第63回『転勤する』
軍属として転勤する。
所在地は英国租界内。
日本人従業員男女併せて四十名程。
中国人従業員二百名程。
私は営業部で現場との連絡係りで、
勤務時間、
日本人のみ午前九時就業。
午前十一時より午後一時迄食事の時間で休業。
午後三時終了。
聞いて驚くこの戦時下に、
こんな会社があるのかと疑った。
部屋は相部屋だが八畳の間で広い。
食事は会社持ちで結構贅沢な食事。
中国人従業員は午前八時就業。
午後十二時より午後一時迄食事の時間。
午後四時終了。
給料を受け取るまでは心配したが、
給料は民間並でホッとする。
日米開戦で物価異常に高騰して、
中国貨幣は使用禁止で、
変わりの日本軍発行の軍票を使用する。
昭和十八年頃の紙幣は、
一万円札、
五千円札、
一千円札と並ぶ。
日本人の月給も最低でも三百万円は受け取る。
中国人は日給で百万円そこそこを月末に受け取る。
軍属は手当てが付いても…詳しくは知らぬが、
百万円位か。
軍属並であると生活が出来にくい。
会社は米国マリン(水兵)の宿舎を日本人が使う。
敷地も広くてテニスコートも二面ある。
私の仕事は計器類の修理組み立てだが、
各種の部品造りに追われ、
中国人が納入する製品の良否を検査する監督責任に納まる。
これはめずらしく最初は目をパチクリとする。
作業終了すると駅の改札口宜しく並ぶ従業員を、
一人一人、
頭髪の中、
弁当箱の中、
靴を脱がして中を調べる、
衣服のポケットの中、
胸を触り、
股を開かせて検査は終了する。
これを一人一人、
毎日インド人が男女別に検査をする。
その立ち会いに一週間に一度、
現場の者が立ち会う。
この屈辱的行為を平然と受ける中国人の心理は、
どうしても理解出来ず。
インド人は家族と共に会社の片隅で生活をしているらしい。
門衛としても働くが、
お祈りの時間は他を顧みず熱心に行なう。
又、
警官の大半はインド人。
仏教のインドでも人種の差別があるらしい。
中国にも人種の差別はある。
上海市で働く下層労働者は、
揚子江の北より揚子江を南に渡り来た者達はほとんどだ。
家で働く者に聞くと、
その殆どが北より来る。
クリー(下層労働者)、
アマ(お手伝い)、
黄包車(人力車)、
散髪屋の労働者、
兎に角下層で働かされている。
中国は賭けで始まり賭けで終る。
工場の昼の休憩時間に娯楽施設を倍増しても、
賭けは止めぬ。
喧しく指導すると、
その競技に熱中するが、
例えば卓球をワァワァ騒ぎやっている。
ピンポン玉、
次を打つか打たぬかで賭けている。
硬貨の裏表は序の口、
この点、
助からぬ民族と思う。
私も時間に余裕が出来たのでラケットを振り、
テニスを習う。
やれば面白い。
三時に仕事を仕舞い、
私は前衛専門で頑張る。
ラケットを下げて他流試合にも行く。
友達も増えて、
フランス租界にも行き、
家庭に紹介されて訪問して親しくなる。
互いに母国語と上海語と、
手振り感情を交ぜて話す。
一度、
酔う程に便所は何処と聞くと指を指す。
開けると奥さん料理の最中、
横に水洗便所があるが、
奥さん横にいる。
奥さん笑みを含めて、
紐を引けと手振りで示す。
引くとピラミッド型の布が落下する。
これで安心だが、
匂いは残ると心配すると換気扇がある。
他国人との付き合いも何かを覚えて楽しさが増す。
所在地は英国租界内。
日本人従業員男女併せて四十名程。
中国人従業員二百名程。
私は営業部で現場との連絡係りで、
勤務時間、
日本人のみ午前九時就業。
午前十一時より午後一時迄食事の時間で休業。
午後三時終了。
聞いて驚くこの戦時下に、
こんな会社があるのかと疑った。
部屋は相部屋だが八畳の間で広い。
食事は会社持ちで結構贅沢な食事。
中国人従業員は午前八時就業。
午後十二時より午後一時迄食事の時間。
午後四時終了。
給料を受け取るまでは心配したが、
給料は民間並でホッとする。
日米開戦で物価異常に高騰して、
中国貨幣は使用禁止で、
変わりの日本軍発行の軍票を使用する。
昭和十八年頃の紙幣は、
一万円札、
五千円札、
一千円札と並ぶ。
日本人の月給も最低でも三百万円は受け取る。
中国人は日給で百万円そこそこを月末に受け取る。
軍属は手当てが付いても…詳しくは知らぬが、
百万円位か。
軍属並であると生活が出来にくい。
会社は米国マリン(水兵)の宿舎を日本人が使う。
敷地も広くてテニスコートも二面ある。
私の仕事は計器類の修理組み立てだが、
各種の部品造りに追われ、
中国人が納入する製品の良否を検査する監督責任に納まる。
これはめずらしく最初は目をパチクリとする。
作業終了すると駅の改札口宜しく並ぶ従業員を、
一人一人、
頭髪の中、
弁当箱の中、
靴を脱がして中を調べる、
衣服のポケットの中、
胸を触り、
股を開かせて検査は終了する。
これを一人一人、
毎日インド人が男女別に検査をする。
その立ち会いに一週間に一度、
現場の者が立ち会う。
この屈辱的行為を平然と受ける中国人の心理は、
どうしても理解出来ず。
インド人は家族と共に会社の片隅で生活をしているらしい。
門衛としても働くが、
お祈りの時間は他を顧みず熱心に行なう。
又、
警官の大半はインド人。
仏教のインドでも人種の差別があるらしい。
中国にも人種の差別はある。
上海市で働く下層労働者は、
揚子江の北より揚子江を南に渡り来た者達はほとんどだ。
家で働く者に聞くと、
その殆どが北より来る。
クリー(下層労働者)、
アマ(お手伝い)、
黄包車(人力車)、
散髪屋の労働者、
兎に角下層で働かされている。
中国は賭けで始まり賭けで終る。
工場の昼の休憩時間に娯楽施設を倍増しても、
賭けは止めぬ。
喧しく指導すると、
その競技に熱中するが、
例えば卓球をワァワァ騒ぎやっている。
ピンポン玉、
次を打つか打たぬかで賭けている。
硬貨の裏表は序の口、
この点、
助からぬ民族と思う。
私も時間に余裕が出来たのでラケットを振り、
テニスを習う。
やれば面白い。
三時に仕事を仕舞い、
私は前衛専門で頑張る。
ラケットを下げて他流試合にも行く。
友達も増えて、
フランス租界にも行き、
家庭に紹介されて訪問して親しくなる。
互いに母国語と上海語と、
手振り感情を交ぜて話す。
一度、
酔う程に便所は何処と聞くと指を指す。
開けると奥さん料理の最中、
横に水洗便所があるが、
奥さん横にいる。
奥さん笑みを含めて、
紐を引けと手振りで示す。
引くとピラミッド型の布が落下する。
これで安心だが、
匂いは残ると心配すると換気扇がある。
他国人との付き合いも何かを覚えて楽しさが増す。