「つくもがみっ!!」占い師にかかると、ろくなことがない。 4 | 小説製作所 FELLOW'S PROJECT REBEL

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溶岩洞の中にある成鬼のアジトの玉座の間。

そこには地下の空間へとつながる階段への扉がある。

一旦その扉をくぐれば、そこは光のない真の闇だ・・・。

もっとも灯りはあるのだが、住人がそれを嫌がるため、つけないでいる・・・。

住人はただ暗闇で何をすることもなく闇に包まれて、ただただうなだれている。

そしてたまに、その暗闇から這い出でてきては、ふらついて

自分の闇へと引きずり込む餌を探して回る。そしてまた閉じこもる。

その繰り返しだ・・・。


住人の名前は媚貂(びてん)。

光をあざ笑う、神に見捨てられた哀れな子・・・。


「やあ・・・。相変わらず暗がりが好きなんだね・・・。」

彼女の闇は、人を引きずり込む性質がある。

「・・・。何をしにきたんだ?成鬼・・・。」

「うん。君が言っていた衛兵とやらを一目、見てみたくね・・・。」

「物好きな奴だ・・・。いずれ、お前に手を下す存在となるやも知れんのに。」

「見たいと言ってるんだ。いいから見せてくれ・・・。

 灯りをつけてもいいか?」

「一瞬だけな・・・。だが、これだけは言っておく。

 世の中には知らないほうがいいこともある・・・。」

明かりをつけた部屋にはおどろおどろしい光景が広がっていた・・・。

成鬼とそっくりなひとりの男が横たわっている。

だが、その皮膚は灰色に染められ、目は白目を向くどころか

眼球さえ存在せず、ただただ黒い影がそこにあるだけ・・・。

目や口、その他にも身体におびただしい量の穴があり、

その穴という穴から、灰色の植物のツルのようなものが生え、

肢体に絡みついていた。ツルの先には、大蛇の顔のような花弁が咲きほこっている。


「・・・。」

「どうだ・・・?かつての自分の身体の成れの果ての姿は?

 美しいだろ?これがわたしの理想系・・・。イデアだよ・・・。

 まあ、お前の趣味にそうかどうかは、知らないがね。」

「クク・・・。あは・・・。あはは・・・。本当にたまげたよ・・・。

 ボクの芸術品と呼ぶべき身体を、オレの身体を・・・。

 こんなみすぼらしい姿に変えたんだもの・・・。」


「相変わらずのナルシストぶりだな・・・。

 でも、お前の身体は確かに美しいかもしれない。

 だが、その中身たる心の姿は腐りはてた・・・、まさしく、お前の目の前の姿、

 そのものではないか・・・?まあ、見てくれはアレかもしれぬが・・・。力はあるぞ・・・。」

「ボクは君の悪趣味を笑いに来ただけだよ。じゃあね・・・。」

成鬼は震えた声でそう言い残し、部屋を後にしようとした。


「待て・・・。」

それを媚貂が呼び止める。


「いい加減、自分にウソをつくのはやめないか・・・?

 お前がこいつを、イデアを欲しがっているのは痛いほどわかっている。

 自分が、自由と引換えに失った力・・・。

 おまえは、それが欲しくて欲しくてたまらない・・・。そうだろ・・・?」

「・・・。」

「見せてみろ・・・。ハッキリさせてみろよ。

 『ボク』と『オレ』・・・。どっちが本当の自分なのか?

 全てを打ち明けてみせろよ・・・。このわたしに・・・。」

「・・・。・・・。」

「安心しろ・・・。わたしは、どんな闇も受け止める・・・。

 闇は闇同士でしか、分かり合えないからな・・・。」

その一言で、成鬼は、媚貂の方を振り返り、

彼女の喉元をつかみかかった。

目尻に涙を浮かべながら・・・。

「・・・。どうすればいい・・・?オレは、どうしたらいいんだ?」

顔をぐしゃぐしゃにして、涙を滞りなく流しながら、

媚貂の身体を揺さぶり、泣き崩れながら彼は語りだした。

「オレはきっと・・・。きっと殺される・・・。イザナギがオレの命を狙っている!

