どうしよう・・・。
死穂は自分にそうつぶやいていた。
自分はエンマを殺すために、彼の居城に送り込まれた。
そのことを知ってしまったからだ。
「やあ、万三郎が入れ知恵をしたみたいだね・・・。」
間の悪いことに、自分をここに送ったやつから通信が入る。
死穂「な・・・なるき・・・・さま・・・・。」
成鬼「まさか、殺す勇気がないなんて、言わないよね・・・?」
死穂「・・・・。」
成鬼「せっかく君を鏡の世界から開放してやったっていうのに・・・。
君はまだ、自分の殻に閉じこもったままということか・・・。
ボクの助けは無駄だったかな・・・?」
死穂は答えない。
成鬼「まあ、いいよ。今はまだ生かしておく。エンマも、そして君も・・・・。
そして、頼みがある・・・。エンマの部屋の隣の部屋をそうじしてくれ・・・。」
成鬼が頼んできたのは意外な仕事だった。
死穂「そう・・・じ・・・?」
成鬼「少々、まずいものがあるんでね。そいつを片づけて欲しい・・・。
きっと、あのときのままだろうからね・・・。」
成鬼からの通信はそこで途絶えた。
ピンポ~~ン・・・。
「すいませ~ん・・・。郵便で~す。」
インターホンを鳴らして、郵便屋がやってきた。
死穂の仕事だ。
死穂「あ、今すぐ行きます。」
城の勝手口には、郵便屋が立っていた。
郵便屋「はい。これ、死神メール便ね・・・。」
封筒を死穂に手渡す。
それにハンコを押し、受け取った。
死穂「ありがとうございます・・・。」
郵便屋は一礼して去っていった・・・。
「おい、そこの貧乳メイド! 早くこっからだしやがれ!」
そんな罵倒が封筒の中から聞こえた。
なんだろう、この封筒・・・?
死穂はその封筒を開けた。 なかには紙でできた人型の白い御札のようなものがあった。
ますます、なにかわからない。
「おい。ここだよ・・・。ここ・・・。」
その声はその札の中から聞こえていた。
死穂「なに・・・?これ・・・・?」
御札「この中に封印されてるんだよ・・・。別途の紙があるだろ・・・。そこに書いてある呪文を
唱えれば、この御札から抜け出せるんだ・・・。」
死穂「なんか、めんどくさいのね・・・。」
御札「いいから・・・。」
言われたとおり封筒の中を探ると、呪文が書いてあるというその紙が出てきた。
死穂はその紙に書かれた呪文を読むことに・・・。
死穂「<エンジェルトラック>
それが彼からもらった 誕生日プレゼント・・・。
別れてからもう、何年も経つのに、
今でもまだ聞いてしまう。」
・・・。
なにこれ? なんか、ストーリーがあるの?
題名までついてるし
と、とりあえず次・・・。行こう・・・。
死穂「なんでも、その場しのぎな わたしはイヤホンを
ポケットにつっこんでぐちゃぐちゃにしてしまう
そのくせ、自分ではほどけなくて
いつもイライラしてたのを、
ほどいてくれたのはいつも彼だった。
彼がいなくなってからあたしの心はずっとからまったまま
ほどけないまま・・・。」
・・・・・・。
・・・・・。なに?なんかブルーが入り始めたんだけど・・・。
と、とりあえず、気にしないで先に行こう。
死穂「彼がいなくなった今 からまるたびにイヤホンを買う
買ってもからまる 買ってもからまる
彼がいない限り ほどけてくれない。」
・・・・・。
というかイヤホン引きずりすぎじゃない・・・・?
死穂「あの曲を聞こうとした・・・。でも・・・。
イヤホンからまって聞けない。
イヤホン、キャップなくて聞けない。
キャップなんかなくていいや、無理やり耳にねじ込んだ、
耳から血が出た からまったイヤホン
引っ張ってちぎれた。
ポケットの裏地の糸も巻き込んで、
財布の中で野口英世が泣いている。
またイヤホンを買うんだと嘆いてる。
だから、ヘッドホンにしてみた。
音楽が包む 私の世界
ふわりふわりと飛んでるみたいだ・・・。
気が付けば飛んでいた・・・。
大型トラックにはねられて・・・
って、おいいいいいいっ!!!
なに?この救いようのないオチは!!」
御礼「いいだろ・・・。まとまってはいたぞ一応・・・。曲を表す『トラック』と自分をはねた
『大型トラック』もかかってたしな・・・・。
じゃあよし、待ってろ。今行くから・・・。」
死穂「うまくねんだよ!あと、結局、お前の意思で出れんのかいっ!!」
御札から、3、4歳くらいの少女が現れた・・・。
少女「あ~あ~あ~・・・・。やっぱり地獄のほうがいいや・・・・。
娑婆(しゃば)は、話しづらくて仕方ない・・・。お~はじめてだな・・・。」
死穂「あ・・・、あなたは?」
少女「わたしは、ウラミ・・・。エンマの娘だ・・・。」
その一言を聞いて、死穂は少し当惑した。
あれ・・・。エンマの娘って・・・、ナラクのことなんじゃ・・・。
死穂「ねえ・・・?エンマの娘ってナラクのことなんじゃないの?」
ウラミ「親父は里親だよ。」
そのひとことで合点が行った。
すると、そこに、そのエンマがやってきた。
エンマ「オーーー・・・・。ウラミちゃん・・・。おかえりなさいませ~~~♫」
ウラミ「ただいまな。お迎えはいいからさっさと帰れ、土に・・・。」
エンマ「オーーー、冷たいね~~・・・。久しぶりぶりじゃないか~♫
お父さんにいろいろ聞かせてよ~♫」
ウラミ「父親なら父親らしく、娘の存在だけに感謝して、土に帰れ。このロリコン。」
エンマ「ジーザスクライスト!! ロリコンじゃないもんっ!
ちょっと幼女を見ると興奮するだけだもんっ!」
ウラミ「ネットでググれ・・・。それがロリコンって書いてある・・・。」
そんなくだらないやりとりをしながらエンマと、ウラミはその場を去っていった。
「よう、新入り・・・。」
さっきまで、エンマの傍らにいた少年が今度は話しかけてきた。
死穂「あ・・・。え、え~と・・・。 なんだっけ?ロドリゲスくんだっけ?」
サタン「一文字もかぶってないよ・・・。サタンだ、サタン・・・。
えっと・・・。亜美だっけ?」
死穂「そうそう・・・。星間 亜美(ほしま あみ)・・・。」
サタン「ちょっと、見せたいものがあるんだ・・・。来い・・・。」
そう言ってサタンは死穂をある部屋に案内した。
サタン「ここだ・・・。」
そこは、成鬼に掃除を頼まれたあの部屋だった・・・。
死穂「な・・・、なにこれ・・・・?」
その部屋は、まるで、空き巣にでも入られたかのように荒らされていた。
そして、家族写真であろうか・・・、エンマとナラク・・・。
そして、もうひとり、儚げで美しい女性の3人が写った写真が、何枚か散らばっている。
だが・・・。そのエンマとナラクの顔にはどれもバツ印がついていたり、
ぬりつぶしてあったり、顔がくりぬかれていたりしている・・・。
死穂「だれが・・・。こんなことを・・・・?」
それを拾い上げた・・・。だが、その裏面には、さらに恐ろしい言葉が書かれていた。
<太陽はボクのもの。>
その言葉に背筋が凍りついた・・・。
サタン「だれが、こんなことやったか教えてやろうか・・・・。
成鬼 素戔(なるき すさ)という男だ・・・。」