遅考術 植原亮

 

 

 

遅く考えるとはすなわち、ぱっと浮かんだことに対して「本当にそうだろうか」と考えることである。

 

すなわち意識的に考える行為なので、慣れない最初は疲れる。

 

ただ、慣れれば楽しいし、物事を深く考えられるようになる。

 

ぜひ日頃から取り組みたい。

 

 

 

1 バイアス

 

代表制バイアス…頭に思い浮かべやすいものほど、数や起こりやすさを大きく見積もる。

 

例:「芸術が好きで何度もパリに旅行に行ったことがある」学生の専攻としてより可能性が高いのは、「芸術」よりも「経営」。

 

利用可能性バイアス…記憶から呼び出すのが容易なものの方が、そうでないものに比べて発生確率が高く件数も多いと捉えてしまう

 

例:9.11後、飛行機利用者が減少した(年間で車両事故による死者の割合の方が飛行機事故に比べて多いにも関わらず)

 

これらは、「基礎比率(の無視)」と言われる。

 

 

 

2 因果関係と相関関係

 

母乳で育てられた子どもの学力が良い? → 子どもに割く時間、余裕がある。

 

放電が原因で、稲光と雷鳴が結果であり、稲光の結果が雷鳴ではない。

 

人間が飢餓や病気で苦しむ姿こそ神が喜ぶという捉え方から生まれたのが「生贄」という儀式。

 

お酒を全く飲まない人よりも少し飲む人の方が健康であると示す「Jカーブ」の違和感。「飲むことが一切できない人(=自分で選んでいるのではなく、能力・身体的)」を勘定に入れると見え方が変わる。

 

古代ギリシャの最高神ゼウスが好色設定なのは、後から子孫を名乗る者が多数現れたことによる結果であり原因ではない。

 

小児用予防接種とダウン症診断初診の時期が近いことにより起こった予防接種反対運動。

 

これらからわかるように、人はよく相関関係を因果関係としてしまったり、因果を逆にしてしまったり、本来因果がないことに関係があると誤ることがよくある。

 

大体、何かを伝える人は自分の都合の良いデータを参照するものなので、まず示されたデータの何を信頼でき、何が問題なのかを考えられる心構えをしておく必要がある。

 

 

 

3 ガリレオ論法

 

ガリレオ・ガリレイ…天動説を否定し、地動説を提唱。

 

ルイ・パストゥール…病気の病原菌説の提唱者。

 

アルフレッド・ウェゲナー…大陸移動説提唱者。

 

これらの偉人は、提唱当初は「そんなわけない」と周りから批判され続けたにも関わらず意思を通し、それが正しいと証明した偉人の例である。

 

これを、便利に使う人がいる。

 

最近だと、ワクチン陰謀論、遺伝子操作食品の発がん性、温暖化否定、、、

 

人の性質上、直感的に馴染まない科学的知見には科学否定がつきものになる。

 

まるで昔に、「地球は平面に違いないんだ」と言っている人と大差ない。

 

もちろん、私も昔に生まれていたら、「地球が丸いなんてそんなわけない(笑」と一蹴していたかもしれない。

 

いや、もしかしたら平面なのかも。

 

だってそう教わっているだけで、自分で計算して、世界を回って確かめたわけじゃないし。

 

鎌倉幕府成立も1192年ではなく1185年と今の教科書はなっている。

 

ワクチンにも何かしら他国の思惑があるのかもしれないし、温暖化も地球の何億年という長いライフスパン的には暑くなる時期で、自然なことなのかもしれない。

 

ただそれを、「お前は絶対に間違っているんだ」と押し付けるのではなく、「こう思う」としておく。

 

強く主張できるのは、必死に研究や勉強を重ねた結果、発見に至ったほんの一握りの人なのかもしれない。

 

外野は、わずかに齧った程度の知識や思い込みで「絶対」を口に出すべきではない。

 

ま、自分の考えを表現することは大事なことだとも思いますが。

 

 

 

難しいですね。色々、本当に。

 

ただ、たくさんのことを楽しく考えるきっかけになった、超おもしろい本でした。