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旧体育館にとらわれていた小雨を助け出すために、
自分の身を犠牲に出した、金也と平一。
だがその三人をも救わんと、七音、瑠奈、百合、襟糸の4人が駆けつけた。
その様子を見て美沙斗は、思い切り高笑いをした。
美沙斗「アハハハッ!本当に虫けらみたい・・・。
うじゃうじゃ湧いて出て・・・。うっとおしくて仕方ない・・・。
でも虫けらが、いくら集まろうが一緒・・・。
言っとくけどうちのお兄ちゃんは、ケンカでは負けたことがないのよ。
バカだけどね・・・。」
北斗「えっ・・・。いまなんかさりげにひどいこと言わなかった?
気のせいだよね!美沙斗ちゃんがそんなこと、言うわけないもんね!」
七音「あのバカはわたしが相手する・・・。」
北斗「バカって言った!?またバカって言った!?」
七音「その間になんとかバカガネ兄妹から小雨を連れ出せ。」
瑠奈と百合はそれにうなづいた。
美沙斗「なんであたしまでバカになってんの!」
北斗と七音が、互いににらみ合う。
北斗「・・・。女だてらに、オレとやり合おうと・・・?ええ度胸やな・・・。」
七音「運動神経ナンバー1の女子をなめたらあかんで。
YAWARA!で出てきたひったくり犯みたいに巴投げや。」
北斗「オレを舐めきっているようだな・・・。
こう見えてもオレは、あの伝説の北斗珍拳(ほくとちんけん)をマスターした男・・・。
『北斗兼シロウト』 と呼ばれているのだ。」
七音「それ、結局ただの素人やないか!」
北斗「うるせぇえっ!この攻撃を受けてもそう言えるかな・・・?はぁああああ、
ア~タタタタタタタ、ア~タタタタタタタ!」
ものすごい速さで拳が繰り出される・・・、が七音と北斗の間合いがありすぎるため・・・。
七音「いっこも届いてへんやないかぁああああああっ!」
がら空きだった下半身に滑り込み局部を蹴り上げる。
北斗「ぶべらぁああああっ!・・・お、オレはもう・・・。死んでいる・・・。」
北斗はその場に倒れ伏した。
美沙斗「って何やってんの兄ちゃんっ!!」
その様子に動揺した美沙斗の背後に二人が忍び寄る。
百合と瑠奈だ。百合と瑠奈は美沙斗の脇に手を回し、そのまま押し倒した。
美沙斗「て・・・・、てめぇえっ!」
そのスキに襟糸が、小雨の縄をほどく・・・。
瑠奈「これで分かったでしょ・・・。あんたはあたしたちから何も奪えやしない・・・。
あたしたちの仲間の誰も傷つけることなんてできない。そうしようなら絶対に・・・。」
「あたしらが黙っちゃいない・・・。」
「オレたちが黙っちゃいない・・・。」
なおも歯を食いしばり暴れる美沙斗の前に、平一。
股間をおさえ、痛みをこらえる北斗の前に、金也が現れた。
平一「もう、終わりだよ・・・。あんたの逆恨みは・・・美沙斗・・・。」
金也「おとなしくしろ・・・。おまえら兄妹ふたりとも・・・。」
そのときだった。ふたつの手錠が、入口から投げられた。
それを金也と平一がぱしっと受け止める。
「オレたち生徒会が・・・、逮捕します。」
美沙斗「そ、その手錠はどっから出した!誰が渡した!」
小雨はその手錠が飛んできた入口の方を見やった。
そこには、信じられない人物が立っていた。七音も驚いている・・・。
来るなんて思わなかった・・・。来てくれるなんて思わなかった・・・。
生徒会長・・・、棘 護(いばら まもる)・・・。
「遅くなってすまない・・・。記憶は失ったが・・・、仲間まで失うわけいかないんでね・・・。
以前のオレがドMだったことに感謝しろ。机の中に手錠(そいつ)が入ってた・・・。」
「か、会長・・・。」
「いばら・・・くん・・・。」
美沙斗と北斗の腕に手錠がかけられた。
美沙斗「・・・あたしらの完敗みたいやな・・・。」
棘「金也、平一・・・。久しぶりの会長からの命令だ・・・。
そいつらを生徒指導部に連れて行け・・・。」
美紗斗と北斗は、ふたりに連行された。
棘「すまない・・・。遅れてしまって・・・。見捨てようとなんかしてしまって・・・。
そして本当にすまない・・・。まだなにも思い出せなくて・・・。
七音・・・。おまえに言われてハッとなったよ・・・。
七音だけじゃない・・・、小雨も、金也も襟糸も平一も・・・みんなみんな
