今日は漢方を勉強する外科医のいる病院に通院する日だった。タイミングよく早起き出来たので朝8時過ぎには病院に到着して順番を取ることが出来た。売店で『文藝春秋』を買い、田中慎弥氏の記事と芥川賞受賞作である『共食い』を読みたいと思っていた。
私は外出先では体力の消耗が激しいため読書が出来ない。しかし、この度は西村賢太氏同様に経歴が変わっているため、インタビュー記事に引き込まれて順番待ちの間夢中で読んでいた。

田中氏が本を読むようになったのは中学生の時。亡くなったお父様の本棚から司馬遼太郎や松本清張を引っ張り出して読み、その後はお母様に買ってもらった昭和文学全集から川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫を知った。今ではこの三人は特別な存在になっているという。
また、高校卒業後は大学に進学せず

「東大生でもやらないような、むちゃなことをやってやろう」

と源氏物語の原文を二回、現代語訳で三回読んだそう。

これまでに『冷たい水の羊』で新潮新人賞小説部門受賞。『蛹』で川端康成賞。『切れた鎖』で三島由紀夫賞を受賞している。

『共食い』は記者会見で見せた姿とはかけ離れた繊細な描写に引き込まれていった。
すると診察室に呼ばれたので、急いで『文藝春秋』片手に入室。

私「失礼します。お願いします」

外科医「『文藝春秋』読んでるなんて文学少女みたいじゃないですかあ」

私「芥川賞の作品が載ってるんですよ」

外科医「僕は本読むの苦手だからなあ~」

私「私も最近読めてないんです」

外科医「いやっ、読んでるじゃないですか」

私「いえ、読めてないんです」

外科医「あの田中さん?やっぱり田中さんってああゆう(記者会見のような)感じなんかね~」

私「いえ…違いますねぇ」

外科医「あれは照れ隠し…?」

私「そうだと思います」

という会話から始まった。

久々の診察なので腹診をして、いつもの漢方薬プラス補気剤を出してもらった。補気剤はわかりやすく書くと元気が出る薬。それを薬局で受け取り、すぐ帰宅した。

やはり疲れが半端じゃないので午後から夕方まで爆睡。

さて『共食い』は読了出来るだろうか。
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『文藝春秋』2012年3月号