街に戻ってきたというか無理やり戻されたというべきか、再びふたりは
幾何学的な形状のビルの乱立した街の中をさまよっていた。
ソーヤ「そういえば、なんでさっきは動けなかったんだろう・・・」
ライト「わからない・・・結局、あいつは何も教えてくれなかったな」
ディスクというフリスビー状の物体を投げ合うバトルはあの荒唐無稽とも言える技さえなければ一種のスポーツのようにも見えた。そのバトルのさなか、高所から落下したふたりの体は固まって石のように動かなくなってしまったのだ。
ソーヤ「きっと、体がダメージを受けたんだよ
アイトは前方投げが相手を殺す手段だと言っていた
つまりはダメージを与えて相手の動きを止める手段・・・」
ライト「だけどよ・・・、たった一回の落下ダメージでか?」
ソーヤ「きっとレベルが足りないっていうことだよ」
一方、勝負の相手だったチームログインの4人は取り乱してしまった
リーダーのアイトを心配そうな表情で囲んでいた。
エリム「アイト様、落ち着きましたか?」
アイト「すまない・・・エリム」
まだ荒い息を胸を撫で下ろして整える。その際にため息と咳払いが出た。
だがさらに大きなため息がアイトの背後から聞こえた。
エリム「なにも仕組んでいないですよね?アイト様」
アイトの右腕であるエリムのものだ。
ジーナ「何言う!リーダー!そんなことしない!エリムもしって」
アイト「・・・ポイズンパッチを仕掛けた・・・」
白状したアイトにジーナを始めとしてランスもドクも青ざめる。
エリム「どこで手に入れたのですか?あれは時間の経過とともに相手の体を蝕む
違法改造パッチですよ それでは、奴らと同じじゃないですか!」
今度はエリムが取り乱し始めた。
アイト「ああ、一緒だよ・・・ 奴らが真実の塔を守るためなら何でもするように
わたしも何でもする、これ以上このゲームが悲劇を産まないためなら」
ジーナ「な、なぜ!ジーナの知ってるリーダー、そんなの違う!」
ランス「いいや、この前もバトルで違法改造パッチを使ってたぜ・・・」
ドク「何を焦ってんだよ!アイト!らしくもねーぞ」
アイト「焦ってなどいない!いいか!これはバトルなんかじゃない!
フェアなど必要ないんだ!何も分かっていないくせに知った口をきくな!
綺麗事だけじゃなにも、守れないんだよ何も・・・」
その場に座り込んでいたアイトは皆に背を向けて立ち上がり、ひとりにさせてくれと吐き捨てどこかに行ってしまった。
エリム「アイト様・・・」
チームメイトのもとを離れたアイトはひとりで街の外にいた。
近未来の街が遠くに見える小高い丘のような場所だ。アイトは画面上に作られた景色だが
この場所が好きだった。まるで本物であるかのように美麗なグラフィックで夕日に染まる
ビル並木が描かれているのだ。ひとりで黄昏るその背中に女の手が触れられる。
「アイトくん、なにしてるの?」
アイト「ね・・・、いやリンか・・・」
女の名前はリンと言うらしい。
リン「最近よくここに来るね、嫌なことでもあったの?」
彼女の呼びかけに返事すらしない。
リン「むしろ嫌なことしかない・・・みたいな顔ね
前は本当に面白くてこのゲームやってたね・・・でも今は」
アイト「リンを守るためだよ、そしてリンのような人が
二度と生まれないようにするため、興味本位で
真実の塔に近づこうとするものを排除する、それがわたしの使命・・・」
リン「なんでたかがゲームのために使命なんか・・・」
アイト「守るためだと言ってるんだ!」
リン「じゃあ守ってなんていらない!あたし・・・ここにいたくなんかないもの!」
アイト「リンはここでしか生きれないんだろ!ここにしかいれないんだろ!」
リン「ここにいたって、苦しいだけだもの いつも自分が消えてしまえばいいって」
アイト「絶対にそうはさせない!リンが消えたら・・・」
リン「目を覚まして!あたしはあなたのお姉さんじゃないの!」
リンのその言葉にアイトは黙りこくってしまった。
窓の外では夜が明けてしまっている。
時計を見ると朝の6時を過ぎてしまっていた。
まだ学校に行くには早い。だが今から寝て遅刻してしまっては元も子もない。
最近はモニターの前で夜を明かすことが多くなってしまった。
中身を長らく入れ替えてないカバンを持って、家の玄関のドアを出る。
しばらく歩けばコンビニエンスストアがある。そこで朝食を買う。
このライフスタイルがすっかり板についてしまった。
だが、あまりにも板についてしまっていたのか厄介な奴に先回りされていたのだ。
「おはよう、幽霊部員さん・・・」
そう、新聞部部長にして理事長の娘である更木明奈(ふかしぎ あきな)だ。
明奈「なんで昨日は来なかった?鎌瀬先輩」
鎌瀬「昨日もの間違いだろ?理事長にでも怒られたか?遅刻魔のくせに早起きだな」
明奈「最近はマジメに行ってるわよ!それより新聞部にマジメに来たらどうなの?」
鎌瀬「言っただろ?帰宅部と言うのが嫌だったから入ったんだ」
明奈「2年前までは随分とやる気があったそうじゃない?
