皆さんこんにちは。ferix660です。

 

今回は、今井むつみ、秋田喜美著「言語の本質」で学んだことについて掲載していこうと思います。

 

それでは、よろしければお付き合いの程よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

1 記号設置問題

 

AIの分野で問題となり、人間と言語の普遍的な関係を示すもの。

 

ある事象について、いくら詳細に語ることができ、情報を知っているとしても、それは「理解している」ことにはならない。

 

いちごとみかんとさくらんぼの「甘酸っぱさ」は違うように、対象についての本当の理解とは「人間の身体的経験を持つ」ことが必要。

 

「論語よみの論語しらず」。

 

 

 

2 言語についての感覚

 

① 清濁について

 

「ころころ」と「ごろごろ」、「さらさら」と「ざらざら」、「とんとん」と「どんどん」、、、

 

いずれも濁音の子音は程度の大きさやマイナスのニュアンスを伴いやすい。

 

「〜なさま」よりも「〜なざま」な方が軽蔑の意味を含むし、「〜はてる」と「〜ばてる」も同様である。

 

ポケモンの名前も、体の大きさや進化先になるにつれて濁音が多くなる相関がある。

 

② 発声時の口の形と対象物との関係

 

「あ」は「い」よりも発声時の口の大きさは大きい。

 

架空の単語「mal」と「mil」では、どちらの方が大きい対象物を指すかという実験では、様々な言語話者を合わせた結果70%が「mal

」であると答えた。

 

他の言語も同様に、「大きい」程度を表す語には子音の「a,o」が多く使われ、逆に「小さい」程度を表す語には「i,e」が多く使われる傾向がある。

 

③ 子音の阻害音と共鳴音

 

日本語がわからない人に、日本語の「かたい」と「やわらかい」のどちらがhardでどちらがsoftかを尋ねると、多くの人がわかる。

 

ギザギザの図形と丸っこい図形を見せ、架空の形容詞「タケテ」と「マルマ」がそれぞれどちらに対応しているかという問いも、多くの人で一致する。

 

発音の「角ばった印象」と「丸まった印象」がそのまま対象物の形状を模していることがよくある。

 

④ 元々オノマトペだったものが一般動詞化したもの

 

「タッタッ」→「叩く」、「フー」→「吹く」、「スー」→「吸う」、他「きらめく」「ざわつく」「うろつく」「よろける」

 

英語の「roll」も日本語の「ころころ」の転がると同様の成り立ちと言われ、「chatter」も「ぺちゃくちゃ」の話すも同じ。

 

なお、鶏の鳴き声が日本では「コケコッコー」なのに対して、英語では「コッカドゥルドゥー」だし、他にも「グーグーグー」「コッカラココ」と表される国もある。

 

国を超えて共有される言語の感覚もあれば、母国語の感覚の違い(母音「i,e」を大きなものと対照させている国もあることや、外国人には日本人にはわかる「つるつる」と「さらさら」の違いがわからないなど)から共有されないこともある。

 

⑤ オノマトペから恣意的な動詞へ

 

大人が子どもに読み聞かせをしている姿を想像すればわかるように、そこではオノマトペが多用されている。

 

脳の反応の違いを見ても、音と動作に関連がない恣意的な動詞を聞いた時は左脳のみが反応するのに対し、オノマトペを聞いた時は右脳も反応することから、感覚的に捉えられているということがわかる。

 

よって、子どもの言語習得にはまずオノマトペによるアプローチから感覚と言語とを結びつけさせ、そこから他の恣意的な動詞へと広げていくという手順が踏まれる。

 

 

 

3 人間による非論理的推論

 

動物は、天敵が通った後に足跡ができることはわかるが、足跡を見て天敵が近くにいるという判断をすることができない。

 

ある猿の実験でも、丸三角四角の図形がそれぞれ赤青黄色に対応していると学習させても、赤青黄色から図形を選ぶという行動はできない。

 

しかし、人にはそれができる。

 

その違いが、人間と動物の言語習得の可否の違いを生んでいるという。

 

また、動物は「イマココ」についてのみ反応することが可能であり、昨晩見た不審者に対して吠えることもなければ、数時間後に来る大好きないとこについて鳴くこともできない。

 

対して人間は1年前の思い出について言語を通じて悲しむことができれば、1週間後の催し物について感情を高めることができる。

 

言語を操れるということは、時間・場所を超越して語ることができる能力があるということでもある。