御社のチャラ男
絲山秋子著
講談社文庫　869円　8月の2冊目

いませんか？
こんなひと。
どこにでもいる、軽くて世渡り上手なチャラ男。
わかっていますか、本当の彼のこと。
組織に属する「私たち」の実態にせまる“会社員”小説の傑作！
ジョルジュ食品はオイル、ビネガーなどの商品を扱う地方の小さな会社だ。
社長のコネでやってきた三芳部長は、社内でひそかにチャラ男と呼ばれている。
自分には自分がないと悟る三芳と、彼のまわりの人々が彼を語ることで見えてくる、この社会に生きる私たちの現実。
すべての働くひとに贈る傑作“会社員”小説。
（ネット通販サイトhonto紹介文より）

とあるブラック企業を舞台に、社長をはじめとする社員や家族などがモノローグのような形の短編連作となっている。
心の動きに共感したり、セリフが心に刺さったり、なるほどと思ったり、「え～？」と思ったり、サラリーマンとして生きてきた自分の心に刺さる言葉もたくさん。

「むしろ私たちが、なぜあれほど若い頃、お酒に執着したのだろうと不思議になるほどだ。

飲まないと一日が終わらない、一緒に飲まなきゃ仲間になれない、遊んだことにならない、ストレスが発散できない、そういう風潮が確かにあった。

吐くまで飲んだり、暴れたり、記憶や持ち物をなくしたり寝過ごしたり、だらしないお酒の失敗が武勇伝だった。

理性を失って他人に甘えたり図々しくなることが打ち解けることだとされていて、それが大人のルールなのかと思っていた。

その環境がセクハラやパワハラを許してきていた。
あれはいったい、なんだったのだろう。」（作中より）

絲山作品は「逃亡くそたわけ」を初めて読んではまり、この夏３冊目。

読めば読むほどはまっていくし、まだたくさんの作品があるみたいなので、しばらく楽しめそう。

2024_12 御社のチャラ男