一年の部員の中でまとめ役だったって聞いたよ」
鎌瀬「だからなんだって言うんだ?もうやる気がないんだよ」
明奈「もうすぐ一年の部員が入ってくる時期に
幽霊部員がいたんじゃイメージ悪いだろ」
鎌瀬「じゃあ、俺みたいにはなるなと一年に言っておいてくれ・・・」
鎌瀬は明奈を振り切ってコンビニの自動ドアをくぐり抜ける。
明奈はその背中を呼び止めるため、こう釘を刺した。
明奈「箱庭製作所・・・調べてたらしいね」
鎌瀬がその言葉に思わず立ち止まる。
腕組をしながら明奈も店内に入り、さらに鎌瀬から聞き出そうとする。
明奈「今の2年もその話しててさ・・・悔しいけどちょっと面白そうなんだよね」
鎌瀬「ひとつだけ言っておく 好奇心は人を殺すんだよ」
鎌瀬はそうとだけ言って何も買わずに店の外に出てしまった。
明奈はあえてその背中を追いかけはしなかった。
「結局、アイトってやつなんだったんだろーな・・・」
「そうだねー」
今日の登校中の話題はもちろん、昨日のゲームの話で持ちきりだった。
ゲームの中に現れたアイトという名前のプレイヤー。
そして初心者相手に全く容赦のなかったチームログインの面々。
まるでスポーツ競技のようなディスクの投げ合い。
どれをとってもふたりには刺激的であった。
「な~に、話してるの?おふたりさん!」
送也と幼馴染とあってか、才加はこれといった抵抗もなく
男子の話に興味津々に入ってくる。
「昨日やったゲームの話だよ!」
「それって、昨日話してた『わ~るどり~だ~'Z』とか言うやつ?」
「そうそう!」
「早速やってみたんだ!でで、どうだったの!?」
興味があることとなると才加はぐいぐいと詰め寄ってくる。
「もうなんか、すっごかった!円盤がバーンて飛んでギュイーンってなって」
「う・・・うんよくわからない・・・」
「才加もやってみたらどうだ?」
来斗の提案に自分を指差して驚く才加。
「そうだよ、やってみたらわかるよ!」
送也もそれに乗っかる。
「わかった、送也が言ったんじゃしょうがないな
あとでやり方ちゃんと教えてね」
才加の返事に、送也も笑顔で答えた。
学校の門をくぐり、教室に入る。
3人は同じ新聞部でありなおかつ、同じクラスだ。
そして、もうひとり同じクラスで同じ新聞部の生徒がいる。
そいつは送也の隣の席なのだが・・・、今は目の前で送也のものを
含めた3つの椅子をつなげてそこで寝ている。
「・・・ほ、本当に明奈さんって理事長の娘なのかしら・・・」
才加も呆れ顔だ・・・。
聞き捨てならないそのつぶやきに気がついたのか目をこすり明奈が起きた。
明奈「なぁに見てんだよこのスケベ ふぁ~あ・・・」
送也「自分の席を取られたらそりゃ見もするよ・・・」
明奈「ちょっとは動揺しろよ~、かっわいくね~な」
う~んと唸りながら背伸びをしてもうひとつあくびをする。
それに合わせて送也と来斗はため息をついた。
明奈「まあ、席をぶんどってたことは謝るわ
けど許してくれ・・・今日は5時半起きだったんだからな~」
才加「なんで、遅刻魔の明奈がそんな時間に?」
明奈「遅刻魔は去年の話だろ 今は真面目に来てんだから
もう今日ぐらいからだろ 一年が部活見に来るの
だからよ、うちの幽霊部員を呼び戻そうかと思ってな」
来斗「鎌瀬とか・・・言ったっけ・・・」
送也「で?どうだったの?」
明奈は首を横に振る。どうやら幽霊部員を引き戻すことは叶わなかったようだ。
明奈「だけどよ、2年前は幽霊部員じゃなかったらしい
それどころか最も積極的に参加していた部員だったって
それがある日を境に部室に来なくなった・・・」
来斗「それもまた面白いな・・・」
