「つくもがみっ!!」本当の意味でのダメ人間など存在しない。 4 | 小説製作所 FELLOW'S PROJECT REBEL

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「え・・・。お、お兄ちゃん。そ、それって・・・。」

小雨は五月雨の言葉に、驚愕した。

「ああ・・・。あいつならもう、来なくなったよ・・・。」

「会長・・・。ここの部活で会って・・・話してをくり返していたら、

 いつかきっと思い出してくれると思ったのに・・・。」

「そういうのに、本人がうんざりしているんだろ・・・。」

生徒会長、棘 護が記憶喪失になって一週間の時が過ぎた。

棘がホスト部に入ってからというもの、小雨は放課後に部室を度々訪れ、彼と話していた。

もちろん・・・、記憶を取り戻して生徒会に戻ってきてもらうために。

だがそのことが逆に、棘本人を追いつめていたのだろう・・・。

今となっては部室にも来ないし、教室を訪ねても目を合わせてもくれなくなってしまった。

もちろん生徒会室にも姿を現さない・・・。

もはや、小雨が棘と話せる機会はなくなったも同然なのだ。

部室を出て肩を落としながら廊下をとぼとぼと歩く・・・。ため息をひとついたところでと、背後から声がした。

「あら・・・。小雨・・・随分と元気がないじゃない・・・。」

美沙斗の声だ・・・。

「み・・・美沙斗・・・。」

彼女はなにかを企んでいるかのように口元をつり上げ、含み笑いをもらす。

「困ってるんでしょ・・・?会長がな~んにも思い出してくれなくて・・・。

 協力してあげるわ。あたしも困ってるから・・・。思い出してくれなくて・・・。」

「な、なにをすればいいの・・・?」

「簡単よ・・・。あなたはあたしに、従えばいいの・・・。だまって、あたしにとらわれてればいい・・・。

 流石にかつての仲間がとらわれたのなら、黙っちゃいないでしょ。

 落っことした記憶も元通りになるかもよ・・・。大丈夫・・・。あたしは危害はくわえないわ・・・。」

怪しく笑いかける美沙斗に懐疑心を抱きつつも、自分に残された可能性の少なさに

打ちひしがれていた小雨は、それに従うしかなかった・・・。

そのまま、旧体育館の中に案内され、両腕を後ろで縛られた・・・。

「美沙斗、たのみってなんだ?」

中には既にひとり、男がいた。美沙斗の兄である銅 北斗(あかがね ほくと)。

北斗が美沙斗に竹刀を投げ渡す。それを右手でぱしっと受け取った。

「今から、小雨(こいつ)を人質にしてここに立てこもる。

 小雨、あんたはその旨を現生徒会に伝えなさい・・・。

 この件に棘以外が手出しできないようにするの。」

「で、でも・・・。」

「はやくっ!小雨・・・。あんたが、わたしに逆らうことなんてできると思ってんの?

 中学に入って生徒会なんかやって・・・。あんたはただの淋しいいじめっ子でしょ。」

「な・・・、なにが言いたいの?」

「本当にぬるま湯に浸かってたみたいね・・・。全部・・・。ぜーんぶ、芝居だったのよ!

