「つくもがみっ!!」太陽のイミテーション 4 | 小説製作所 FELLOW'S PROJECT REBEL

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地獄の王、エンマの居城の中に、ナラクは入った。

ナラク「なつかしいな・・・。」

大きな城門をくぐると、まず、城壁に囲まれた広い庭園に出る。

そして、さらにそこを通り抜けると

ひときわ大きな広間につながる。

謁見(えっけん)の間だ。

そこには、天使と悪魔がにらみ合う巨大な彫刻をはさむようにして

大きな玉座がふたつ・・・。

ナラク「・・・。」


その彫刻の前には、ひとりの女性が立っていた。

彼女はこちらをふり返る。

「おかえりなさい。ナラク・・・。」

ナラクはその姿に見覚えがあった。だが、思い出せない。

なぜか思い出せない。

「うっ・・・。」

それどころか、自分の体が、それを思い出すこと自体に拒否反応を示す。

心臓を誰かに握りしめられているかのように痛む。

思わず、ナラクはうずくまった。

そこに、その女性がかけ込む。

「だ、だいじょうぶ?」

「あ、うん・・・。」

「どうしたの?」

「わからない・・・。思い出せない・・・。

 なにも、誰なのかということさえ・・・。」

だが、それは、むしろ好都合なことだった。

きっと自分は、ほんものの太陽に比べれば、輝きはひどく足りない偽物。

太陽のイミテーションにすぎない。

そう、女は思っていたからだ。

「いいの。今はわからなくて・・・。行きましょ。」

そう言って、彼女はナラクの手を握りしめた。

はじめて、誰かと手をつないだ。

その暖かさにそっと、過去の記憶の1ページを重ねて・・・。


「ねえねえ、おかあさん、今日の晩ご飯はな~に?」

「え~とね。クリームシチューよ。」

「ほんとうっ!だ~いすきっ!」

「にんじんも残さず食べるのよ。」

「わたしが、この前、にんじん残したのはなんか、固かったからだよ。」

「え・・・。うそ・・・。火とおってなかった・・・。」

そんなやりとりをずっと鏡の向こうからながめていた。

「ねえ。お母さん・・・。」

「なあに・・・?」

「なんか、鏡の中の人ってみんな、さみしそうな目してるの、なんで?」

「え?そ、そうかな・・・?」

その少女のひと言にはっとなった。

とっさに、なんとか平然を装ってみたが、依然として、その鏡の向こうのものは

自分には永遠に手にはいることのないだろうものだった。

ところが、しばらくすると、その少女はこちらに駆けてきて、

鏡に向かって、こう言うのだった。

「げんきだしてね。」

耳に焼き付いて離れなかった。

その言葉がまた、自分の中でわき上がってきた。

それをかみしめるようにして、ナラクの手をぎゅっと握りしめた。


きっと、また短い間だろう。

手に入れることなんて、結局できないだろう。

でも、今この瞬間だけは、わたしのもの・・・。

そうだよね・・・?


「どうしたんだ?」

「ううん、なんでもない。」

少し濡れたまぶたをこすりながら、

ナラクの手を引いて、謁見の間の奥の部屋へと・・・。


ふたりをエンマがむかえる。

エンマ「ナラクちゃん。よく無事でかえって、お父ちゃんはマンモスうれピーなのだ~!」

・・・。

エンマはナラクを抱きかかえようとするが、

ナラクから、無言であごをアッパーカットされた。

エンマ「あぐっ!」

ナラク「べたべたするな。このロリペド。」

エンマ「いった~! もう絶対、舌かんだ!」

ナラク「なんだ、しゃべれるのかよ。どうせなら、舌かみきって出血多量で

    地獄に落ちてしまえばいいのにって、あ、ここ、地獄なんだった。」

エンマ「お~っ!さっすが、死神ジョーク!」

全然、うまくねえんだよ・・・。

なに、このやりとり、むかつくんだけど!

一気にさめてしまった・・・。

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「逃げられるとでも思ってるのかい?」


あいかわらず、カラスがしつこく追い回してくる。

サタン「いいか、瑠奈。おまえだけで逃げろ。」

瑠奈「あ、あたしだけで逃げるって、どうやって!投身自殺でもしろっての!」

サタン「いいからっ!」

そう言うと、サタンは、空間をゆがませ、次元の穴をつくり、

その中に乱暴に瑠奈をぶちこんだ。

瑠奈「うわぁあっ!」


カラス「ほう、女は逃がしたようだけど、残念・・・。そいつに用はないよ。」

サタン「そんなことはわかってる。」

サタンは、矛をかまえた。

カラス「ええ・・・。まさか、やり合おうなんて思ってるんじゃないよね。

    ボクは話を聞きたいだけなのに・・・。」

サタン「おまえに話すことなんてねえよ。」


カラス「天照(あまでら)さんは、どこにいる?」

サタン「こたえるわけねえだろうがっ!」

サタンはカラスにむかって、大きく矛を突き出すがひゅるりとかわされる。

それどころか、後ろに回り込んだ上にカラスから姿を変え、

成鬼の元の姿にもどり、サタンの首根っこに手をかけた。

成鬼「まあ、別に答えなんかなくてもいいけどね。

   わかってるから。君は、死穂の始末をおこたった。そうだろ?」

サタン「・・・。な、なぜ?それを・・・。」


成鬼「簡単だよ・・・。ずっと探していた人が・・・。

   ボクが求めても求めても届かない人が、

   そう簡単に現れるわけないだろ・・・。」

サタンはわき起こる身震いをこらえながら、成鬼の腹部に肘鉄砲をかます。

成鬼「おっと、あぶないあぶない・・・。」

身軽な野郎だ。

成鬼「どうやら、偽物の太陽を沈める前に、君をどうにかしないといけないみたいだね。

   血の宴と呼ぶには役者不足かもしれないけど・・・。」

サタン「こっちのセリフだ・・・。」