才加「ちょっと、人をさらす記事は良くないよ」
送也「でもきっとワケがあると思うんだ・・・
今は帰宅部と言うのが嫌だとか言ってるけど、
はじめは好きだったと思う きっとなにかわけが・・・」
明奈「んなの、わかってっけどよ
他人が入り込めることじゃねえんだろ・・・」
「箱庭製作所・・・調べてたらしいね」
今になって、嫌なこと聞いてくる奴だ。だから部室になんか行きたくないんだ。
鎌瀬は教室で天井を仰ぎ見ながらふてくされていた。
昨日はろくに睡眠もとっておらず。眠気には勝てなかった。
夢の中で視界が開ける。思い出したくもない景色だ。
塀に囲まれた少し狭い道路・・・。普通自動車1台なら安安と通れるが大型となると少し厳しい。その道路には見通しの悪い交差点があり、ミラーも付けられているが、もちろんそのミラーにも死角はある。ダメ押しに飛び出し注意の看板まで置かれている。いつもなら何も起こらないはずだった。その場にいあわせたかったといえば嘘になる。だが自分の馴染みのある場所で、いつも登下校中に通りかかる場所で起きたことなのに・・・。
夢の世界の中でブレーキの音と悲鳴が響き渡った。
そこで、鎌瀬は勢いよく状態を起こし目を覚ます。
荒い息遣いに先生も若干引いている。
「授業中に居眠りどころか、うなされるとはな・・・
廊下に立つか?保健室にでも行くか?」
先生の呆れた声とみんなのクスクスと笑う声が教室にこだまする。
「すみません・・・、保健室・・・行かせてもらいます」
鎌瀬はうつむいたまま教室の後ろのドアをくぐった。
幾何学的な形状のビルの乱立した街の中をさまよっていた。
ソーヤ「そういえば、なんでさっきは動けなかったんだろう・・・」
ライト「わからない・・・結局、あいつは何も教えてくれなかったな」
ディスクというフリスビー状の物体を投げ合うバトルはあの荒唐無稽とも言える技さえなければ一種のスポーツのようにも見えた。そのバトルのさなか、高所から落下したふたりの体は固まって石のように動かなくなってしまったのだ。
ソーヤ「きっと、体がダメージを受けたんだよ
アイトは前方投げが相手を殺す手段だと言っていた
つまりはダメージを与えて相手の動きを止める手段・・・」
ライト「だけどよ・・・、たった一回の落下ダメージでか?」
ソーヤ「きっとレベルが足りないっていうことだよ」
一方、勝負の相手だったチームログインの4人は取り乱してしまった
リーダーのアイトを心配そうな表情で囲んでいた。
エリム「アイト様、落ち着きましたか?」
アイト「すまない・・・エリム」
まだ荒い息を胸を撫で下ろして整える。その際にため息と咳払いが出た。
だがさらに大きなため息がアイトの背後から聞こえた。
エリム「なにも仕組んでいないですよね?アイト様」
アイトの右腕であるエリムのものだ。
ジーナ「何言う!リーダー!そんなことしない!エリムもしって」
アイト「・・・ポイズンパッチを仕掛けた・・・」
白状したアイトにジーナを始めとしてランスもドクも青ざめる。
エリム「どこで手に入れたのですか?あれは時間の経過とともに相手の体を蝕む
違法改造パッチですよ それでは、奴らと同じじゃないですか!」
今度はエリムが取り乱し始めた。
アイト「ああ、一緒だよ・・・ 奴らが真実の塔を守るためなら何でもするように
わたしも何でもする、これ以上このゲームが悲劇を産まないためなら」
ジーナ「な、なぜ!ジーナの知ってるリーダー、そんなの違う!」
ランス「いいや、この前もバトルで違法改造パッチを使ってたぜ・・・」
ドク「何を焦ってんだよ!アイト!らしくもねーぞ」
アイト「焦ってなどいない!いいか!これはバトルなんかじゃない!