 オレにはもう、時間がない・・・。死にたくないっ!

 死ねば・・・、オレにもう二度と光は手に入らない・・・。

 太陽を崇めることなくして、屍になるなど、オレは嫌だ!!

 どうすればいいんだ!太陽を手に入れ、目障りなものをすべて消し去り、

 全てをオレの手中におさめるには、どうしたらいいんだ!!

 万三郎もどうせ、オレを裏切る・・・。

 夜鬼もオレをもてあそび、忍も八岐もきっと知らぬふりをする・・・。

 オレはもうひとりだ・・・。どうしたらいい?どうしたらいいんだぁあああっ!!」

彼は、すすり泣き、地面にひざをついて、うなだれる・・・。

「・・・。いいこだ・・・。案ずるな・・・。

 おまえには、この力を与えよう・・・。」

そう・・・。とっくの昔に彼はもう、彼女に抗うことなどできない・・・。

彼女なしには生きていけない・・・。

彼女の遊び相手の人形に、なってしまっていたのだ・・・。


====

死穂はまた、イブのところへ来ていた。

というのも、久しぶりに万三郎と会えるとなって、浮ついているからだ。


イブが既婚者であることから男のいない自分を小ばかにしていると、

さかうらみ混じりのやきもちを焼いているためというのもある。。

要するに、『自分にもいい人がいるんだ』と見せつけてやりたいのだ。


まあ、たてまえとしての一番の理由は、

『男に会うにあたってのアドバイスを大人の女であるイブに教えてもらおう。』

といった具合だろうか?



死穂へ。

今頃になって、こんなことを言い出すのは、勝手とは分かっている・・・。

でも俺はおまえに会いたいんだ・・・。まもなく危険な任務がある・・・。

もう生きてはかえって来れないかもしれない。その前に・・・。

無理な話なのは承知な上だ・・・。ただ、おまえの顔を見れないままいくのは、

うしろめたい・・・。だから、だから・・・。オレと会ってくれ・・・。

おまえが好きだったミルクレープおごるから・・・。

それじゃあ、明日の昼。ふたりで行ったあのカフェで会おう。

万三郎より。


イブ「へえ・・・。いい男いるじゃないか。死亡フラグビンビンだけど。」

死穂「なんて縁起でもないこと言うんですか!!」

イブ「ああ、先に謝っとくわ。もし今後の展開でわたしが、

   そいつを殺すかも知れんからな。すまない・・・。」

死穂「もっと縁起でもないわ!」

イブ「にしても、この手紙、昨日届いたんだろ?

   ということは、その明日ってのは今日じゃないのか?」


死穂「はいっ!それでなにか、アドバイスをと思って!」

イブ「アドバイス・・・?」

死穂「はいっ!大人の女のイブさんなら、男に会うときの作法。知ってますよね!」

イブ「まったく、勘違いもいいところじゃぞ。わたしは、恋愛のエキスパートでもなんでもない。

   ただのオバサンだ。あ、ただし、ちょっと美人のオバサンな。

   まあ、そう気を張るな・・・。背伸びはしても、

   相手に圧迫感を与えるような緊張の仕方はしてはいけない。

   向こうから会いたいと言ってきたんだ。おまえもそれなりには思われてるということだ。

   自然体のままでいけばいいんじゃないか?

   ただし、遅刻はするなよ。今すぐ行ってこい。」

イブはにっこりと死穂に笑ってみせた。


死穂「は・・・、はいっ!あ、ありがとうございます!」

死穂はぺこりとおじぎをして、イブに背を向けた。


死穂「やっぱり、イブさん、大人の女ですね・・・。

    とても励みになりました。がんばってきます!」

振り向いて微笑んでみせたあと、小走りでその場を去った。

イブ「・・・。かわいいやつだ・・・。さてと、ひさびさに雑草抜くか・・・。」

死穂へのアドバイスを済ませたイブは早速、庭仕事に戻るのであった。