第39回『祭りだワッショイ!』 | 五目紙物店「寅屋」

第39回『祭りだワッショイ!』

当時の奉行人は、
大阪の天神祭りには全員小遣い貰って、
臨時に休養する。
楽しみのひとつ。

全市を挙げてのお祭りで、
天神様の境内は飾りものが多く、
各種の山車もので笛や太鼓と人の渦で、
祭り気分を最高に守り立て、
その流れは商店街へと繰り出しす。

各種の山車も競り合いで、
山車と人の渦に巻き込まれ、
嬉しい悲鳴を上げながら行ったり来たり。
山車の共演の時は楽しく過ぎる。

その渦も流れ流れて大川へと流れ込む。
川の両側は立錐の余地も無く、
人が林立する。
夕景と共に、
打ち上げ花火が景気良く夜空を染める。

川面には大小の船が競り合う。
何十艘の船を電燈で飾り立て、
揃いのハッピを着込み、
狭い船内で手振り腰振り。
踊り狂う舷側を、
小型のモーターボートが危険を侵して、
水スマシの様に疾走する。
互いは互いを牽制しつつ、
祭り気分盛り上げる。

船内は飲めや囃せと感極まり、
人が川に飛び込みを見る。
川岸も人の渦で川面が見えぬ。
押し合い押し合い背伸びをして、
共に船内の囃に釣られて体は動く。

それぞれの大橋も人の渦で、
浴衣姿の男女の外人達が、
下駄を履き草履を履き、
サービスで貰った団扇片手に、
笑顔も最高に共に祭り気分を盛り上がる。

時間は過ぎ行く。

疲れ切った、
又、
祭りを堪能した民衆が、
帰りの地下鉄に殺到する。
只、
人に押されて押されて歩む姿は、
髪も衣服も乱れに乱れて、
顔は汗と埃で疲れを現わし、
何時の間にか改札口は何処かへ消えた…。

天神橋六丁目。
俗に天六と人は言う。

夕景ともなれば、
顔に薄化粧をして女性らしく着物を着て、
小脇に三味線を抱えてシャナリシャナリと歩き、
男とすれ違えば、
「チョイとお兄さん遊びましょう。」
と誘うオカマが行き通う。
当時の風物詩。

交通の信号はお巡りさんが中央で、
止まれ進めと信号を表示する。
漫画で、
『都会の人達は心優しい。
雀に泊まれ休めと表示する。』

この天六の交差点で、
当時日本国中を沸かせた、
ゴーストップ事件というのがあった。

赤信号を無視して八連隊の新兵サンが、
警察に連行されたのが切っ掛けで、
連隊と警察が真っ向から噛み合う。
片や帝国軍人を何と心得ると、
片や違反者は違反者と、
お互いに一歩も譲らず長期に渡る。
新聞は両方の言い分を書き立てる。
喧嘩は大きいほど面白い。

当時の国内の陰の声で、
八連隊も強くなったものだ。
戦場であれだけ強ければ良いが…。
と日本国中戦場に行けば負ける八連隊を、
また負けたかという八連隊の陰の声があった。

仲裁があり、
仲直りをしたが以後、
八連隊の兵隊達は、
信号を無視して日を送る。