フェアなど必要ないんだ!何も分かっていないくせに知った口をきくな!
綺麗事だけじゃなにも、守れないんだよ何も・・・」
その場に座り込んでいたアイトは皆に背を向けて立ち上がり、ひとりにさせてくれと吐き捨てどこかに行ってしまった。
エリム「アイト様・・・」
チームメイトのもとを離れたアイトはひとりで街の外にいた。
近未来の街が遠くに見える小高い丘のような場所だ。アイトは画面上に作られた景色だが
この場所が好きだった。まるで本物であるかのように美麗なグラフィックで夕日に染まる
ビル並木が描かれているのだ。ひとりで黄昏るその背中に女の手が触れられる。
「アイトくん、なにしてるの?」
アイト「ね・・・、いやリンか・・・」
女の名前はリンと言うらしい。
リン「最近よくここに来るね、嫌なことでもあったの?」
彼女の呼びかけに返事すらしない。
リン「むしろ嫌なことしかない・・・みたいな顔ね
前は本当に面白くてこのゲームやってたね・・・でも今は」
アイト「リンを守るためだよ、そしてリンのような人が
二度と生まれないようにするため、興味本位で
真実の塔に近づこうとするものを排除する、それがわたしの使命・・・」
リン「なんでたかがゲームのために使命なんか・・・」
アイト「守るためだと言ってるんだ!」
リン「じゃあ守ってなんていらない!あたし・・・ここにいたくなんかないもの!」
アイト「リンはここでしか生きれないんだろ!ここにしかいれないんだろ!」
リン「ここにいたって、苦しいだけだもの いつも自分が消えてしまえばいいって」
アイト「絶対にそうはさせない!リンが消えたら・・・」
リン「目を覚まして!あたしはあなたのお姉さんじゃないの!」
リンのその言葉にアイトは黙りこくってしまった。
窓の外では夜が明けてしまっている。
時計を見ると朝の6時を過ぎてしまっていた。
まだ学校に行くには早い。だが今から寝て遅刻してしまっては元も子もない。
最近はモニターの前で夜を明かすことが多くなってしまった。
中身を長らく入れ替えてないカバンを持って、家の玄関のドアを出る。
しばらく歩けばコンビニエンスストアがある。そこで朝食を買う。
このライフスタイルがすっかり板についてしまった。
だが、あまりにも板についてしまっていたのか厄介な奴に先回りされていたのだ。
「おはよう、幽霊部員さん・・・」
そう、新聞部部長にして理事長の娘である更木明奈(ふかしぎ あきな)だ。
明奈「なんで昨日は来なかった?鎌瀬先輩」
鎌瀬「昨日もの間違いだろ?理事長にでも怒られたか?遅刻魔のくせに早起きだな」
明奈「最近はマジメに行ってるわよ!それより新聞部にマジメに来たらどうなの?」
鎌瀬「言っただろ?帰宅部と言うのが嫌だったから入ったんだ」
明奈「2年前までは随分とやる気があったそうじゃない?
一年の部員の中でまとめ役だったって聞いたよ」
鎌瀬「だからなんだって言うんだ?もうやる気がないんだよ」
明奈「もうすぐ一年の部員が入ってくる時期に
幽霊部員がいたんじゃイメージ悪いだろ」
鎌瀬「じゃあ、俺みたいにはなるなと一年に言っておいてくれ・・・」
鎌瀬は明奈を振り切ってコンビニの自動ドアをくぐり抜ける。
明奈はその背中を呼び止めるため、こう釘を刺した。
明奈「箱庭製作所・・・調べてたらしいね」
鎌瀬がその言葉に思わず立ち止まる。
腕組をしながら明奈も店内に入り、さらに鎌瀬から聞き出そうとする。
明奈「今の2年もその話しててさ・・・悔しいけどちょっと面白そうなんだよね」
鎌瀬「ひとつだけ言っておく 好奇心は人を殺すんだよ」
鎌瀬はそうとだけ言って何も買わずに店の外に出てしまった。
明奈はあえてその背中を追いかけはしなかった。
「結局、アイトってやつなんだったんだろーな・・・」
「そうだねー」
今日の登校中の話題はもちろん、昨日のゲームの話で持ちきりだった。
ゲームの中に現れたアイトという名前のプレイヤー。
そして初心者相手に全く容赦のなかったチームログインの面々。
