昨夜『文藝春秋』を読まなければならない衝動にかられて田中慎弥氏の『共食い』を読了した。
しかし、この暗いどん詰まり感はなんなんだ、この性癖はなんなんだ、何のメタファなんだと頭の中でぐるぐる回っている最中。芥川賞に5回もノミネートされているから、それらの作品を読んで田中さんの世界観にもっと触れてみたいと思った。次は『道化師の蝶』が待っている。

更にパラパラとページをめくっていると、尾野真千子さんのインタビューが掲載されていた。中学三年から映画やドラマに出続けても、やはり田舎の方々には映像が届きにくい。映画を観に行くには遠すぎるし、田舎の方々は寝る時間が早いからドラマも見ることがないそうだ。だから、親孝行出来るのは「朝ドラのヒロイン」だと思い続けてやっとチャンスが巡って来た。だからあの涙の記者会見があったんだな。

「糸ちゃん見てたらほんまにええ女優さんが出てきたゆうて毎日思う」

更にペラペラめくっていくと「日本人のスピリット:羽生善治~投了するタイミングにも散り際の美学がある」なんていうコラムが掲載されていた。
父親の影響から結構将棋に興味がある。時々日曜日に放送している「NHK将棋トーナメント」を見る。また、数年前には携帯電話で毎日のように将棋をしていた。
コラムには将棋の歴史が書かれていた。それで驚いたことは、江戸時代に家元制度や名人の世襲制があり、明治以降廃止になったということ。そんなくだらない制度が残っていたら今頃将棋は衰退していただろう。将棋や囲碁の世界は毎日が戦いで一局でも負けるとすとんと順位が落ちてしまうとても厳しい世界なのだ。だから見ていて面白いのだ。
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