 この学校で初めてあんたに会ったとき、わざと男子にいじめられ、あんたに助けてもらった、

 あんたが、あたしのことを覚えているか、確かめるためにね・・・。だけど覚えてなかった。

 そこで、あんたがこの学校でつながったやつらを闇討ちし、

 あんたの中からあたしを消し去った奴らをぶちのめした。

 まだ、わからない?まだ、思い出さないの?よっぽど小学校のときがトラウマだったのね。

 あたしの名前も顔さえも覚えていないなんて・・・。」

竹刀をかまえ、あざ笑う美沙斗。

「・・・。し、知らない・・・。知らないよ・・・。

 あの頃のことはもう・・・、なにも・・・。」

「じゃあ、こう言えば思い出してくれるかしら・・・?」

美沙斗は、右手の竹刀を肩にもたれかけさせ、小雨をにらみつけ、口元をつりあげた。

「いじめろ・・・。あいつをいじめろ・・・。でなきゃ、あんたをいじめる・・・。」


その言葉を聞いて・・・、小雨は目を見開いた。

「あ、あんたは・・・。」

「やっと、思い出してくれたようね・・・。記憶喪失はあんたのほうだよ。小雨・・・。」

その含み笑いは高笑いに変わった。

その変化の途中で、小雨の中でおさえていた過去のトラウマが沸き起こる・・・。


ご・・・め・・・んなさい・・・。ごめんなさい・・・。


「ごめんなさい・・・。ケガ・・・させちゃって・・・。」

小雨は、ひとりの男子生徒に傷の手当てをしていた。

だが、その少年は彼女に敵意の目を向けていた。

彼女の手を払いのけ、立ち上がる。

「さわんなよ!おまえ・・・。意味わかんねえよ!自分でケガさせといて、こっちくんな!」

そう言って彼はすりむいた膝で走り去っていった。

「なにやってんの?小雨・・・。あんたバカ?」

背後から美沙斗が呼びかける。

「ケ・・・ケガしてたから・・・。」

「あんたがケガさせたんでしょ・・・。いじめってのはね、そのケガをあざ笑って楽しむものなの。」

「でも・・・。」

「大丈夫だよ。小雨・・・。あんたには人をいじめる理由がある。

 そうしないと、いじめられちゃうもんね・・・。あたしに・・・。」

名前も聞いたことがない・・・。

ただずっとあたしに、つきまとってそいつは・・・、美沙斗は・・・

あたしに、そんなことばかり吹き込んでいた・・・。

今までずっと忘れていた記憶・・・。



「あ、あんたは・・・。あ、あのときの・・・。」

「やっと思い出してくれたようね・・・。さ~あ、計画実行と行こうやないか!」

小雨ののどもとに、美沙斗の竹刀と北斗の竹刀が突きつけられる。

美沙斗は、小雨のスカートのポケットからケータイを取り出し、

それから生徒会副会長、事実上今は会長の時 金也(ときは かねなり)に電話をかけ、

その電話を、小雨の横顔に押し当てた。


「さあ・・・。しゃべれ・・・。あいつらを口止めするんだ・・・。」

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生徒会室で会議をしていた、金也のもとに電話がかかる。

金也「あ・・・。電話だ・・・?」

平一「会長からですか・・・?」

金也「いや、小雨からだ・・・。」


平一「小雨・・・、会長がああなってからというもの、めっきり会議にこなくなったな・・・。」

襟糸「かわりに、うちの教室によく来るよ。あいつだけだよ・・・。

    まだ会長のこと諦めきれていないのは・・・。オレ達も諦めてはいないのだが・・・。」

電話に出た金也は声を荒らげた。

金也「本当か!それは!」

小雨「わからない・・・。だけどこれは作戦のひとつ・・・。

    わたしが、人質になってそこを会長に助けてもらう・・・。

    だから、お願い・・・。今回のことは、て・・・、手を・・・出さないで欲しいの。」

金也「信じていいんだな・・・?」

小雨「会長の記憶がもどるかどうかってこと・・・?」

金也「おまえが、本当に危害を加えられないかどうかってことだ・・・。」

金也がそう言うと、小雨はとたんに黙りこくり、電話はそのまま切られた。


金也「おいっ!おいっ!小雨っ!」

平一「小雨がどうしたんですか・・・。」

金也「小雨が、旧体育館で人質に取られているらしい・・・。

    会長の記憶を取り戻すだなんだ言ってるが・・・。悪い予感がする・・・。

    誰かにつけこまれているかもしれない・・・。」

だが、金也の中でそれは予感というよりも確信に近かった。

それは、3人も同じだ・・・。

平一「これ以上、生徒会の人員を減らすわけには生きません。」

襟糸「行きましょう。旧体育館へ。」

金也「ああ、そうだな。」

3人は同時にうなづいて見せ、生徒会室をあとにした。