まるでスポーツ競技のようなディスクの投げ合い。
どれをとってもふたりには刺激的であった。
「な~に、話してるの?おふたりさん!」
送也と幼馴染とあってか、才加はこれといった抵抗もなく
男子の話に興味津々に入ってくる。
「昨日やったゲームの話だよ!」
「それって、昨日話してた『わ~るどり~だ~'Z』とか言うやつ?」
「そうそう!」
「早速やってみたんだ!でで、どうだったの!?」
興味があることとなると才加はぐいぐいと詰め寄ってくる。
「もうなんか、すっごかった!円盤がバーンて飛んでギュイーンってなって」
「う・・・うんよくわからない・・・」
「才加もやってみたらどうだ?」
来斗の提案に自分を指差して驚く才加。
「そうだよ、やってみたらわかるよ!」
送也もそれに乗っかる。
「わかった、送也が言ったんじゃしょうがないな
あとでやり方ちゃんと教えてね」
才加の返事に、送也も笑顔で答えた。
学校の門をくぐり、教室に入る。
3人は同じ新聞部でありなおかつ、同じクラスだ。
そして、もうひとり同じクラスで同じ新聞部の生徒がいる。
そいつは送也の隣の席なのだが・・・、今は目の前で送也のものを
含めた3つの椅子をつなげてそこで寝ている。
「・・・ほ、本当に明奈さんって理事長の娘なのかしら・・・」
才加も呆れ顔だ・・・。
聞き捨てならないそのつぶやきに気がついたのか目をこすり明奈が起きた。
明奈「なぁに見てんだよこのスケベ ふぁ~あ・・・」
送也「自分の席を取られたらそりゃ見もするよ・・・」
明奈「ちょっとは動揺しろよ~、かっわいくね~な」
う~んと唸りながら背伸びをしてもうひとつあくびをする。
それに合わせて送也と来斗はため息をついた。
明奈「まあ、席をぶんどってたことは謝るわ
けど許してくれ・・・今日は5時半起きだったんだからな~」
才加「なんで、遅刻魔の明奈がそんな時間に?」
明奈「遅刻魔は去年の話だろ 今は真面目に来てんだから
もう今日ぐらいからだろ 一年が部活見に来るの
だからよ、うちの幽霊部員を呼び戻そうかと思ってな」
来斗「鎌瀬とか・・・言ったっけ・・・」
送也「で?どうだったの?」
明奈は首を横に振る。どうやら幽霊部員を引き戻すことは叶わなかったようだ。
明奈「だけどよ、2年前は幽霊部員じゃなかったらしい
それどころか最も積極的に参加していた部員だったって
それがある日を境に部室に来なくなった・・・」
来斗「それもまた面白いな・・・」
才加「ちょっと、人をさらす記事は良くないよ」
送也「でもきっとワケがあると思うんだ・・・
今は帰宅部と言うのが嫌だとか言ってるけど、
はじめは好きだったと思う きっとなにかわけが・・・」
明奈「んなの、わかってっけどよ
他人が入り込めることじゃねえんだろ・・・」
「箱庭製作所・・・調べてたらしいね」
今になって、嫌なこと聞いてくる奴だ。だから部室になんか行きたくないんだ。
鎌瀬は教室で天井を仰ぎ見ながらふてくされていた。
昨日はろくに睡眠もとっておらず。眠気には勝てなかった。
夢の中で視界が開ける。思い出したくもない景色だ。
塀に囲まれた少し狭い道路・・・。普通自動車1台なら安安と通れるが大型となると少し厳しい。その道路には見通しの悪い交差点があり、ミラーも付けられているが、もちろんそのミラーにも死角はある。ダメ押しに飛び出し注意の看板まで置かれている。いつもなら何も起こらないはずだった。その場にいあわせたかったといえば嘘になる。だが自分の馴染みのある場所で、いつも登下校中に通りかかる場所で起きたことなのに・・・。
夢の世界の中でブレーキの音と悲鳴が響き渡った。
そこで、鎌瀬は勢いよく状態を起こし目を覚ます。
荒い息遣いに先生も若干引いている。
「授業中に居眠りどころか、うなされるとはな・・・
廊下に立つか?保健室にでも行くか?」
先生の呆れた声とみんなのクスクスと笑う声が教室にこだまする。
「すみません・・・、保健室・・・行かせてもらいます」
鎌瀬はうつむいたまま教室の後ろのドアをくぐった。