第33回『決心』 | 五目紙物店「寅屋」

第33回『決心』

市街が開けるに連れて区画整理される。
我が田畑のある広範囲にも、
遠慮無く至る所に杭が打たれる。

農民が反対をして、
その道筋を皆で耕し、
狼煙を挙げて戦う。
父もその一員で役所と渡り合うが、
終に押し切られて道路は完成する。

狭い農道を荷物を運ぶのに、
難儀をしておったが、
結果的に、
自転車が走る便利な道になる。

次々と成人して、
表で遊ぶ顔は変わるが、
依然として、
餓鬼大将と鼻たれ小僧は減少しない。

不景気は相変わらずの世相が続く。
一時期、
背広を着込み、
タオルを腰にぶら下げる姿が流行したり、
風邪も引いておらぬのに、
マスクをするという行為が、
マスクせずして道も歩けない程に大流行する。
「大学は出たけれど…。」
の言葉が流行する

就職先が無い。
手に職を付けて一人前になるが、
勤め口が無い。
人の捨てた煙草の吸い殻を拾って吸う。
安くても月給とりと人は言う。

そんな時代に私は職人を希望する。
読み書きは何時でも習えるが、
職人になるには日数が掛かる。
一日でも早く、
住み込みで手に職を付けたい。

父は、
私に対して無関心では無かろうかと、
疑問に思える程、
何にも言わぬ。

容赦なく日は過ぎ行く。
私の事は私が結論を出そうと決心をする。