第41回『親孝行の日々』
今までの経験が買われて、
重宝がられた私は、
その発明品に惚れ込み、
寝食を忘れて改良に取り組む。
経営者に認められて、
仕事場の二階で寝泊まりして、
食事付きで月給四十五円。
改良に改良を加えて、
市バスにも取り付ける。
経営者自家用で、
オープンカーを持つ。
自家の計量器を取り付けて、
毎日、
雇いの運ちゃんに、
夕刻、
消費のガソリンと計器を見比べさせて、
製品の向上を図る。
工場休日の日は朝より、
計量器を取り付けたオープンカーを、
遊びで走らす。
送金しながら貯蓄も出来たので、
只働くのみで、
高松より出た事の無い母に、
京阪神で遊んでいただこうと手紙を出す。
聞き合わすと、
生涯に一度、
東本願寺にお参りしたいとの返信がある。
長女も修学旅行には行って無い。
まず着物代として五十円を送る。
秋の好日、
二人が天保山に着く頃を見計らい、
迎えに行く。
笑顔の二人。
経営者の主人に紹介をする。
「ゆっくりと遊んで帰りなさい。」
と主人。
「二階で寝泊まりして食事もしなさい。」
とも言ってくれる。
そして自家用車も、
運転手で貸してくれるのであった。
電車で先ず、
中ノ島に行き御堂筋を渡る。
母は、
「なんでこんな広い道があるの?」
と走り渡る。
心斎橋の賑わいを歩き、
住吉神社に参拝をする。
太鼓橋の穴に下駄の先を、
引っ掛け引っ掛け登る母の足元に、
先を行く人が落とした財布があり、
見つけて喜ばれる。
その夜、
歌舞伎座の評判の五郎劇を、
一等で案内する。
「お前は?」
と母。
とにかく入場してもらい、
劇のハネル頃出迎えに行く。
実に面白かったと目に涙。
翌日、
電車で奈良に行く。
大仏殿に驚き、
大仏さんの大きい事に目を見張る。
集まる鹿に煎餅をやったりする。
妹は猿沢の池を見て、
「なーんだ、
これが猿沢の池…か。」
小学生の読本で習った挿絵に、
池に写る五重塔の風景画は見事であった。
現物は濁った水に、
鯉や金魚が泳ぐ。
私も見て落胆する。
楽しく昼食を済まして、
若草山に登るが母は下で待つ。
妹と競争で登る楽しさ。
そこで妹が十銭を拾う。
下山して、
その十銭でアイスクリームを買い、
二人で分け合い喉を潤す。
母の疲れも気付かず、
妹と休みもなく話して、
楽しさも倍加される。
翌日、
借りた英国製のオープンカーで、
運転手に運転をして貰い京都に行く。
この車で経営者と、
長谷寺へ牡丹を見に行った折り、
格好良く田舎道を走るが、
前に車が割り込んで走る。
当時の道路には舗装は無いので、
その砂塵を真面に受けて、
幌を上げた苦い経験がある。
先ず銀閣寺を拝観して、
金閣寺に行く。
母と妹、
陽光に輝きを増す金閣寺を見て、
うっとり言葉も無し。
閣内に入り、
狭い階段を登り庭内の静寂に、
暫く我を忘れる。
そして、
母の待望の東本願寺を行く。
拝観料三十銭を支払い、
二人は寺内に入る。
私は寺内の庭で遊ぶ鳩と過ごす。
母は満足の微笑みで渡り廊下に立つ。
思いを達した母の笑顔は美しい。
帰宅して、
二階で様々な今日の思い出を話す母に、
私は満足感に浸る。
重宝がられた私は、
その発明品に惚れ込み、
寝食を忘れて改良に取り組む。
経営者に認められて、
仕事場の二階で寝泊まりして、
食事付きで月給四十五円。
改良に改良を加えて、
市バスにも取り付ける。
経営者自家用で、
オープンカーを持つ。
自家の計量器を取り付けて、
毎日、
雇いの運ちゃんに、
夕刻、
消費のガソリンと計器を見比べさせて、
製品の向上を図る。
工場休日の日は朝より、
計量器を取り付けたオープンカーを、
遊びで走らす。
送金しながら貯蓄も出来たので、
只働くのみで、
高松より出た事の無い母に、
京阪神で遊んでいただこうと手紙を出す。
聞き合わすと、
生涯に一度、
東本願寺にお参りしたいとの返信がある。
長女も修学旅行には行って無い。
まず着物代として五十円を送る。
秋の好日、
二人が天保山に着く頃を見計らい、
迎えに行く。
笑顔の二人。
経営者の主人に紹介をする。
「ゆっくりと遊んで帰りなさい。」
と主人。
「二階で寝泊まりして食事もしなさい。」
とも言ってくれる。
そして自家用車も、
運転手で貸してくれるのであった。
電車で先ず、
中ノ島に行き御堂筋を渡る。
母は、
「なんでこんな広い道があるの?」
と走り渡る。
心斎橋の賑わいを歩き、
住吉神社に参拝をする。
太鼓橋の穴に下駄の先を、
引っ掛け引っ掛け登る母の足元に、
先を行く人が落とした財布があり、
見つけて喜ばれる。
その夜、
歌舞伎座の評判の五郎劇を、
一等で案内する。
「お前は?」
と母。
とにかく入場してもらい、
劇のハネル頃出迎えに行く。
実に面白かったと目に涙。
翌日、
電車で奈良に行く。
大仏殿に驚き、
大仏さんの大きい事に目を見張る。
集まる鹿に煎餅をやったりする。
妹は猿沢の池を見て、
「なーんだ、
これが猿沢の池…か。」
小学生の読本で習った挿絵に、
池に写る五重塔の風景画は見事であった。
現物は濁った水に、
鯉や金魚が泳ぐ。
私も見て落胆する。
楽しく昼食を済まして、
若草山に登るが母は下で待つ。
妹と競争で登る楽しさ。
そこで妹が十銭を拾う。
下山して、
その十銭でアイスクリームを買い、
二人で分け合い喉を潤す。
母の疲れも気付かず、
妹と休みもなく話して、
楽しさも倍加される。
翌日、
借りた英国製のオープンカーで、
運転手に運転をして貰い京都に行く。
この車で経営者と、
長谷寺へ牡丹を見に行った折り、
格好良く田舎道を走るが、
前に車が割り込んで走る。
当時の道路には舗装は無いので、
その砂塵を真面に受けて、
幌を上げた苦い経験がある。
先ず銀閣寺を拝観して、
金閣寺に行く。
母と妹、
陽光に輝きを増す金閣寺を見て、
うっとり言葉も無し。
閣内に入り、
狭い階段を登り庭内の静寂に、
暫く我を忘れる。
そして、
母の待望の東本願寺を行く。
拝観料三十銭を支払い、
二人は寺内に入る。
私は寺内の庭で遊ぶ鳩と過ごす。
母は満足の微笑みで渡り廊下に立つ。
思いを達した母の笑顔は美しい。
帰宅して、
二階で様々な今日の思い出を話す母に、
私は満足感に浸る。