オレのこと拾い上げようと、すくい上げようとしてくれたのに・・・
オレはそれを突き放すどころか、その仲間がとらわれても、捨てようとしていた・・・。
記憶を失う前の自分を嫌ってたなんか、ただの言い訳・・・。
オレは自分からでさえ逃げ惑っていただけなんだ・・・。
すまなかった・・・。すまなかった・・・オレがいない間、生徒会を守ってくれた・・・。
オレはそんなみんなのために何も覚えていない空っぽの頭下げて、
帰ってくることしかできない・・・。
『おかえり』なんて言わなくていい・・・。受け入れてくれなくてもいい・・・。
ただ・・・ただ・・・。元生徒会長でありながらみんなをほっぽってしまったことの
おわびだけは・・・、させてくれ・・・。お願い・・・・お願いだ・・・。」
頭を地面にこすりつけ、必死にわびる・・・。
襟糸「会長・・・。頭なんて下げなくていいです・・・。
オレ達はずっと、まってたんですから・・・。」
「会長が・・・。」「あんたが・・・。」「棘くんが・・・。」
「戻ってくるのを・・・。」
それを聞いて、棘は顔を上げ、再び頭を下げた・・・。
「おかえりなさい。会長・・・。」
「・・・あり・・・がとう・・・。ありがとう・・・。」
流れ出た涙を隠すために・・・。
襟糸「さあ、帰りましょう・・・。」
小雨「あたしたちの生徒会へ・・・。」
棘はそれに、こくりとうなづき、立ち上がり歩きだした・・・。
百合「少しは記憶・・・取り戻せたようね・・・。」
瑠奈「うん・・・。少なくとも、あたしが知ってる・・・どんなになっても誰かを見捨てない・・・。
根性もないくせに度量だけでかい・・・棘くんは戻ってきてくれた・・・。」
旧体育館の入口に向かって歩いてゆく生徒会の面々を
しみじみとした・・・、だけど、どこか懐かしい心情で3人は見送っていた。
だが、旧体育館は床にガレキが散乱している。
無理もない。もう取り壊しの話もでているのだから・・・。
そのガレキに棘のかかとがつっかかり、
そのままバランスを失ってふらついてる間に、
閉まっていた入口の金属製のドアに思い切り頭をぶつけ、倒れてしまったのだ。
小雨「か、会長っ!」
襟糸「なにやってんですか!大丈夫ですか!」
軽く気を失っていたようだが、襟糸がゆさぶると意識を取り戻した。
棘「あれ・・・?おまえらここで何やってんだ?」
・・・。・・・。
・・・。・・・。・・・・。
襟糸「か、かかかかか、会長ぉおおおおおっ!また記憶喪失なったって言うんですか!!」
小雨「ええええええっ!」
棘「記憶喪失・・・?なんじゃそりゃ・・・?」
襟糸「とぼけないでください!会長はいままで記憶喪失で
オレ達のことも、自分の存在さえも忘れていたんですよ!」
棘「え?そうなの・・・?というか、なんでこんなとこにオレはいるんだ?
旧体育館か・・・?」
小雨「ま、まさか・・・会長・・・、記憶が戻って・・・。」
棘「記憶がもどるもなにも、オレはお前らのこと忘れたことはないぞ。」
そう言う棘を怒りの形相でふたりが見つめていた。
「え・・・?なに?オレ・・・、なんか悪いことした?」
棘はそのままふたりに、ぶちのめされ袋叩きになった。
「あがぁあっ!ちょ・・・ちょ・・・なにをする!なんか悪いことしたか!?」
「うっせえっ!さんざんひと様に心配かけて迷惑かけて!」
「結局頭打って記憶とりもどしただぁあ?!ふざけるなっ!!」
「あっ!ちょ・・・。で、でもなんかいいかも・・・。」
「気持ち悪いわぁあああああっ!」
七音「なんじゃそりゃ・・・。」
瑠奈「本当にね・・・。心配してたこっちがバカみたい・・・。
でも、ふたりともあんなに怒っちゃって・・・。
よっぽど心配されてたんだね・・・。」
百合「そうだね・・・。」
・・・。棘くん・・・。たしかに、あんたはダメ人間かもしれない・・・。
だからって否定しているわけじゃない・・・。
あんたがどんだけダメでも否定しきれない・・・。
そんなあんた以上のバカがあんたの周りにはいっぱいいるから・・・。
ダメ人間も捨てたもんじゃない・・・。いや、あたしたちが捨てれないだけか・・・。
だから、覚えておいてね・・・。あたしたちのこと・・・。
あんたの、かけがえのない・・・仲間たちのことを・・・。