに、ノートパソコンを返してください。これは、私たちだけでなく、社会のためなのです」と、切実に訴えている。もしかしたら、この小さな窃盗事件は、シンさんの損失というよりも、むしろ人類の損失かもしれない。以前、「善良な泥棒? 奪われたノートパソコンのデータがフラッシュメモリで返ってきた 」という記事を紹介したが、今回も同様に、せめてデータだけでも無事に戻ってきてくれることを、切に願う。




<RocketNews24記事より>




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