「つくもがみっ!!」前略、タコ娘! 5 | 小説製作所 FELLOW'S PROJECT REBEL

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海に沈む夕日は、ここの海の家のテラスからが一番キレイに見える。


莉子「お父さ~んっ!」


莉子はそう言って、海の家のおやっさんのところに駆けていった。


瑠奈「あれ、おやっさん・・・。子どもとか、いたの?」


七音「ほんまや、初耳やで。しかも、けっこう大きいし。」


店長「ああ・・・。このコは・・・、なんか突然うちにやってきたんだよ。


   夏の間はもう、ここの海の家に住んでるんだけどな。ある日、


   雨の降るシーズン前、ちょうど6月くらいかな・・・。


   店の入口のガラスのドアの前で傘さして、ずっと


   こっちを覗いてたんだ。気になったから、ドアを開けたら、


   ぺこりとおじぎして、言ったんだ。『パパになってくれますか。』って。」


樹里「それが・・・莉子のこと・・・?」


店長「はじめはわけが分からなかったよ・・・。


   身内もいないし、いったいどこからやって来たのか、まったく知らない


   わけだし、でもなんか、一緒にくらしていくうちに、


   俺を残して死んじまった、カミさんに、少し似てるような気がしてな。」


莉子「全然そんなんじゃないよ。おとうさんのお嫁さんはもっと美人だよ。」


ナラク「なんだそれ、よいしょか?」


ナラクの、そのひとことでみんなが笑った。


奥村「あ、そうそう。俺、今日、花火持ってきてんだよ・・・。」


雪「えっ!マジで!」


ナラク「花火でなにするんだ? テロか?」


瑠奈「花火でテロって・・・、その発想自体が爆発してるよ・・・。」


店長「花火って、あれか、あっこのヘリポートでやるのか。」


奥村「あ、はい。」


店長「じゃあ、ついでだから、うちの莉子も、入れてやってくんねえかな。


   こっちは、後片付けで忙しいからかまってやれないし、よろしくたのむわ。」


莉子「じゃあ、またお姉ちゃんたちと一緒だね!」


莉子はまた樹里のもとにかけより、ひざを抱きしめてそう言った。


瑠奈「また、花火が終わったら、ここに来るね。おやっさん。」


店長「おう、莉子をよろしく。」


村下「じゃあ、もう行くか。」


茉莉「え、まだ早くない?日が落ちてからの方が花火はキレイだよ。」


村下「マジックアワーって知ってるか・・・。」


瑠奈「マジックアワー・・・?」


一条「なんだそれ?」


村下「カメラで写真をとるとき、全てがもっとも美しく撮れる時間帯のことを


   マジックアワーって言うんだよ。ちょうど、夕日が沈んでまもない、


   空がうっすらと明るく、なおかつ青みがかっているような時間帯のころをね。


   ちょっと、花火を使ってやりたいことがあるんだよ。


   七音、カメラ持ってきてるよな?」


七音「もちのろんや!」


ヘリポートは、海の家の裏手の方にある。


花火をやるときはいつも、そのヘリポートで。


まあ、厳密にいえば、普段は立入禁止なんだけど・・・。


奥村「もう、めっちゃくちゃ、あるからな。もうじゃんじゃん、やっちゃって。」


七音「ってほんまぎょうさんあるなあ・・・。


   団地ひとつまるまる火の海にできるくらいあるで。」


瑠奈「どっから、そのたとえでてきたんだよ・・・。」


一条「で、そのやりたいことってのは?」


村下「花火を使って、絵を描くんだよ。」


茉莉「絵? そんなことできるの?


   抱き合う美少年とか、馬乗りのイケメンとか描けるの?」


村下「いや、そんな腐った・・・、じゃなくて複雑な絵は描けないから・・・。


   ハートマークとか星マークが限度だから。」


ナラク「じゃあ、文字とかは? メッセージみたいなの。」


村下「むずかしいな・・・。1文字が限界だな。」


ナラク「じゃあ、『・・・。』とか?」


瑠奈「なに、悪びれもなく、自分の妹のギャグぱくってんだよ。


   というか、たしか一筆書きしかメなんでしょ?」


村下「そうだな。じゃあ、文字は無理だ。」


ナラク「え~っ・・・。」


樹里「じゃあ、莉子からやってみてよ。」


莉子「いいの?」


花火で絵を描くのは簡単だ。


カメラの設定を、夜景モードにし、ストロボ強制発光にすればいい。


村下「じゃあ、いくぞ~!」


莉子「うんっ!」



莉子は、七色に光る花火を大きく動かした。


ストロボが光り、シャッター音が鳴り響く。


モニターを見るとそこには、中心に大きな光のハートがうつっていた。


村下「おお、ハートか、かわいいな。 次、ナラクやってみろよ。」


ナラク「わたしか?」


ナラクちゃん、ちゃんとかわいいの描いてよ・・・。


いちおう、ヒロインなんだからね。


ナラクも、ぱっと見は、ハートの絵を描いてるように見えた。


ただ、そのあとの動きが謎だったけど・・・。


村下「え~と、なんの絵をか・・・。」


モニターに映ってたのは、なぜか真っ二つに割れ目が入ったハート・・・。


村下「なんでわったんだよ・・・。」


ナラク「自分よりかわいいやつが、かわいいことやったらぶち壊したくなるだろ。」


村下「・・・。」



やっぱり、ナラクは黒かった。